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現行簡体字と異なる中国語漢字の略字
4月20日は国連の言語の記念日のひとつである中国語の日です。
今回は現行簡体字に含まれない漢字の略字について代表的なものを中心に取り上げます。
現行簡体字統一以前の字形
簡化偏旁の本格的導入以前に使用されていた簡体字です。
1956年1月28日に公布された『漢字簡化方案』(※リンク先はウィキソース)の標準字形日本語による中国語の辞書や語学書にも見られます。
日本の新字体及び略字と同型のものは【絵《绘⬅繪》, 継《继⬅繼》】などがあります。
・JIÀN【䚀《舰⬅艦》】カン
・GUĀN【覌《观⬅觀》】カン
・JĪ【鳮《鸡⬅雞[鶏⬅鷄]》】ケイ・にわとり
・QIÀN; XIĀN【䊹《纤⬅縴・纖[繊]》】ケン ; セン
・GÙ【頋《顾⬅顧》】コ・やと-う
・GĀNG【䋄《纲⬅綱》】コウ・つな
・JIǍNG【𮗻《讲⬅講》】コウ
・GÒU【𧵈《购⬅購》】コウ・あがな-う
・ZUÀN【鉆《钻⬅鑽[鑚]》】サン・ダイヤモンド・ドリル
・CHÁN【𩝎《馋⬅饞》】サン・むさぼ-る
・ZHÌ【貭《质⬅質》】シツ・シチ
・ZÒNG【𥾺《纵⬅縱[縦]》】ジュウ・たて
・ZHŌNG【鈡《钟⬅鐘》】ショウ・かね・とけい
・SHÉNG【䋲《绳⬅繩[縄]》】ジョウ・なわ
・ZHĪ【𥿗《织⬅織》】ショク・シキ・お-る
・ZĀNG【賍《赃⬅贓》】ゾウ・かく-す
・YÀO【葯《药⬅藥[薬]》】ヤク・くすり
・YÀO, YUÈ【鈅《钥⬅鑰》】ヤク・かぎ
第一批簡体字
1935年に中華民国教育部で発表された統一略字で、中国語で最初に規範化された字形です。
ウィキソースの『第一批簡体字表』で一覧が見られます。
・YÁN【𥂁《盐⬅鹽[塩]》】エン・しお - 日本の新字体とは《土》の配置が異なる。
・KĀI【𫔭《开⬅開》】カイ・ひら-く・あ-く
・GUĪ, QIŪ, JŪN【𬺞《龟⬅龜[亀]》】キ・かめ
・YÌ【兿《艺⬅藝[芸]》】ゲイ - くさかんむり《艹》がそいち《䒑》に変化している。
・XIÁN【𬥎《贤⬅賢》】ケン・かしこ-い
・KUÀNG【卝《矿⬅礦[鉱⬅鑛]》】コウ
・HÉ【𬮤《阖⬅闔》】コウ・とびら
・ZHǏ【帋《纸⬅紙》】シ・かみ
・RÚ【㐵《儒》】ジュ - 二簡字では《𰁡》。
・CÓNG【樷《丛⬅叢》】ソウ・くさむら
・ZÚ【卆《卒》】ソツ - 日本の新字体では偏旁として用いる場合に限り略字化される。二簡字に導入された字。
・TĪNG【厛《厅⬅廳[庁]》】チョウ
・ZHÀO【𧺉《赵⬅趙》】チョウ・すばしっこ-い
・BÈI【俻《备⬅備》】ビ・そなえ-る
・FĒNG【凨《风⬅風》】フウ・フ・かぜ
・MÀO【皃《貌》】ボウ - 本来の字形で、二簡字及びJIS略字に導入された字。日本語における本来の略字は《㒵》。
・ME, MÓ【庅《么⬅麽[麼]》】マ - ウィクショナリー英語版では《麼》が正字とされてる。
・LIÚ【𬎿《留》】リュウ・ル・と-める・とど-まる
シンガポール漢字
簡体字統一以前のシンガポールで、1969~76年に公的に使用されていた略字です。
