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日本人的「内省」のちから

この時期に本屋や文具店へ赴くと、必ずといっていいほど手帳フェアが行われている。手帳がずらりと並んだコーナーを見ると、「いよいよ冬だな」と実感する。

私自身は、紙の手帳を使わなくなってからずいぶん経った。普段はGoogleカレンダーでスケジュール管理をしているので、そのうち紙の手帳も廃れて過去のものになっていくのだろうなあと思いながら売場の前を通り過ぎてきた。

しかし5年経っても10年経っても手帳フェアはなくなることなく、2021年現在もお店の目立つ場所にどーんと展開されている。しかも意外と人だかりができているし、大学生とおぼしき若者が吟味している姿を見かけることも少なくない。

もしかして、みんなまだ意外と紙の手帳を使っている…!?

気になって調べたところ、スケジュール管理はスマホと手帳を両方使う人が一番多く、20代も紙の手帳を好んでいるという調査結果を発見した。

(どちらも手帳メーカーの調査なのでPR目的の強い調査であることは念頭におきつつ)

ちなみに、「ほぼ日手帳」は昨年に比べて4億円も売上が増加したらしい。令和の世でもまだ成長の余地があったなんて…!

これだけ紙の手帳が売れているのは日本ならではの現象で、海外では手帳人気はあまり高くないのだという。たしかに海外の書店や雑貨店で積まれているはノートがメインで、スケジュール帳は目立たない場所にひっそりと置かれていることが多い。

なぜ日本人はこんなにも紙の手帳が好きなのか?

平台に積まれた売れ筋の手帳を見比べながら気づいたのは、日本の手帳はスケジュール管理というよりも内省のためのツールとしての役割が大きいということだ。

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余談的小売文化論

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「知性ある消費」をテーマに、現代の消費行動や理想論と現実的な問題のギャップについて考え、言語化しています。「正解」を語るのではなく、読み手…

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