キャラクターは『思考の練りこみ』が100%
先週、bosyuさんのイベントでゆうこすさん・キャスター石倉さん・HARES西村さんとSNSの話をしてきました。
ゆうこすさんはtoCのファン、石倉さんはtoBのファンに特化したSNS運用をされていて、私はその中間くらいの立ち位置なのでそれぞれの戦略や考え方は私もとても参考になりました。
そして終わった後にトークを振り返ってみて感じたのは、全員言い方は違えど受け手への『想像力』によってファンを増やしてきたのではないかということ。
一般的に、SNS運用においては『キャラクターを確立させる』ことが重要だと言われます。
そのためにキャッチコピーをつけたり名前の後にわかりやすい肩書きをいれる人も増えてきましたが、ブランドとは自らの主張ではなく、受け手が自分をどう思っているかがすべてです。
どんなに『世界一使いやすいサービスです』とブランドメッセージを打ち出したところで、実際に使いやすくなければそのサービスに触れた時『使いやすい』というメッセージが想起されることはありません。
それと同じで、自分自身のキャラクターというのは自ら声高に叫ぶものではなく、周囲から見て『○○の人だよね』と言われることこそが重要なのです。
さらに、唯一無二のポジションというのは『あそこが空いているから』と狙ってとるものではなく、自省とマーケティング感覚双方を磨いた先の均衡点であるとも言えます。
例えばゆうこすさんの『モテクリエイター』というポジションも、自分が本当に興味があってどこまでも突き詰められることでありながら、同時にそのポジションをどう表現すれば社会から求められるかを考え抜いた末のものです。(余談ですが、ゆうこすさんはこれを本能でやっているのが天才型マーケッターたるゆえんだなと思います)
重要なのは、単に空いているポジションだから、なんとなく『よさそう』だからという理由ではなく、自分を徹底的に見つめて本当にやりたいこと、放っておいてもやり続けてしまうようなことを自分のキャラクターにすべきだということです。
これはゆうこすさんの本にも書いてあることですが、実はゆうこすさんですらマーケットから逆算した結果『お料理アイドル』を目指そうとして挫折したという過去を持っています。
つまり、どんな人であっても、自分の本来のキャラクターや好きなことを押し殺したままでは成功できないということです。
では、なぜ自分の好きなことをやらなければならないのか。
私はその理由を、『思考の練りこみ』だと見ています。
さらに言えば、思考の練りこみとは単に戦略を考えることではなく、『自分の正義への確信』を得るということです。
なぜこれを広めるべきなのか。なぜこれを作るべきなのか。
ひとつひとつの決断を下す際、自分のやっていることに確信を持つことこそが、その人の唯一無二性を作るのです。
世の中は黒と白に分けられるものではなく、常にグラデーションでできています。
しかし、だからといってグラデーションの中を漂っているだけでは何の特徴も出すことができません。
自分の主張への反論も抱き込みつつ、『それでも私はこれを正義とする』という旗を掲げることこそが、本当の意味でポジションを取るということです。
そうやって自分自身のポジションを取る人が増えることで多様性が生まれ、社会全体として均衡が保たれるようになっていきます。
Aの正義もBの正義も否定はしないけれど、自分はこれを正義とする。
その信念を固めることを、私は『思考を練り込む』と表現しています。
たかがSNSで何を大げさな、と思われるかもしれませんが、SNSこそ生き様や美意識が全世界に可視化されるツールだと私は思っています。
だからこそ発信する内容は常に思考を練りこみ、自分の思想が正しく伝わる言葉を選んでいきたい。それが私のSNSを運用する上でのスタンスです。
ちなみにイベントに参加してくださった方からその『思考を練り込む』ためのコツについて質問をいただいたので、あわせて私の考えを書いておきたいと思います。
これは個人的な感覚ですが、本当の意味で思考している人はどんな分野であれ必ず自分自身の言葉を持っています。
それはオリジナルの単語を造るという意味ではなく、思想と言葉が綺麗に調和しているということです。
本に書いてあったことや誰かに聞いたことをそのまま話すような人は、使いこなせていない武器を振り回しているようなものなので、どんなに難しそうなことを言っていてもその言葉は人の心の芯を捉えることができません。
以前、花まる学習会の高濱さんがイベントで『優秀な人は必ず言葉を重視する』とおっしゃっていたのですが、言語と思想は表裏一体なので、自らの言葉を発見するプロセスことが考えるということなのではないかと私は考えています。
では、どうすれば自らの言葉を発見できるのか。
それは、あらゆる物事に対して自分というフィルターを通して『つまり何なのか?』を問い続けることだと思います。
NewsPicksのインフォグラフィックエディター・櫻田さんとイベント登壇した際、アートセンスを磨くためには好き嫌いをはっきりさせる訓練を積むしかないという趣旨のことをおっしゃっていたのですが、これは思想の面でも同じこと。
インプットしたものを鵜呑みにしすぎず、複眼的に見ることで自分の美意識を育て、それを言語化していくというプロセスを地道に積み上げていくしかありません。
ただ、これにもフェーズがあって、まっさらな状態の人はとにかく素直に良質な情報を大量にインプットし、思考するための武器を持たなければなりません。
まずは時代を超えて愛されてきたものを浴びるようにインプットして、基礎体力をつけた上で自分のフィルターに引っかかったものを深めていく。
まずは良質な土壌を作らなければ、どんなに努力してもいい作物が育たないのと同じことで、この基本のインプットがなければ、それぞれの共通点を見出す抽象的な視点が育ちません。
ちなみに私は人より文章を読むスピードが早いのですが、それは速読のようなスキルではなく、一定のインプット量を超えると書いてあることがだいたい予測できるようになり、拾い読み程度でその文章に書いてあることがわかるようになるからです。
逆に予測していなかった箇所に出会うとそこが思考するためのフックとなり、『これは自分の思考から見るとつまりどういうことなのか』を自分の言葉として咀嚼して理解しようとします。
こうして別のものを取り込んで自分の思考を変容させ、思考の軸を太く安定したものにしていくことが『考える』ということだと私は思っています。
とはいえ、私は『考える』ことが趣味で娯楽なのでうっかり突き詰めてしまっているだけで、別の戦い方もあると思うのでご参考までに。サクちゃんの言うように、誰かのやり方をマネすることだけが正ではないと思うので。
ただ、もはやSNSはオンラインのみで独立しているものではなく、リアルの世界と密接につながっているものなので、単なるフォロワー数の多寡や小手先のテクニックでどうにかなるものでもないよな、というのは確信していることでもあります。
ということで、後半の有料箇所では『ブランディングもO2Oの時代』という話を書きたいと思います。
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ということで、今日のおまけは『ブランディングもO2Oの時代』という話について。
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