日本のデニムを世界から愛されるブランドに~JAPAN DINMの商品開発を手掛けるNO LIMIT FACTORY様~
私達はキノデニムの企画開発を進めるにあたり、主にデニム製品のOEMを生業としているNO LIMIT FACTORY様にパターンと縫製をお願いしました。
今回はNO LIMIT FACTORY代表の後藤様へのインタビューを通して、日本のデニム産業が取り組んでいる問題と共に、キノデニムの縫製へのこだわりを知っていただければと思います。
まずは事業内容について教えてください。
デニムの産地である広島県福山市を拠点に2015年に設立したデニム製品をメインに、メイドインジャパンにこだわった商品の開発から製作が可能なOEMのコンサルティング会社です。
私や社員も含めジーンズソムリエという資格を持っているため、縫製だけでなく材料からパターンも含め、デニム製品の商品開発に関わるすべての工程を支援可能であるというのが特徴です。
後藤さんはなぜデニムの世界に入られたのですか?
もともと福山市の生まれで、父がデニムの縫製工場を経営していたのと、この辺りはデニムの産地ですので、生まれたときからずっとデニムや繊維工場に囲まれて育ってきました。そのため、そのまま自分自身もデニムの縫製職人となり、自分自身の会社を設立し、現在に至っているという感じですね。
ちなみに祖父は「絣(かすり)」と呼ばれる技法を使った織物の事業を営んでいました。
広島県の東部や岡山は現在はデニムや綿素材の産地なのですが、より遡ると「絣(かすり)」と呼ばれる技法を使った織物の産地で「備後絣」として絣の中では全国のシェアの約6割を占めていたんですね。
それが時代の流れと共に生産量が減り、デニムへと置き換わったという背景があります。
なぜ広島・岡山では絣の産地からデニムの産地になったのですか?
絣はかつて着物の生地として重宝されていたのですが、着物から洋服の時代へと変わったために絣の生産量が減り、絣の生産工場が存続の危機に晒されてしまいました。その変化のなかで、かつて絣の生産工場だったところが絣と製法がよく似ているデニムを作り始めるようになり、デニムの産地になったという歴史があります。
絣もデニムもインディゴで染めて織り上げていくという素材なので製法としてはよく似ているんです。
一方でデニムも1988年頃にピークを迎え、現在このあたりでデニムや縫製に関わっている人や工場は当時から約5分の1程度まで減ってしまっています。
かなり減ってしまいましたね…。なぜなのでしょうか?
海外から安くてそれなりに質の良い服がどんどん入り、服の選択肢が増えたため、国産デニムが売れなくなってきているんですよね。
素材の品質や縫製、デニムの企画等、デニム作りにおいては非常に高い技能を持っているにも関わらず、このままだと国産デニムがなくなってしまう。
その流れを変えていくために福山市が主体となって備中備後ジャパンデニムプロジェクト が立ち上がり、私たちもプロジェクトに参画しています。
備中備後ジャパンプロジェクトとはどのようなプロジェクトなのでしょうか?
ジャパンデニムの産地であることの知名度を高め、産業の活性化を目指す、要は「デニムの産地」であることを守ることを目的として始まったプロジェクトです。
このプロジェクトは大きく2つの活動に分かれており、PR活動をメインとしたプロジェクトと「JAPAN DENIM」というブランドとしての活動という側面があります。そのなかで我々は主にブランド内での企画、デザイン、製品化という役割を担っています。
ブランドの顔であるJAPAN DENIMという商品作りをメインで携わらせていただきました。
JAPAN DENIMにおける製品づくりはどのように進められたのでしょうか?
世界に愛されるブランドであることを目指しているという背景から、目利きのプロであるバイヤーチームと直接やりとりをして彼らから出てきたアイデアや要望をデザインやパターンに落とし込むという部分を私達で担ってきました。
デザインだけでなくSDGsやカーボンニュートラルといった側面も考慮し、使う水の量や運搬にかかる二酸化炭素の放出等、そのような部分まで製品の中に落とし込んでいくといった部分まで担ってきました。
このような形で関わっている経緯があってか、2020年に「エフピコアリーナふくやま」という大きな体育館が福山市にオープンしたのですがそこで飾るデニムタペストリーを作って欲しいと福山市から依頼をいただきまして、オープンから現在に至るまでずっと飾っていただいています。
これまで素晴らしい取り組みに数多く携わられていた後藤さんから見て、私たちが作ろうとしているキノデニムについては当初どのように感じられましたか?
和紙を糸にしてい作るデニムというもの自体は真新しいものではないのですが、間伐材を原料とし、今使われていないものからデニムを生み出すという点は良いなと思い、まずコンセプトに賛同しました。
広島や岡山はデニムの産地であると共に木工の町とも言われていて、木工屋を営んでいる知り合いも身近にいますし、その意味でも非常に親近感を感じました。
そして最初にサンプルの生地をいただいたときに、綿とも和紙の生地とも違う魅力を感じました。
生地についてどのように感じましたか?
ずっとジーンズソムリエとして数多くの生地を扱ってきているのですが、それらと比較して木材感、パルプ感が残っているのが今までにない素材感だと感じました。それが硬いとか痛いとかじゃなく綺麗な生地だと思ったんです。
ただ最初インディゴ染めのものをいただいたので、そこに違和感は感じていました。インディゴは化学染料で1kgの染料を作るのに100kg以上の石油を使うので環境負荷が大きいんですよね。
なので最終的に染料を使わず生成りのままでデニムを作りたいというお話をいただいたので納得感を持って進めることができました。
生地としての魅力やコンセプトとしても非常に将来性を感じたので応援しています!
ありがとうございました!
私たちについて
quisquiliaは現在使われていない、不要となっているものを価値あるものに変えることを目指すブランドです。
その第一弾である間伐材を原料とするキノデニムの商品化に向けてマクアケでプロジェクトを開始しました。
ぜひ応援をお願いします!