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香りと記憶と懐かしさ
こんばんは、ヒイラギハイチです。
寒い。一気に寒くなりましたよね?
一昨日の朝、通勤の道のあちこちで小さな虫がよたよた、ふわふわ、頼りない軌道で飛んでいるのを見かけました。あれは、おそらく雪虫。
雪虫が正式な呼び名なのか通称なのかも定かではないですが、体に白い綿を纏ったような小さな虫で、寒くなると出現します。前日までと比べて一気に飛びはじめたように思うので、時期が来て一斉に生まれたのかな、とか考えたりして。
また1つ、季節が進んだのを感じた朝でした。
さて今日は、匂いって以外と記憶と結びついているよね、ってことを体験したので、その話を1つ。
この間義理の実家にお邪魔した時に、なんかお茶飲む?って流れになって、いろいろあるけど何がいい〜?とお義母さん。
お義母さんはコーヒーもお茶も紅茶もいろんなものを楽しむ人なので、自分も、どんなのがありますか〜?と選ばせてもらっていました。
その時、
「あ、ハブ茶もあるよ」とお義母さん。
「えっハブ茶あるんですか!」と自分。
結構大きな声が出ちゃって、そんな自分にびっくりしました。その時の事を今振り返っても、気持ちが相当湧き立っていたなぁ、と観察できます。
ハブ茶、地域によっては普通に飲むものだと思いますが、自分にとっては「おばあちゃん家のお茶」です。
祖母の家の冷蔵庫には常にハブ茶が入っていました。遊びに行くと、いつもハブ茶が出てくる。他のお茶に比べて、少し匂いが独特だけど、その匂いが好きだったし、好んで飲んでいました。
また、祖母は畑でハブ茶を育てていて、それを乾かして炒ったものを直売所に出荷していたので、昔はその袋詰め作業を手伝ったりしてお小遣いをもらったものです。
今、祖母はグループホームに入っています。6年前に祖父が亡くなってから、がくっと弱ってしまって、家で暮らすことが難しくなりました。思い返すと、祖父が亡くなった時には畑仕事をあまりしなくなっていたから、もうその頃にはハブ茶は作っていなかったはず。
そして、祖母の家以外でハブ茶を飲む機会は、これまで一度もありませんでした。
そんな思い入れから、気持ちが湧き立ったのでした。
お義母さんが淹れてくれたハブ茶を手に取って、温かい湯気と一緒にその香りを吸い込んだ時、祖母と過ごした時の記憶がわぁーっと押し寄せてきました。一緒に袋詰め作業したこと、お茶を飲みながらおしゃべりしたこと。普段は思い出すこともないのに、ハブ茶の香りがそれらを引き連れてきたような、不思議な感覚でした。そして現在の祖母のことを思って、少し切なくもなりました。もう一緒には飲めないかもしれないな、と。
久しぶりに飲んだハブ茶は、やっぱり香りが独特で、とても美味しかったです。
祖母の家のお茶がこれで、すごく久しぶりに飲めて嬉しかった、とお義母さんに伝えると、そんなら持って帰り、とお土産にお茶っ葉を持たせてくれました。これも嬉しかった。
しんみりしてしまいそうで、なんとなく自分ではまだ淹れていないのですが、飲みたいなと思えた時に美味しくいただきたいと思います。
記憶と香りが強く結びつく、という話は聞いたことがありましたが、実際に自分が「こういうことね!」と体験したのは初めてだったので、今回記録に残しました。
自分の中で祖母との思い出は、ハブ茶と一緒に強く刻まれているのだと分かって、またそれを知ることができて良かったです。
次にハブ茶を飲む時には、香りと味と思い出を一緒に味わいたいと思います。
そんなことがあった、最近でした。
おしまい。