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「優位性」の誘惑と落とし穴
一般的に、競争の少ない状態を作ることは戦略の基本だと言われています。
ピーター・ティールは、「ZERO to ONE」の中で再三「独占せよ」と主張しました。
すでに競争が激化している市場で戦うのではなく、他の要素をかけあわせたりして、オンリーワンの位置を築くこと。
企業であれ、個人であれ、「戦わずして勝つ」ということはすべての基本なのです。
しかし、戦いの少ない市場を作り上げることは、裏を返せば競争原理が働きづらいということでもあり、その地位に安住しつづけた結果、いつのまにか時代に合わなくなっていたり、他社にリプレイスされていたということも起こりえるということです。
また、既得権益や法規制によって守られている業界も、似たような状況に陥ることがあります。
川の水は堰き止めれば濁るもの。
「安定」は、行き過ぎると自らの体を蝕むことになるのです。
とはいえ、私は常に競争に晒されているべきだとも思いません。
オンリーワンの安定した地位を築いているからこそチャレンジできることもありますし、競争を少なくして安定させることは、企業を永続させる上で重要なことでもあります。
しかし、売上の数字だけを見て安心していると、いつか足元をすくわれるときがくるということを、常に意識しておく必要があると思うのです。
以前「『競合他社』はなぜ必要か」という記事にも書いたのですが、タイムシェアとマネーシェアを奪い合うという意味ではあらゆる商品・サービスが競合になる可能性があります。
だからこそ、常に様々な切り口で自社の立ち位置を把握し、プロダクトを磨き上げていく努力が欠かせないのです。
安定を作るのは、何もせずに利益を享受するためではなく、次なるチャレンジをしやすくするため。
挑戦者の立場から徐々に大きくなって、王者として挑戦者を迎えうつ立場になったときこそ、その立場に安住せず新しいチャレンジをする心を忘れないようにしたいと思います。
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