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シニアエンジニアが消える日本IT業界の未来:エンジニア不足の原因と解決策
IT業界では、シニアソフトウェアエンジニアが徐々に姿を消している現状があります。この背景には「老害」として排除される風潮や、55歳役職定年とともに給与が減少する仕組みが関係しています。しかし、この動きが本当に業界の未来にとって良いのでしょうか?
シニアエンジニアが減った今
数年前までは、私よりも年上のシニアソフトウェアエンジニアが多数活躍していました。ところが、今では彼らの姿をほとんど見かけなくなりました。
理由のひとつは、「若手が活躍する場を」といった建前のもと、シニア層を徐々に排除してきたからです。しかし、これは逆に業界全体を苦境に陥れる"タネ"を巻いたとも言えるのではないでしょうか。
デジタル化が進む中、IT人材の需要が増える一方で、貴重な経験を持つシニアエンジニアを追い出す行為は、自分たちで自分たちの首を絞めているようにも思えます。
技術は本当に「古い」か?
若手エンジニアの中には、シニアエンジニアを尊敬しない風潮が見られます。「古い技術に固執している」といった印象を持たれることも多いようです。しかし、冷静に考えてみてください。現在の主流言語である Python、C++、C#、JavaScript などは、実はどれもかなり昔から存在しています。
確かに、AWSやGCP、Gitといったツールは近年急速に普及しました。しかし、これらは基本的に開発効率を上げるための補助ツールであり、根本的なプログラムの構造やロジックそのものが大きく変わったわけではありません。つまり、「古いことを知っている」シニアエンジニアの知識や経験は、今でも十分に価値があるのです。
若手とシニアのギャップを埋めるには?
問題解決の鍵は、世代間の尊重と協力にあるのではないでしょうか。若手は新しいツールやトレンドをキャッチアップする能力に優れています。一方で、シニアエンジニアは長年の経験から得た知識やトラブルシューティング能力を持っています。
若手がシニアエンジニアを煙たがるのではなく、積極的に学ぶ姿勢を持つこと。シニアもまた、自分の経験を後進に伝える責任を果たすこと。このような相互作用が、今後のエンジニア不足を解消する鍵になるのではないでしょうか。
おわりに
日本のIT業界が抱える「エンジニア不足」の問題は、私たち自身が作り出したものかもしれません。シニア層を排除するのではなく、彼らの知識と経験をいかに活かすかを真剣に考えるべき時期に来ています。
古いも新しいも関係なく、技術に向き合う心を持ち続けることが、業界の未来を支える大切な一歩となるのではないでしょうか。