見出し画像

不安たって、なんもないよ

看護学校3年生の実習で
外科病棟に行きました。

私が担当したのは
胃癌の手術を控えた60代後半の男性Aさん。
長年トラックの運転手を
つとめてこられました。

私は、手術前後に安心して過ごせるように
パンフレットを作ったり、

Aさんの思いを吐き出せるように
工夫しました。

ところがAさんは、
「不安ったって、なんもないよ。」
と言って、
パンフレットには目を通さず
置いたまま。

私は拒絶されているのだと感じて
胃が痛い毎日でした。

無事手術を乗り越え、
術後の吐き気と闘いながら
食欲は一進一退する日々。

自分なんてなんの支えにもなっていない。
目障りだろうという思いが
のしかかったまま
それでも毎日ベッドサイドに通い
できることを見つけようとしました。

実習が終了する前日、
学生控え室にいると
ひょっこりAさんが現れました。

起き上がることも嫌がっていたAさんが

病棟の一番はじの学生控え室まで
回復のために廊下を歩いて来た。

別に私に会いに来たわけではないのだけど、
Aさんの前向きな様子に
私はとても喜んで
「Aさん!」
と声をかけました。

Aさんはにっこり笑って
手を挙げました。

これが、全実習の中で
一番心に残る場面です。

病室まで送ると
Aさんは
「ケセラセラ、だよ。
なるようになるさ。」
と、言いました。

CMなどで使われていた曲の歌詞だと
分かりました。
なんとなく
古い映画の曲なのだろうと思いました。

座学で習った
キュブラー・ロスの障がい受容のプロセス
を思い出していました。


1. 否認
2. 怒り
3. 取引
4. 抑うつ
5. 受容


Aさんが、
受容の段階に入られたことは
言うまでもありません。

翌日、ご挨拶をして
実習は終了しました。

心も体もしんどい時に、
学生がそばにいることを
許してくださったAさんに
感謝の気持ちでいっぱいです。

これから、私が病気になったら、
きっとAさんががんばっていた姿を
思い出すのだと思います。

そうやって
人は人を
励ますのだと思います。






あれから22年。
「ケセラセラ、なるようになるさ」
という言葉は、
私の心の支えになってくれました。

今では、
娘が大好きな
Mrs.Green Appleが
「なるようになるのさ
ケセラセラ」
と歌ってくれています。

ミセスの「ケセラセラ」のMVには、
子どもにご飯を食べさせながら
イライラしては自分を責めて
涙するお母さんが出てきます。

イライラしても大丈夫。
泣いたり笑ったり。
人はみな、
そうやって育ててもらったんだ。

これからも私は、

「なるようになるよ」
を伝えるべく、
自転車をこいで
ママたちに会いに行きます。

発熱してます

昨日は39.3度でした。
死んだように眠るのだいすきです。
解熱した時のスッキリ感と
家事できた時のスッキリ感。

今はやっとnote見れてうれしいです♡

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集