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20歳男子大学生の生存戦略。【冬至一念】
俺が男に産まれたのは、なぜなのだろう。そう考え始めたのは、自分が男としてあまりにも情けない日々を送っていると感じた、高校生半ばぐらいからだ。地元の高校の周りは、日銭を稼ぐことを考えているヤツばかりで、頼りないなと思うと同時に、どうして自分の価値に正当な対価を受け取ろうとしないのかと疑問に思っていた。ゴミ山とそこで働く作業員たちの丸まった背中を、草臥れた校舎から見下ろすたび、絶対にこうはならないと覚悟を決めた。
冒頭に投げかけた問いは、なにもネガティブなマインドから来ているものではない。俺はこの“自分が男であることの意味”を今一度再考することは、殺伐としたこの国の生存競争で勝ち抜くために必須だと考えているのだ。遠い昔、日本がまだ狩猟採集をしていた時代、男は自分の家族を幸せにするために、ライバルとバチボコに殺り合っていたのだと聞く。今はもちろんそんな時代ではないが、それでも、幸福を追求する過程では必ず、ライバルと戦わなければいけない場面が訪れる。それは、男として産まれた者に与えられる当然の試練である。狩猟で例えるならば、武器を使いこなせるヤツの方が圧倒的に有利なわけで、素手で戦おうとするようなヤツは頭が悪い。賢くなければ戦いには勝てないし、効率だって悪いのだ。だからこそ、俺は自分で自分の武器を見つけるし、戦場も選ぶし、頭を使って戦うのだ。「風が吹けば飛ばされそうだね」と身体つきを笑われた時には、内心ではブチギレるが、顔には出さない。無駄な戦場で血を流す必要は無いからだ。馬鹿にしてきたそいつを見返すために、家に帰ってすぐ筋肥大の方法を調べ、翌日にはジムに出掛けて筋トレを始める。異性から常に求められる男は、自分に甘えることなく、アクションを起こすまでが早いのだと思っているからだ。
俺は昨日の自分より今日の自分が最強で最高だと思っている。そして、明日はもっと強くなっていると確信している。現状に満足はしていないし、自分は強くて凄いと自負しているのだ。この記事を読みながらニタニタと笑っている読者がいるのなら、お前は間違っていると思う。「ジェンダーがどうだ」「多様性があるからこうだ」などと御託を並べているうちに、周りのヤツが自力で幸せを掴んでいるのに気づいた方がいい。大学あるいは職場と家の往復だけを繰り返す日常に、彩りはあるか。例えば、大学や職場に行けば、必ず昼食を一緒に摂る友人がいるとか、帰りの電車に乗ってれば「今夜家に来てほしい」と連絡をよこしてくる異性がうぜぇほどいるとか、そういうのだ。「そんなのドラマの中だけの出来事だろ」と一蹴する顔が浮かぶ。だけど、俺らが求めている幸福というものは、ドラマや映画のような日々のことだろう。それを現状得られてないことに悔しさや腹立たしさを覚えない方が、おかしい。生まれつき顔が整っている男は、なんの苦労もせずこれらが手に入る。選ばれる。選ばれなかった俺たちは、そもそもが「残念だったで賞」なのだ。進研ゼミの努力賞をもらって狂喜乱舞しちゃうような人間で、学校から授与される皆勤賞で鼻の穴を膨らましてしまうような人間だ。だけど、イケメンは日々があまりに充実しているから、そんなものはバカバカしいとハナから思っている。大袈裟かもしれないけれど、これが人生だ。給料日にTENGAを買い、「今日はリッチだ」などと言いながらオナニーして、何も考えずに発泡酒でポテチを流し込み、ネトフリで時間を溶かして、挙句眠くなったらガキみたいに寝る。これを幸せと定義しているならば、一生伴侶を見つけることなんて出来ないに決まっている。その間にも顔が良い男は旬の美女とデートをしていて、しまいにはセックスまでしている。だけどここまで読んでくれたあなたなら、何が足りないから俺らは選ばれないのか薄々気づいているだろう。
