もののけ姫から考える新型コロナウィルス
もののけ姫https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%AE%E3%81%91%E5%A7%AB
これは、まさに「タブー」とされる病の壮絶さを語るのに相応しいアニメでした。
右手に呪いを受けたアシタカが、村を出て治す方法を探す旅です。
アシタカは旅の途中で、エボシ様というタタラ場の女性支配者と知り合います。
エボシ様がアシタカに
「私の秘密を見せてやろう」
とアシタカをタタラ場の2階に連れて行きます。
そしてこう言います。
ここは誰も近寄らぬ私の庭だ。
このシーンはアニメの歴史に残るシーンです。
タタラ場の2階の空中庭園の部分に、家庭菜園のようなものと小屋があります。
小屋には包帯でグルグル巻きの人々がいます。*火傷したとか、怪我したひとではなく、
ハンセン病 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E7%97%85
患者を描いています。
所謂ライ病患者です。
治療しないと感染により運動神経が麻痺し、筋肉が萎縮し、手足が変形。顔も変形し、眉毛やまつ毛が抜け、角膜炎や虹彩毛様体炎で視力を失う可能性もあります。
最終的には、鼻が崩壊してしまい、鼻汁などで鼻が詰まったりすることで、顔や声が変わってしまう悲しい病気です。
エボシ様はハンセン病で行き倒れた人や、村から放逐された人々を集めて、このタタラ場に居場所を与えて、石火矢(鉄砲)を作らせています。
石火矢は歴史では、中国の明から輸入されたそうですが、火力的に不足し、重いので、女の人でも使えるように、軽量化させて威力を増した改良型の石火矢をつくるという非常に高度なことを彼らにさせています。
エボシ様はハンセン病の人から石火矢の改良具合を聞いていて、アシタカも同行させます。
これに対してハンセン病の人の一人は
こわやこわやエボシ様は国崩しをされるつもりだ。
と言いますと、アシタカが怒りの表情になり叫びます。
これでもまだ足りずに森を焼こうとするのか!
すると呪いを受けた右手が、ガガーっとうずきます。
右手が勝手にエボシ様に斬りかかろうとするのをアシタカが押さえます。
その時に奥にいたハンセン病の長が出てきて、アシタカに話かけます。
おそらく長はハンセン病の末期の段階で、全身包帯グルグルでここでの話は非常に泣けるシーンです。
「お若い方、私も呪われたゆえ、あなたの怒りや悲しみはよくわかる。わかるがどうかその人を殺さないでおくれ。その人は私達を人として預かってくださった。たった一人の人だ。わしらの病を恐れず。わしの腐った肉を洗い、布を撒いてくれた。生きることは誠に苦しく辛い、世を呪い、人を呪い、それでも生きたい。どうか愚かなわしに免じて」
この長の包帯の目の部分が、**両目がしっとりと濡れていきます。
涙なしには見れないシーンです。
エボシ様が、ハンセン患者の人々に、石火矢を作らせることで、生きる居場所を作っていたのでしょう。
今ではハンセン病というのは、呪われているわけでもなんでもないわけです。
しかしこの当時は業病と呼ばれました。
人間の業の病。
前世で悪いことをしたから、現世で災いが起きている。
自業自得だと。
でも現在では治療したら治ります。
成人との間ではほとんど感染もしません。
前世とは関係なかったことが現在ではわかっています。
しかし人権蹂躙するような差別や偏見が20世紀まで続きました。
1992年までハンセン病療養所 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E7%97%85%E7%99%82%E9%A4%8A%E6%89%80
という場にハンセン病の方が入れられて、断種や堕胎が行われてきました。
これは残酷以外のなにものでもない、日本の優生政策の一環と私は考えています。
まるでハンセン病の方々は、国家によって家畜のような扱いをされてきたのです。
なにも悪いことはしていません。
不幸にも病気になっただけです。
この問題は人権団体からの抗議の可能性があったのでタブーとされてきたそうです。
戦後の日本の大きな闇の一つです。
宮崎駿はあえてたった5年後の1997年に、この問題をもののけ姫で社会にぶつけてきました。
そしてこの表現は人権団体からの抗議はなかったそうです。
また宮崎駿監督は後に講演会で、もののけ姫を制作する前に、ハンセン病療養所を訪問したことを明かしています。
「『もののけ姫』を作りながら、ハッキリと業病といわれた病を患いながらちゃんと生きようとした人たちのことを描かなければいけないと思った」
と述べています。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000067123.html
2019年7月11日
「もののけ姫」と「ハンセン病」 #クロス
https://togetter.com/li/1375184
私はこの作品は、宮崎駿監督が、アニメ映画監督人生を賭け、ハンセン病の人々が、生きた証を残そうとしたもっとも挑戦的な映画だったと考えています。
今、人類はコロナと、戦っています。
コロナを憎んで、コロナ患者を憎まず。
筆者は新型コロナウィルスが、ハンセン病のように差別の対象にならないことを祈っています。
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