【読書記録】武田信玄
結婚をきっかけに
実家を離れることになって
父が貸してくれた本。
新田次郎さんの著書は初めて。
武田信玄といえば
誰でも一度は名前を聞いたことがあるくらいの有名な戦国大名だけど正直何を成し遂げた人なのか。。。
漠然と"すごい人"としか認識していなかった。
武田信玄の一生が
風の巻
林の巻
火の巻
山の巻
全4巻で綴られている。
縦読みしたら
"風林火山"
全文は、
"はやき風のごとく
しずかなること林のごとししん
りゃくすること火のごとく
うごかざること山のごとし"
もともとは孫子の兵法。
この"風林火山"を使って
兵士の士気を上げ、
武田軍はこの言葉のとおり動き、恐れられる軍だったと。
信玄は中国の兵書をたくさん読んでいたようだけれど、陶酔していたわけではなく、文学的表現に敬意を払っていたそう。
戦術はきわめて常識的なもので、勝つためには軍を形成する個人にかかっているとして
そこから、人を作り・治めることを大事として甲州法度を作った。
人々が安心して暮らせるように。
武田信玄は
もともと武田晴信という名前だったが
出家して武田信玄と名前を変えた。
晴信のスタートは
父である信虎を追放することから始まる。
信虎の奇行を見兼ねて
家臣と共謀し、父を今川家へ預けた。
武田家城主となった晴信は
そこから京へ昇るという目標へ向けて
甲州から関東へ勢力を広げていく。
新田次郎さんは
歴史小説は
歴史に忠実であるべきという信念をもって
書いているそう。
所々に出典だとか、
細かな説明が加えられていて
小説としては初めての感覚だった。
物語として書くために
フィクションも交えてあることすらも解説が入っている。
小説を読んでいるのに
まるで新田次郎さんから話を聞いてるみたい。
信玄は戦の駆け引きでは天下に並ぶ者がいないといわれた名将だったそう。
そのためには、特に情報と金を大事としていた。
○情報:忍を各地に配置して、どんな時でも必ず報告を受けた。この武田家の忍として、山本勘助が知られているけれど、著者は架空の人物として考えているとか。
○金:金で解決できるのであれば...と、戦をするより金の方が安いという考えで、金山採掘に力を入れ続けた。
情報と金が大事、というところは
今も昔もそれほど変わらないのかも。
何百年も前に生きていた信玄がこの考え方をしていたと思うと、いかに優れた武将だったか、よく分かる気がする。
武田信玄と同時期の武将としては
上杉謙信、足利家、今川家、小笠原家をはじめ
織田信長、徳川家康、朝倉家、浅井家など
世に知られた武将たちが登場する。
特に上杉謙信とはライバルのように思えた。
秀才の信玄と、天才の謙信。
そんなふうに描かれているように感じた。
歴史のとおり、小説の結末も
最終的には滅びへ向かってしまう。
武田信玄がもう少し長生きだったら
日本の歴史は大きく変わっていたかもしれない、
なんて想像してしまう。
4巻の大作で
読むのは少し大変かもしれないけれど
どんな境遇の人にも
何かしら響く言葉が見つかるのではないかと思う。
私はもう少し長生きして、また読み返そうと思う。
その時何を想うかな。
おしまい。
***
後日、この小説を読んで縁の場所へ。
諏訪大社
湖衣姫さん、お邪魔しました。