秋の十首*ライムソーダもしくはミッフィーのドウダンツツジ
にがうりが黄色くなってわれているすこしすずしい風が吹いている
生きていくための持ち出し袋には刺繡道具とみすゞ飴しのばせ
目覚めると左手で握りしめているアイフォーン誰ともつながれずいる
ハルシオン花の名まえに似ているねつめたい水とのどをすぎゆく
そんなにはたやすく変われないでしょうライムたらしたソーダの香り
アマゾンで買った左川ちか全集 目で見えるものを見ているわたし
「しあわせになってほしいと思わせるような短歌をあなたはうたう」
せんぱいが息はずませて差し入れの月見バーガー抱え現る
スーパーでイワシを買った帰り道今年はじめのいわし雲見ゆ
いつか見たドウダンツツジはミッフィーのかたちに刈られとっぷり赤く