四月を滑る*短歌八首

春がきてさみどりいろのけやきの葉ねむの葉のように風にそよいだ

ひこうき雲消えゆくときも真っすぐに君の中に見た春のはじまり

この春のいちばん大きな満月に向かってフリースローの真似を

新しいメモリスティック挿しこんで今日までのこと上書きしていく

自販機の新商品の涼し気なパインソーダをいつも見ている

花に名があってよかったきみに歌があってよかったもう少し歩ける

十月の辻を今年また歩くだろうよく似た影法師と連れ立って

旅立ちを急がなければ白い帆に風はらませて四月を滑る



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