それは、顔ではない。生存戦略だ。「残念だったで賞」の俺たちが、顔が良い男に勝つ唯一の方法。打算的になればいい。顔が良い男も、金銭感覚がバグってる港区女子も、苦労せずにモテてきた分頭を使っていない。だけど、俺らは味のしない飯を掻き込み、日々煩悩に蓋をしながら、謙虚に生きてきたはずだ。「弱者男性」とバカにしてきた陽キャに苛立っても、殺意を抱いても、手にはかけなかったはずだ。選ばれなかった俺らの方が、どう考えても偉いじゃないか。上昇志向のないイケメンや自分の価値を見誤った自称港区女子なんかは、旬が過ぎれば萎びて腐る。「残念だったで賞」の俺たちは、日々自分磨きや自己研鑽に明け暮れれば、そのうち鋼のように強くなるのだ。ランナーズハイになって風を切っていたら、後方で顔のいいヤツらが野垂れ死にしている可能性だってある。これが、俺の考える人生だ。
謙虚なのが美徳とされている日本で、その意味を履き違えてしまうことは多々ある。褒められても「いやそんなことないよ」と否定し、デートに来てくれた異性の下手に出る。そんなのを謙虚だと考えていたら、クソみたいなヤツに舐められる。財布を空っぽにしたって、愛されることなんか無い。弱者に見られているからだ。都合良いカモだと思われているのだ。だけど、それは相手が悪いわけではなく、自分が悪いのだ。強い人間にならなければ、我々は搾取される一方なのだ。
だから俺は、ずる賢く生きる。思ってもないことばかり言いながらも、異性に追い求められる存在になろうという軸は通している。ジムにわざわざ足を運び筋トレをして、ファッションにも気を遣って、強いマインドを手にするために日々経験を積んでいる。スキンケアやメンズメイクの勉強も怠らず、話題のアニメや流行の音楽をチェックし、食事の栄養管理まで徹底している。学生時代の斜に構えていた自分なら、今の俺を見て笑うだろう。だけど、泥臭く努力を続けることこそが選ばれなかった俺たちに課された義務で、男を上げるための必須条件なのだ。人を笑っているようなヤツは、いつまでも進化しないのだから、きっとこれでいい。
俺は暴力を振るう男は死んだ方がいいと思っている。なぜならば、そいつは弱いからだ。人に見えないところで交際相手に暴力を振るって服従させようとするヤツなど以ての外だ。血を吐いて後悔するまで、同じ目に逢えばいいとおもっている。本当に力を持っている人間はそこに怒りを乗せたりはしないし、自在にそれらを飼い慣らせるはずで、自分の欲望に正直でどうしようもないヤツに限って汚いことをする。要するにクズなのだ。クズは全員監獄にぶち込んで、一生取り除けないトラウマを植え付けられるべきだ。自分よりか弱い存在に拳を握った時点で、そいつに人権はない。男だなんて言わせない。
話が大きく逸れてしまった。嫌いな自分を例に上げて、これから頑張ろうと自身に語りかけるような記事にしようと思ったのに、また尖ってしまった。それでも、俺は毎日悔しい思いをしているということだけは伝えたい。どれだけ頑張っても、理想の季節は訪れなかった。まだ出会ってないあなたに向けて鳴らしているつもりだったギターは、自分の頭の中だけで不器用な音色を響かせていた。報われない苦労の果てに何かを掴めると信じて赴いたあの街は、醜く姿を変えてしまった。やっぱり世の中は**だと思った。膨れ上がった自尊心を誰にも認めてもらえないまま、どうせ冬を迎えるのだ。ここまで書いて、俺は察した。「男」という性別から逃れられない以上に、俺は自分から逃れられない。生まれた時点で醜くなってくことが約束された命に、尊さを見い出せない。……だからもう、待つこともやめにする。まだ出会ったことのないあなたのことも、俺はここで嫌いだって明言しておく。俺は誰よりも自分が好きで、あなたは俺を越えられない。散々跨いだ夜のこと、一瞬たりとも覚えてないから、あなたのことだって俺は知らないフリをできるんだ。愛と嘘の境を探していたら、風が冷たくなってきたし、古傷が疼いて仕方ない。もう何に対しても期待することはやめよう。ここまで読んでくれてありがとう。どうか俺にはならないで。
次回に続く➢➢
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