意思ある「NO」がプロダクトをつくる
なるべくなら、衝突せずにプロジェクトを進めたい。
ほとんどの人がそう考えているのではないでしょうか。
しかし、実際にはプロジェクトを進めようとすると、ありとあらゆるところで衝突することになります。
なぜならば、人は真剣になればなるほど自分の意見を「譲らない」生き物だから。
それぞれの分野の専門家が集まれば、自分のもつ知識や経験を総動員して、ベストな解をだせるようにみんなが四苦八苦します。
しかし、問題は分野ごとに独立しているわけではなく、どんな施策をうっても、横断的に各分野への影響が発生します。
例えば、特にわかりやすいのは、ブランディングとCVのバランス感覚です。
タイトルを工夫してつければ検索流入が増えるとしても、ブランディングとしては避けたいという状況は多々あります。
その場合、SEOの担当者とブランディングの担当者はある種の敵対関係になり、自分の主張を通すために衝突が発生します。
しかし、ここでお互いが勝手に相手を慮って「そこそこ」のものしか出さずに丸く収まったとして、それは本当に正しい承認プロセスでしょうか?
最終決済者からしたら楽な状況ではありますが、効果的な施策の選択肢を見落としている可能性が高く、プロダクトとしてもエッジが立ちづらいのではないかと思います。
せっかく各分野のプロを集めているのならば、それぞれがドラスティックに「自分の最適解」をだした上で最終ジャッジをしなければ、単にどこかで聞いたことのある70点の施策の寄せ集めにしかなりません。
はじめから小さくまとめようとするのではなく、各自が持ち寄った最適解をテーブルに並べた上で、最終決済者の「NO」によって削ぎ落としていくプロセスこそが、よいプロダクトを作る工程なのではないでしょうか。
私は自分がメンバーとして参加するときも、常に「この議題に対する最終決済者は誰か」をはっきりさせながら話すようにしているのですが、それは最終決済者を明確におくことで、それぞれの発言の自由度が上がるからです。
なにかの施策をうとうと思ったら必ずプロジェクトメンバー内で立場上の敵対関係ができてしまうものですが、当事者同士がどんなに論争したところでそれはポジショントークでしかなく、どちらかが折れることはほぼありません。
それよりも、判断のための素材となる情報を机上に並べ、ジャッジはあくまで最終決済者に委ねる方が、より生産的な議論になるはずだと思います。
さらに、そのジャッジの理由や根拠を全員が目を通せるようにすることで、最終決済者の判断軸をみなが理解しやすくなります。
せっかく顔を合わせて話すのなら、なんとなくの合意で誰にでも作れるようなものを作るのではなく、意思ある「NO」によって磨きあげられたプロダクトへ。
最近はそんなことを意識しながら、仕事をしています。
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