相性を決めるのは「WHY」ではなく「HOW」
一緒に働く相手を選ぶときに必ずと言っていいほど聞かれる志望動機。
「何がやりたくて応募したのですか?」
「なぜそれをやりたいのですか?」
こうした質問は、相手の動機がどこにあるかを探るものです。
しかし、世の中には内発的動機で動くことができる夢組だけではなく、すでにある1を10にするのが得意な叶え組の人たちがいます。
参考:「世界は『夢組』と『叶え組』でできている」
彼らの「やりたいこと」は、自分が面白いと思った人のそばで面白いけど一筋縄ではいかないことを「困ったな〜」と言いながらクリアすることなのに、夢組が勝手に「この人にも自分のような夢があるはずだ!それをサポートしてあげなきゃ!」と思いこむことからすべての不幸がはじまります。
本来は叶え組の人たちが無理矢理「やりたいこと」をでっちあげ、でもそれは本心ではそこまでやりたいわけではないことだったりするのでがんばりきれず、夢組から「自分がやりたいことなのにがんばれないなんて理解できない」と責められることになるのです。
だから、最近私はできるだけ「どうありたいか」を聞くようにしています。
やりたいこと、つまり最終目的地は一緒でも、そこに向かうための手段が異なるとお互いが不幸になってしまうからです。
この「どうありたいか」の集合体こそが会社の文化やカラーと呼ばれるもので、会社の理念(=WHY)や実際にやっている事業(=WHAT)は同じはずなのになんとなく相性が合わない、というのはありたい姿(=HOW)がズレていることが原因です。
賑やかなイベントが好きな人がていねいな暮らし至上主義のコミュニティに行ったらお互い不幸になるし、温もりある人間関係と大自然が好きな人がグローバルエリートの世界に足を踏み入れたら確実に苦労するでしょう。
逆に、ありたい姿や快適に感じる環境が近い人同士は、お互いのやっていることや到達したい目標が変化していっても、長く関係を続けられることが多いものです。
ありたい姿はすなわちその人の判断基準や正義感であり、この軸は年を重ねれば重ねるほど強固なものになっていきます。
一方で、やりたいことやできることは後からいくらでも変わる可能性があるからです。
つまり、転職でも発注でも契約でも、長く一緒に組む人を見つけるときに大切なのは、「やりたいこと」でも「できること」でもなく、「ありたい姿」なのです。
しかし、ありたい姿は言語化が難しく、さらに理想と現実が乖離していることが多いものです。
私は会社員として3つの会社を経験しましたが、入る前と入った後でギャップがなかった会社なんてないし、それはフリーランスとしてよりたくさんの会社を見たことでより確信になりました。
身もふたもない話ですが、その場所が合うかどうかは実際に中に入るまでわからないものなのです。
だからこそ私は、もし転職や契約をするとしたら突然大きなリソースを割くのではなく、少しずつ「お試し」をすることを勧めています。
まずは記事を一本書いてみたり、イベントの手伝いをしてみたり、単発で手伝ってみて、その組織の勧め方が自分とあっていれば少しずつ関わる量を増やしていく。その方が撤退もしやすいので、万が一合わなかった時にもお互いの損失が小さくなります。
フルタイムの会社員だから副業は難しいという場合も、プロボノとして手伝ったり、プライベートな飲み会イベントを企画したり、小さなプロジェクトを動かす方法はたくさんあるはずです。
逆に気をつけなければならないのは、「話が合う」だけで相性がいいと思い込んでしまうこと。
理想も哲学も、不確定な未来への綺麗事だからこそ反論が起きることはほぼありません。
特に採用などのお互いかしこまった状況ではどちらも無意識に話を合わせてしまうし、違和感をなかったことにしがちなものです。
その人の真のスタンスは、「やっていること」で判断するしかない。
そして「どうやってやるか」を見極めるには、一緒に何かをやってみるしかないのです。
私はせっかく一緒に仲間としてやるなら、やりたいことが変化していってもゆるくつながっていられる人と長期的な関係を築いていきたいから。
お互い「どうありたいか」をすり合わせながら、みんながハッピーな環境を作った上で、そこからよりよいものを作り出していきたいなと思っています。
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