前述の『漢字簡化方案』における簡化偏旁定着以前の字形や、日本の当用漢字とほぼ同型の略字が採用されました。
一部は'77年の中国で制定された二簡字にも導入されました。
日本語版ウィキペディアに解説が記載されています。
・HUÀ【㓰《划⬅劃[画]》】カク - 日本の漢字では《画》と統合された。
・KÙ【衭《裤⬅褲[袴]》】コ・ズボン・はかま - 日本の漢字では《袴》と統合された。
・GUÓ【囯《国⬅國》】コク・くに - 1930年代の中国や日本にも見られる略字。
・SÀI【𡧳《赛⬅賽》】サイ・しあい・さいころ - 二簡字にも採用された。
・SUÌ【𭭚《岁⬅歲[歳]》】サイ
・SHĪ【𤞏《狮⬅獅》】シ・ライオン
・CHÁNG【㘯《场⬅場》】ジョウ・ば
・RÀNG【誏《让⬅讓[譲]》】ジョウ・ゆず-る
・XÌN【伩《信》】シン・しん-じる - 二簡字に採用された字。
・CHUĀNG【囪《窗[窓⬅窻]》】ソウ・まど
・TÁI【枱《台⬅檯》】ダイ・つくえ
・DÒU【鬥《斗⬅鬭[闘⬅鬪]》】トウ・たたか-う
・BŌ【𫝼《拨⬅撥》】ハツ・は-ねる
・FĀ【発《发⬅發》】ハツ・ホツ
・FĒI【𮨶《飞⬅飛》】ヒ・と-ぶ
・BĪNG, BĪN【梹《槟⬅檳》】ビン・びんろうし
・FÙ【覄《覆⬅复⬅覆》】フク・おお-う - 二簡字廃止以降は中国大陸で正字に戻された。
・YÀO【𡚩《要》】ヨウ・い-る・かなめ
・LÁI【耒《来⬅來》】ライ・く-る - ユニコードでは《来》の略字が“ライ・すき”の簡体字の字形と同一であることから統合された字のため、異体字セレクタ‘🆚18’を使用しなければ日本語環境で《耒󠄁》は表示不可能。
・LIÚ【畄《留》】リュウ・ル・と-める・とど-まる - 二簡字及びJIS略字に採用された字。
簡体字のルールと異なる略字
チワン語の古壮字に使用されるものもあります。
・ÀN【𬮴《暗⬅闇》】アン・やみ - 1956年の中国語異体字整理で《暗》と統合された。
・YÙN【𱂐《韵⬅韻》】イン
・GUÒ【𬨨《过⬅過》】カ・す-ぎる・す-ごす
・KĀI【𫔭《开⬅開》】カイ・ひら-く・あ-く - もんがまえ《门⬅門》は本来付加されないが、簡化偏旁の対象外のため《鐦➡锎》の場合に適応される。
・XIÁN【𫔮《闲⬅閒[閑]》】カン
・GUĀN【𬮦《关⬅關[関]》】カン・せき・かか-わる
・YUÀN【𫖸《愿⬅願》】ガン・ねが-い
・GĚ【𠮶《嗰》】コ*・あれ - 広東語〈go²〉[ゴ]を示す方言字で《个⬅個》は簡化偏旁の対象外のため、簡体字表記の広東語でも正字で表記される。
・HÉ, GĚ【𬮤《合, 阁⬅閤》】コウ - 異体字整理で《閤➡閣➡阁》となったが、単語では《合》が使用されることが多い。
・HÒNG【𬮢《哄⬅鬨[閧]》】コウ・かちどき
・ZUÀN【𰿆《钻⬅鑽[鑚]》】サン・ダイヤモンド・ドリル
・JĪ【𰣼《⿸疒⿰禾责⬅癪》】シャク - 日本の国字のため、ユニコードに本来の簡体字が採用されていない。《積➡积》は簡化偏旁に適応できない。
・ZHÀN【𢧐《战⬅戰[戦]》】セン・たたか-う・いくさ - 日本の新字体と点の数が異なる。