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保育ネタ:泣き止ます技? 意識することで技術となること

子育ては、多くの親にとって悩みや挑戦が絶えない日々ですよね。
ボク自身、仕事人間で妻に家庭を任せたままで、たまの休暇に子どもと対峙する際に戸惑うことも多かったものです。(遠い目)
子育てで大変なのは、遠い将来のことよりまず目の前にい自身の感情の爆発を自身でさえ制御できずにいる幼子をどうなだめるか、そこに戸惑うことが多かったですよね。

上記の記事でもある通り、子どもを取り巻く環境に関する悩みは勿論なんですが、子ども自身の感情に関することって結局どんなアンケートを見てもトップに上がってきますよね。

保育園で働く保育士ならプロだから悩まないでしょ? って。
いやいや、子ども一人一人性格や育ち、家庭環境が異なるので対応が違ってくるので、やはりその子にあったどんな対応の仕方がベストなのか、「今」のどんな対応の仕方がベストなのか探り探りの毎日です。
この度は、この方法が正解であっても、次はどうかわかりません。

ベテラン保育士の中には、子どもと接するのが上手と言われ、あやし方がとても上手な保育士がいるはずです。泣いている子も、怒っている子もその保育士の前に立つと徐々に高ぶっていた感情が収まっていく。そんな情景を見たことがありませんか。
彼女たちは、魔法使いでしょうか…。
一方、保育士たちに方法を聞いたところで、その説明を聞いて腑に落ちたことがあるでしょうか。
経験に基づいて行動している保育士は言語化するのが苦手なことが多いことがよくあります。
古い例えて言うと、野球のジャイアンツの天才打者長嶋茂雄の逸話の様で、
「ボールが来たら、バットをガー!と振って、ボールをバーンと打つ!」みたいなアドバイスになりかねません。

この状況を言語化している学者さんは既にいます。D.N.スターン先生です。
スターン先生は「情動調律」という概念で主に母子間に生まれる情動のやり取りを説明しています。
スターン先生の言う「情動調律」とは

スターンによると、母親との関わり合いで重要な役割を果たすのが情動調律です。

 情動調律は、主観的自己感の形成期で初めて観察される母子間の情動的な相互交流のパターンです。

 情動調律とは、親が乳児との感情共鳴の体験を自動的に他の表現型で表し、乳児とは別のパターンや行動の背後にある乳児の内的感情を反映するような行動の側面をまねることをいいます。

 情動調律は身ぶりや声の抑揚を通しての交流です。

 たとえば、乳児がおもちゃに興奮して「アー!」という喜びの声をあげ、母親の方を見みたとします。母親もその子の目を見返し、上半身を大きく揺ってみせる。その動きは子どもが「アー!」と言っている間続いたとしたら、親は子どもと同じ喜びと興奮に満ちているといえます。これが情動調律です。

http://rinnsyou.com/archives/820

楽器の音合わせのように言葉が話せない乳児が発した言葉を元に大人側が子ども側に調律するように同じような声を抑揚を合わせ、身体の動きも含め、情動を互いに調律していく様子などを総合して表しています。

この情動調律を基礎として日常保育に応用し、日々一人一人、状況に応じた使い方を経験を通して保育士オリジナルの使い方をしているのだから、一人の保育士が言語化するのは流石に困難でしょう。

とはいえ、まずはベースになっている技術が「情動調律」であり、それを意識化することで、一人一人の保育士、または親御さんが子ども達の情動に寄り添ったその時の対応ができるようになれば、子ども達の発達に役立つのではないでしょうか。

スターン先生の言う情動調律はそもそも言葉が発せない乳児期の言葉のやり取りを主に指していますが、経験上成長して言葉を発するようになっても、上手に充分表現できない年齢まで情動調律は可能のように見受けられます。
言葉が数語話せたとしても、自分の言いたいことを表現できるとは語彙的にも感情的にもまだまだ成長が未熟で、言語のみのやり取りに頼るのではなく情動でのやり取りは重要と思われるのです。

経験豊富で子どもとの付き合い方が上手な保育士は、子どものマイナスな感情から情動を合わせていき、徐々に情動を同期させていくことができます。
同期できれば、プラス方向へと情動を持って行ったり、情動を切り替えたりすることが出来るわけです。
もちろん、一日や二日の付き合いでできるわけではありません。
何回もの失敗と成功を重ねる点では、実際の真摯に子育てに向かうご家庭と同じでしょう。
その点では、子育てにおいて真面目に取り組み悩んでおられるご家庭の皆様は、成功と失敗体験を重ねている点では、プロの保育士と何ら変わりはないのだと思うので、自身の子育てにおいて心配はしなくていいでしょう。
客観的なアドバイスを入れる点を注意していれば。

【復習】
・「情動調律」という概念を理解して、行動化してみようとする。
・子どもの言語化にならない言語を拾うところから始めてみる。
・動きや表情も情動調律の概念なので、拾えたら大げさに拾ってみる。
 (子どもの真似をしてみる)
・目を見ながら行う。

相手は乳児なので世の中の体験数が圧倒的に少ないです。投げかけられた情動は大げさに返してあげましょう。人との出会い、鏡を見た回数、同じ年頃の友達との触れ合いも保育園に行っている子でも大人と比べると受動的で少ないです。テレビは一方的な反応のため経験の数に入れない方がいいでしょう。
保育園の先生がいかに表情豊かか、大げさかを思い出してください。

もし共感頂けたら、次の瞬間から目を見開き気味で大き目の声(周りに気を付けて!)で、場所は電車の中であれ、ショッピングセンターの中であれ、反応してあげてください。
日々続けていることでマイナス感情の時も情動が同期しやすくなり、落ち着きやすくなります。日頃のコツコツとした積み重ねが大事なんですよね。

是非試してみてください。










===書いた人==========================
民間保育園現役園長。
数年後の定年を前に次はできれば異業種へチャレンジしたいと考え勉強中。
個人HP作成中で今後その中でキャリアなど詳しく書いていきたい。

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