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世界は空(くう)なのになぜ修行するのか?

空とは何か?


「空(くう)」という言葉を初めて聞くと、何もないとか、虚無という意味だと思うかもしれません。しかし、仏教でいう「空」とは、何も存在しないということではありません。むしろ、すべてのものには実体や変わらない本質がない、という意味です。たとえば、私たちは「机」や「木」など、物の名前を聞くと、それらが変わらないもののように感じます。でも実際には、机も木も時間とともに変化しますし、その材料や形も変わることがあります。このように、物は常に変わっていて、固まった「これだ!」という実体がないのです。これが「空」の基本的な考え方です。

空なのに、なぜ修行が必要?


「空」を理解すると、「すべてが変わっているなら、何をしても意味がないのでは?」と思うかもしれません。しかし、「空」は無意味ということではありません。すべてのものが相互に関係し合っていることを表しています。私たちの行動も、その結果が他の人や環境に影響を与え、その影響が自分に返ってくるのです。仏教ではこの関係性を「因果の法則」と呼びます。だからこそ、私たちの行動は重要なのです。

たとえば、友達に優しく接すると、その優しさは周りに広がり、最終的には自分の心にも良い影響を与えます。しかし、もし怒りや憎しみで接すると、それもまた悪い影響を広げてしまいます。修行とは、このような自分の行動や心の状態を見直し、よりよい結果を生むために行うものです。

修行の目的は何?


仏教では、人々の苦しみの原因は、自分や物事に対する「執着」や「誤解」にあると考えます。たとえば、自分が絶対に正しいと思い込み、他の意見を受け入れないと、対立や争いが生まれます。修行の目的は、そうした誤った思い込みをなくし、「空」の真理を深く理解することです。

「空」の考え方を理解すると、私たちは物事にとらわれすぎることがなくなり、心が柔軟になります。また、自分だけでなく他の人々にも優しく接することができるようになり、慈悲の心を育むことができます。修行は、そのための大切なステップです。

空であるからこそ、修行が意味を持つ


結局のところ、「空」だからこそ修行が意味を持ちます。もし、すべてが固定され、変わることがなければ、修行しても結果が変わらないかもしれません。しかし、「空」の世界では、私たちの努力や修行が、自分や周りの環境に影響を与え、よりよい未来を作り出すことができます。だからこそ、仏教では修行を通じて、自分を磨き、周りに良い影響を与えることが大切だと教えられています。

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