いろいろな言語でゴーレム
8月30日はフランケンシュタインの日で、小説『フランケンシュタイン』のフランケンシュタイン博士が生み出した“フランケンシュタインの怪物”は伝説上の怪物・ゴーレムと関連性があるように思われます。
ゴーレムは中東や東ヨーロッパに伝わる粘土で生み出された魔法生物で、RPGでは鉄・木・肉などのゴーレムが存在し、フランケンシュタインの怪物は“フレッシュゴーレム”という肉のゴーレムに分類されるようです。
ゴーレムは人型ロボット・人造人間の意味にも用いられ、フランケンシュタインの怪物はこの意味の場合では正解となっています。
漫画家・水木しげる先生はゴーレムをチェコ出身の妖怪という説を立てていて、チェコではゴーレムを偉大な存在としています。
アニメ『ゼンダマン』第24話では〈ゴーレム魔人〉が登場し、チェコに関連した〈ボヘミワゴン〉というメカが登場しました。
今回はいろいろな言語でゴーレムを取り上げます。
いろいろな言語でゴーレム
ゴーレムは古典ヘブライ語〈גֹּלֶם〉, 現代ヘブライ語〈גולם〉に由来する名称です。
セルビア・クロアチア語〈Го̀лем / Gòlem〉やマケドニア語でアクセント記号の無い場合でゴーレムと同一の綴りとなる〈Голем〉[ゴレム]は“巨大な”を意味する単語で、スラブ祖語〈Ⰳⱁⰾⱑⰿⱐ / Голѣмъ / Golěmъ〉[ゴリェム]が語源となっています。
【Golem】ほとんどのラテン文字使用言語
【Golem / ·𐑜𐑴𐑤𐑩𐑥】イギリス英
【Golem / 𐐘𐐬𐑊𐐲𐑋】アメリカ英
【Golemas】リトアニア
【Golemi / 𐔊𐔖𐔐𐔇𐔒𐔍 / 𐕺𐖮𐖩𐖞𐖫𐖥】アルバニア
【Golemo】エスペラント、イード
【Golems】ラトビア
【Golèm】オック、アチェ
【Golym】シレジア
【Gohlunz / Goƅlunƨ / 戈仑】チワン
【Goolem】オロモ
【Goylem】イディッシュ
【Gòlem】イタリア、カタロニア
【Gólam / Ᵹólɑm】アイルランド
【Gólem】スペイン、アイスランド、ハンガリー
【Gô-lem】ベトナム
【Gulm】カビリ
【Qolem】アゼルバイジャン
【Γκόλεμ】ギリシャ
【Голем】ほとんどのキリル文字使用言語
【Голэм】カザフ
【Гәлўн】東干
【Ґолем】ウクライナ、ルシン
【Գոլեմ】アルメニア
【Կոլէմ】西アルメニア
【გოლემი / ᲒᲝᲚᲔᲛᲘ / Ⴂⴍⴊⴄⴋⴈ】ジョージア、メグレル、ラズ
【ᎪᎴᎻ / Golemi】チェロキー
【גולם】ヘブライ、イディッシュ、ラディノ
【ࠂࠅࠋࠌ】サマリア
【جوليم ، غوليم】アラビア
【جولیم】エジプト・アラビア
【غولم】アラビア
【غۉلەم】ボスニア
【قوليم】ヒジャーズ・アラビア
【قوْلم】南アゼルバイジャン - アゼルバイジャン語キリル・ラテン両文字体系表記では〈Qoləm / Голәм〉となる。
【ڨولم】チュニジア
【گولم】ペルシア、ダリー、ウルドゥー
【گولەم】カザフ
【گوليم】シンド
【گولیم】西パンジャブ、サラーエキー
【گۆلم】ソラニー
【گولېم】ウイグル
【گولؠم】カシミール
【ګولېم】パシュトー
【ݢولم】ベタウィ
【ݢوليم】ジャウィ
【ݣوليم】モロッコ・アラビア
【ގޯލެމް】ディベヒ
【ܓܘܠܡ】アッシリア現代アラム
【गोलेम】ヒンディー、ネパール、ドテリ
【गोलेम / 𑘐𑘻𑘩𑘹𑘦】マラーティー
【गोलेम् / 𑌗𑍋𑌲𑍇𑌮𑍍】サンスクリット
【गʼलेम】ボド
【গোলেম】ベンガル、ビシュヌプリヤ
【গʼলেম】アッサム
【ਗੋਲੇਮ】パンジャブ
【གོ་ལེམ་ , གོ་ལེམ།】ゾンカ
【གྷོ་ལེམ་ , གྷོ་ལེམ།】チベット
【𑐐𑑀𑐮𑐾𑐩 / गोलेम】ネワール
【ꠉꠟꠦꠝ】シレット
【ꯒꯣꯂꯦꯝ / গোলেম】マニプーリ
【ગોલેમ】グジャラート
