グロースステージでのバリュー言語化 ーー スタートアップの成長で失われるもの #UbieCorporateアドベントカレンダー
導入
こんにちは。Ubie 共同代表の久保です。
この度 Ubie では全社の共通のバリューをアップデートしました。実際に策定したコーポレートバリューについては以下のnote をぜひ御覧ください。
Ubie では会社が目指したい長期での世界観をビジョン、企業として果たしていくべき使命をミッション、日々の行動指針としてバリューを制定しています。
また、組織としては Discovery, Customer Science, Pharma Innovation, Corporate の4つに分けており、それぞれの作りたいカルチャーごとには別々のバリューをつくるという運営方針でした。
組織を複数に分けた状態で3年ほど運営してきましたが、事業拡大にともない2022年春〜秋にかけて組織構造の再編を行いました。その再編にあわせて、改めて全社共通のバリューを選定し、各組織固有のバリューは廃止しています。その経緯についてお話します。
これまでのバリューの紹介
今回、全社バリュー策定にともない、各組織のバリューは廃止としています。過去の各組織の バリュー は以下の通りです。
組織の間で共通部分もありますが、それぞれの組織で独立したバリューになっているのが見て取れます。
全社共通バリューをつくった背景
Ubie の4つの組織は、それぞれでカルチャーや果たすべき役割が異なります。今までは、各組織がそれぞれに自組織の担う役割を最大限にまっとうできていれば、それぞれの行動指針が必ずしも一致する必要はありませんでした。一方、事業と組織が大きくなってくると、情報差分や目的のサイロ化によって組織間にコンフリクトが起きる場面が増えてきました。
例えば以下のような場面です。
コーポレートとしてはガバナンスを含めてリスクを避ける部分を優先する一方で、事業側はよりアグレッシブな施策を打ち出したい。
プロダクト組織は汎用性を重視する一方でセールス側はより顧客に寄り添った提案をしたい。
今までは意思決定における優先順位や基準が存在せず、コンフリクトが起きた際にも会社としての方針統一の意思決定をすることができず、メンバーも議論に労力を費やしていました。
組織を統一しない理由
また、バリューだけを統一するのではなく、他の会社のように組織を統一するというアイデアもありました。しかし、Ubie 全体としては個々の組織で独立させることにより、各組織における採用の効率化、コミュニケーションの効率化、熱量の担保を重視しています。
この点についてはまた別途note等で発信しようと思っています。
トップダウン、ボトムアップ双方の要素でバリューを決定
バリューを決定する際には、まず各組織から数名ずつバリュー策定に関わりたいメンバーを募りました。20数名のメンバーで提案及び議論を繰り返しながらバリューの候補を出していき、最終的には私と共同代表の阿部の二人でバリューを決定しました。
Ubie のミッションビジョンはトップダウンに共同代表で独断決定しています。一方でバリューに関してはボトムアップの要素を強くしています。自分たちで決めたバリューを持つことにより、その後の浸透やコミットにつながると考えるからです。
組織成長の中で失いたくないものをバリューに
ボトムアップとトップダウンを組み合わせた議論の結果、普段の意思決定に使いたいと思える価値観は「組織が成長していく過程で失われるもの」に自然と集約されていきました。
それぞれのバリューでどんなことを防ぎたかったかを書いていきます。
1. 大きな未来への投資をし続けるための “Giant Leap”
組織が大きくなるほど合議が多くなり、リスクや穴がある施策はやりにくくなります。
特に医療のビジネスをしている Ubie では、リスク最小化の優先順位が自然と高くなりがちです。また、専門性が高い意思決定ほど、経験者、有識者の意見が優先されゲームチェンジをするようなアイデアも途中で消されがちです。
日本でヘルスケア領域のビジネスが大成功をするのが難しい理由の一つに、破壊的なイノベーションではなく、漸進的イノベーションを重視する風習があるのではないかと思っています。
Ubie がやろうとしていることは、患者を適切な医療へマッチングさせるということです。そのミッション実現にはまだまだ多くの障壁があり、破壊的なイノベーションをこれからも生み出さないといけません。
それぞれのメンバーが、常に前年の20%成長ではなく1000%の成長を目指し、ゲームチェンジに繋げる意思決定を優先してほしいと思い “Giant Leap” というバリューを選び出しました。
2. サイロ化を防ぐ “Trust & Ownership”
組織が大きくなると、効率化を図るために仕事は細分化され、各メンバーの全社的な事柄への関心が薄れていきます。Ubieは組織を分けていることもあり、よりサイロ化が起こりやすい構造になっています。
そうならないように各組織の代表が経営チームとして横の連携をしていますが、メンバー全員が全社観点で日々の業務の意思決定をするのは容易ではありません。
普段から、効率を重視するため他組織を信頼していくことが重要です。しかし、それだけではサイロ化を防ぐことができないため、オーナーシップという言葉も付け加えました。
例えば CS (カスタマーサクセス) のメンバーがプロダクトに対して課題を持っていて、改善要望や課題をプロダクトチームに共有したとします。その後 PO (プロダクトオーナー)が仮にその CS の持ってきた課題の優先順位を落としたとしましょう。PO の意思決定を尊重 (Trust) しつつも、CS が全社観点で考えたときに正しいかを問い直した後に意義があればちゃんと議論をすべきです。
上記の例は非常に典型的な例ではありますが、組織が大きくなるとリスペクトを欠いたり、任せっぱなしになったりするということが増えていきます。
3. スピードが遅くなることを防ぐ “Full-throttle, but Safe”
こちらも組織の大きさによりスピードが遅くなることを懸念したものです。一度スピードを落とした組織の意思決定を早めることは非常に難しいです。そのため、多くの企業がスピードを保つためのバリューを設定しています。
例えば Amazon の Jeff Bezos 氏は、同社がスケールした後も意思決定のスピード感を重視しており、不可逆な意思決定と可逆な意思決定を見分けることの重要性を強調していました。可逆な意思決定に関してはリスクを取ることを従業員に推奨していました。
上記のように偉大な企業でさえスピードを求め続ける点を見ても、組織成長の副作用に速度の低下が予想されます。そのため、Ubie では Full-throttle という疾走感を意味する言葉を選びました。
また、それだけでなくUbie のフェーズが変わってきたと感じるのはここに but Safe を入れたという点です。
ユビーは今では月間700万人が使っていただくサービスへ進化しており、スピードを優先するだけでなく、安心を同時に担保する必要があると感じているからです。
対立関係のある2つの概念を「&」で追求したことは、その時々の全体最適観点でベストなバランスを生み出すためです。 例えばコストを単純に減らすだけなら難易度はさほど高くありませんが、「QCD」と考えると、判断が難しくなる一方で最適なバランスにつながりやすくなります。それと同じように、実現が難しくても、その時々で最適なバランスを一人ひとりが考えていくことを重視しています。
最後に
バリュー自体の制定は終わりましたが浸透していくのはこれからです。
普段から、「それ Trust & Ownership じゃないよね」、「Giant Leap を生み出す施策を思いついた!」といったように、バリューが普段の会話で利用され、意思決定に使われ続ける文化を今後も醸成していきます。
We’re Hiring
新たに全社バリューを制定した Ubie ですが、今後も圧倒的に採用を行っています。
カジュアル面談等もやっています! 4つの組織のそれぞれのリンクを貼るのでぜひご応募ください!
Pharma Innovation (製薬事業開発)
Discovery (Product)
Customer Science (医療機関ビジネス)
Corporate (コーポレート)
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