2023/01/04 BGM: Original Love - 月の裏で会いましょう
今日は遅番だった。明日からまた図書館が開くので、借りたい本を自分の中で整理する。前に「タイパ」について書いたことがあったけれど、「タイムパフォーマンス」を重視する風潮についてミヒャエル・エンデ『モモ』を思い出したので、きちんと読み返してみたいと思った。あとはダニエル・デネット『心はどこにあるのか』を読んでみたいとも思う。とはいえ、私の読書はいつも出たとこ勝負なので、いったいどんな本を読みたくなるかは私にはさっぱりわからない。結局読むと決めて借りた夏目漱石も読まないままに終わってしまったのだった……。
今日の読書は坂本龍一・後藤繁雄『skmt 坂本龍一とは誰か』だった。再読になるのだけれど、この本からは多くを学べそうだ。坂本龍一はこの本の中でアイデンティティの一貫性について異を唱える。今日の自分と未来の自分はまったく違うかもしれない。将来どんなことを考えているかはわからない。また、わかる必要もないのかもしれない。下手に一貫性にとらわれず生きた方がラディカルに考えられるのかもしれない……こういう考え方を「スキゾ」というのだろうか。私自身、アイデンティティをドラスティックに変遷させることを恐れてはいけないのかなと思う。
その後千葉雅也『現代思想入門』を読む。千葉雅也は、クソ真面目に1つの問題に固執して生きる必要はないとこの本の中で説いていると受け取った。直面すべきはその時々に起こる細かな問題なのだ、と。それらを逐一解いて生きることが大事である……おその場しのぎな生き方のように見えるかもしれない。だが、この考え方はリアリスティックであるとも思った。千葉の整理はコンピュータ用語を使った極めて鮮やかなものではあるが、ベースにあるのはこうした具体性と向き合い現実的に処方箋を書いていく優しさなのだと思う。この本を読み、ミシェル・フーコーの論理を学びたくなった。
そして、私自身の生活に思いを馳せる。千葉雅也は、具体的にはペットを飼ったりすることが他者性を自分の中に取り入れることだと語っている。私はペットは飼っていないが、発達障害ゆえの困りごとと毎日向き合って暮らしている。その意味では私は自分の生々しい他者性に手こずりながら生きているとも言えるのだった。その他者性を、しかし私は回避することはできない。その都度いろいろなライフハックを試しながら暮らしていくしかない。だが、発達障害というラベルにこだわりすぎるのも苦しくなる。本当にイージーな生き方とは何だろう、と考えてしまった。坂本龍一に倣って私もアイデンティティの軛から己を解放することを試すべきなのかもしれない。