対話のために、旅に出る。
10年前のこの時期、私はNYに行くことを決意していた。
あと1ヶ月で20歳になる。その前に世界の中心をこの目で見てみたかった。
はじめて訪れたNYは東京以上の大都会で、1ヶ月いてもまだ足りないほど刺激の多い街だった。
振り返ってみれば、このときNYという街に魅了され、人が集まる場所のパワーに圧倒されたことが20代の私のあり方に影響を与えたように思う。
だから、今年は次の10年を見据えた旅をしようとずっと前から決めていた。
またNYに行くことも考えたのだけど、私のテーマでもある『知性ある消費』の宿る場所はどこだろうと考えた結果、人生で初めてヨーロッパを訪れることにした。
ヨーロッパといえばどの国も環境配慮に力を入れている点が有名だけれども、私が魅力に感じるのは表面的なサスティナビリティよりもその根底にある自分たちの生活への肯定感だ。
先日出演させていただいたTAKRAM RADIOで「成熟時代にものを売るということ」をテーマのひとつとして話したのだけど、これから日本は成長から脱却して成熟に向かうべきだと私は考えている。
では成熟とは何かというと、私は『非合理に価値を見出す力』だと思っている。
そしてその結果として多様性が生まれ、人に居場所ができ、誰もが自分を肯定して生きられるようになるはずだ。
ヨーロッパにはきっと、不便を許容するだけの余裕がある。だからこそ選択において多少不便でも環境にいいもの、自分が本当に気に入ったものだけを厳選することができるのではないかという仮説を持っている。
もちろん経済面は課題が多いし、政治的にも混乱や対立がいたるところで起きているのだけど、合理性だけに追い立てられない余裕が豊かな文化を作っているように思うのだ。
『成長から成熟へ』はこれから10年の自分自身のテーマになりそうだからこそ、次の10年を見据えてヨーロッパの空気を感じてきたいと考えている。
そして今回の旅が10年前と違うのは、一緒に行く人がいるという点だ。
一緒に運営している #EnglishChallenge の中で、ひょんなことからベルリンに行こうという話になった。
この半年近く学んできた英語を使う集大成として軽い気持ちではじまったベルリン旅なのだけど、せっかく行くなら何か目的をもとうということで、今回の旅のテーマは『対話』になった。
アラサーフリーランス同士、会うたびに『これからの人生どうする?』とよく話し合う私たち。
場所を変えて新たな風を吹き込むことで、何か別の答えが見つかるんじゃないだろうか、と。
自分探しのためではなくて、対話のために旅に出る。
それってすごく私たちらしいんじゃない?
たとえ答えが見つからなくても、考えた軌跡をかたちにして自分たちの思考の変遷を記録しておきたいね。
そんなこんなで、ベルリン旅のマガジンも作ってみることにした。
一緒に行く、と言いながら現地集合現地解散というワールドワイドな待ち合わせをしている私たちは、訪れる場所もそれぞれ違う。
ベルリンとアムステルダムは一緒に行く予定だけど、私はそのあとロンドンに寄るつもりだ。伊佐さんはどこから来てどこに行くのかもよく知らない。
それもまた私たちらしい。
まだほとんどノープランだけど、なるべく現地に住んでいる人たちに話を聞いてみたいので軽く取材のようなこともできたらいいなと思う。
出発まであと1ヶ月弱、どこに行って何を見て、どんなことを考えようか。
20代最後の旅がもうすぐ始まる。
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