【ગોલેમ / 𑊼𑋧𑋚𑋥𑋗】カッチ
【𑂏𑂷𑂪𑂵𑂧 / गोलेम】ビハール/ボージュプリー、アンギカ
【𑒑𑒼𑒪𑒹𑒧 / गोलेम】マイティリー
【𑅗𑅔𑅮𑅓𑅬 / गोलेम】マールワーリー
【𑊆𑊂𑊣𑊃𑊠】サラーエキー
【𑠌𑠵𑠥𑠳𑠢 / गोलेम】ドーグリー
【𑚌𑚴𑚥𑚲𑚢 / गोलेम】カーングリー
【ଗୋଲାମ୍ , ଗୋଲାମ】オリヤー
【ᱜᱚᱞᱮᱢ】サンタル
【கோலெம்】タミル
【గోలెమ్】テルグ
【ಗೊಲೆಮ್】カンナダ、トゥールー
【ഗോലെം】マラヤラム
【ගොලෙම්】シンハラ
【ဂဝ်လေမ်】モン
【ဂေါလေမ / Golema】パーリ
【ဂိုလမ်】ビルマ
【ၵူဝ်ႇလဵမ်ႇ , ၷူဝ်ႇလဵမ်ႇ】シャン
【𑄉𑄮𑄣𑄬𑄟𑄴】チャクマ
【ហ្គោឡឹម】クメール
【โกเลม , โกเล็ม】タイ
【ໂກເລມ】ラオ
【ꦒꦺꦴꦭꦺꦩ꧀ / Golèm】ジャワ
【ᬕᭀᬮᬾᬫ᭄ / Golém】バリ
【ᮌᮧᮜᮦᮙ᮪ / Golém】スンダ
【ᨁᨚᨒᨙᨆ】ブギス
【𑻡𑻶𑻮𑻵 / ᨁᨚᨒᨙ / Golem】マカッサル
【ꤱꥋꤾꥉꤸ꥓】ルジャン
【ᯎᯬᯞᯩᯔ᯲】トバ・バタク、マンダイリン
【ᯎᯬᯞᯨᯔ᯲】ダイリ・バタク
【ᯎᯭᯞᯩᯔ᯳】カロ・バタク
【ᯏᯬᯟᯩᯕ᯳】シマルングン
【ᜄᜓᜎᜒᜋ᜔ / Golem】タガログ/フィリピノ、イロカノ
【ᜤᜳᜮᜲᜫ᜴】ハヌノオ
【ᝄᝓᝎᝒ】ブヒッド
【ᝤᝳᝮᝲ】タグバヌワ
【戈侖 / 戈仑 / Gēlún】中国
【哥雷姆 / ㄍㄜㄌㄟˊㄇㄨˇ】台湾華 - ピンイン表記は〈Gēléimǔ〉。
【戈侖 / Gwo¹leon⁴】広東
【哥雷姆 / Ko-luî-ḿ】台湾
【哥雷姆 / Khô-lùi-mê】客家
【戈侖 / 戈仑 / Gùlen】上海
【골렘】韓国、チアチア
【ጎለም】ティグリニャ
【ጎሌም】アムハラ
【ⴳⵓⵍⵎ】アマジグ
【ꖑꗷꕆ】ヴァイ
【ߜ߭ߏߟߍߡ】マニンカ
【𞤘𞤮𞥅𞤤𞤫𞤥】フラニ
【ᒎᓚᒻ / Goolam】イヌイット
EMETH - エメトあるいはエメス
錬金術師がゴーレムに命を吹き込む呪文として“真実”を意味する〈אמת〉があり、古典ヘブライ語ではエメス, 現代ヘブライ語ではエメト, イディッシュ語ではエメスと呼ばれ、母音記号付きの表記は〈אֱמֶת〉となります。
ゴーレムの動きを止める場合は《א》を削った〈מת〉と表記され、古典ヘブライ語ではメス, 現代ヘブライ語ではメト, イディッシュ語ではメイスと呼ばれ、母音記号付きの表記は〈מֵת〉となります。
創作物ではヘブライ文字ではなくラテン文字で〈EMETH〉と表記されることから《E》を除去して〈METH〉とするパターンもあります。
【Emeth】ほとんどのラテン文字使用言語
【Emeþ】アイスランド
【Εμέθ / ΕΜΕΘ】ギリシャ - 全文大文字の場合はトノスアクセントを付加しない。
【ⲉⲙⲉⲑ / ⲈⲘⲈⲐ】コプト、ヌビア
【𐌴𐌼𐌴𐌸】ゴート
【Емет】ほとんどのキリル文字使用言語
【Эмес】タジク
【Эмеҫ】バシキール
【Эмет】ロシア、カザフ
【Ємєѳ / Ⰵⰿⰵⱚ】古代教会スラブ
【Էմեթ】アルメニア
【Էմէթ】西アルメニア
【ემეთი / ᲔᲛᲔᲗᲘ / Ⴄⴋⴄⴇⴈ】ジョージア、メグレル、ラズ
【امث】ペルシア、ダリー
【امیث】エジプト・アラビア
【ایمیتھ】ウルドゥー、西パンジャブ
【ايميث】ジャウィ
【ايميٿ】シンド
【إمث】アラビア
【إيميث】モロッコ・アラビア
【ئەمەس】ソラニー
【ئېمېت】ウイグル
【އެމެޘް】ディベヒ
【ܐܡܬ】アッシリア現代アラム
【एमेथ】ヒンディー
【এমেথ】ベンガル、アッサム
【ਏਮੇਥ】パンジャブ
【એમેથ】グジャラート
【ଏମେଥ୍ , ଏମେଥ】オリヤー
【အဲမက်သ်】ビルマ
【ᬏᬫᬾᭇ᭄】ササック
【ᜁᜋᜒᜐ᜔ / Emeth】タガログ/フィリピノ
【ᜡᜫᜲᜰ᜴】ハヌノオ