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【探究学習】空き家廃材を循環エネルギー事業に再利用できないか考えた。

「そこに生きる人が『心から熱中』する大和ハウスの共創ビジネスを提案せよ!」

こんなお題が出たら、いったいどんなビジネスを考えますか?

大阪青凌高等学校のチーム「ASAHI☆」は、「心から熱中」できるものは「自然」と考え、木質バイオマス発電による「自然を守るプロジェクト」を提案しました。

発電の材料は過疎地の空き家廃材。事業の候補地として、和歌山県日高川町が上がりました。その理由は?

日本最大級の探究学習の祭典「クエストカップ2022全国大会」。4098チームの応募から審査を経て大会に出場した261チームの発表の一部を、順次紹介していきます。今回は企業探究部門で準グランプリを受賞した大阪青凌高等学校のチーム「ASAHI☆」が大和ハウスからのミッションに対して提案した内容を紹介しました。動画は、こちら(1:32:38ごろから開始)。

こんにちは「チームAsahi」です。

私たちは「心から熱中できるもの」は「自然」だと考えました。

私たちは、春にはお花見を楽しんだり、秋には紅葉を楽しんだり、木の様子から季節の変わり目を感じたり、気づかないうちに普段から自然に熱中していますよね。

でも、そんな自然が見れなくなるかもしれへんねん。

なんでなん?

自然が見られなくなるかもしれない原因は、森林破壊なんだ。森林破壊は、大気汚染や地球温暖化、生物の絶滅や減少などさまざまな影響を及ぼすねん。

そんな森林破壊の原因として、燃料として利用される木材の過剰な摂取があげられます。

木材の過剰な摂取を防ぐ方法を考えていくうち、私たちは「木質バイオマスエネルギー」に注目しました。

「木質バイオマスエネルギー」とは

木質バイオマスエネルギーってなんなん?

木質バイオマスは、木材に由来する再生可能な資源のことやで。その木質バイオマスを使った発電がいいと思うねん。

木質バイオマスを使った発電ってどういう仕組みなん?

木質バイオマス発電は、木質バイオマスを燃やしてタービンを回して発電する仕組みのことやで。

発電方法は「ガス化エンジン(ガスタービン)方式」で行います。ガス化タービンシステムは木材をチップ化、またはペレット化した燃料を使用し、熱分解、還元反応によりガス化し、そのガスを燃料としてエンジンで発電を行うシステムです。

大和ハウスの方に、家を取り壊した際に出る木材は何に使われているのかを尋ねると、「現場で切断した木材は産業廃棄物として余り、余った木材はチップ原料になる」ということでした。

そこで、木材の過剰な摂取を防ぐために、空き家を取り壊した際に出る木材を木材チップにし、発電に利用しようと考えました。

事業候補地は和歌山県日高町。なぜ?

空き家を取り壊した際に出る木材は、木造住宅一坪あたり、約570㎏です。それを処理するコストが3万2千円かかるため、木材チップを利用した発電は、コスト削減にもつながります。

そこで、空き家が多い地域を調べました。

空き家数が20%を超えているのが山梨県と和歌山県でした。山梨県にも和歌山県にもすでに、木質バイオマス発電を行なっているところはありますが、今回は大和ハウスの本社から近い和歌山県をピックアップします。

木質バイオマス発電をするのに適した場所として山林があげられます。そして、発電するには木材の原料となる空き家が多い地域が適しています。

和歌山県内で、空き家が多く、山林のある地域を調べたところ、和歌山県日高川町が条件に適した地域でした。

日高川町の空き家状況について詳しく調べてみると、たくさんの空き家があることがわかりました。そして山林もあるため、木質バイオマス発電事業を展開するのに適しています。

発電事業で日高川町を活性化

日高川町で木質バイオマス発電を行うメリットは、地域を活性化することができるということです。そこで、日高川町を活性化させるプランを2つ考えました。

1つめは「私たちの苗木を未来へ」です。これはボランティアとして取り壊した空き家の跡地などに苗木を植えようというプランです。

これにより地域の交流が深まり活性化させることができ、また、持続可能な木質バイオマス発電をすることもできます。

そこで植える苗木は、クヌギが適していると考えました。クヌギを使うメリットは、紅葉すること、発電効率が良いことなどがあげられます。以上のことから、私たちはクヌギを利用した日高川町の活性化につながるこのプランを提案します。

2つ目のプランは、「キャンプ場に暖かさを」です。

これは発電の材料として作った木質ペレットをペレットストーブに利用するというものです。
ペレットストーブは、薪ストーブと比べて、においや煙が少ないというメリットなどがあります。

町のキャンプ場にペレットストーブ

日高川町には「鳴滝キャンプ場」があります。このキャンプ場で使えるようなものにすれば、寒い季節でもキャンプをしに訪れてくれる人が増え、ひとつめのプランにより、紅葉も綺麗なため、日高川町が観光スポットになるのではないかと考えました。

以上の二つのプランを実行することで、日高川町で木質バイオマス発電を行うとともに地域を活性化させていきます。

空き家廃材とSDGs

この事業では木質バイオマスにより国際社会共通の目標である“SDGs”に取り組めます。

注目したSDGsの開発目標は3つあります。

一つ目は7番、エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
二つ目は8番、働きがいも経済成長も
三つ目は13番、気候変動に具体的な対策を
です。

7番の「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」は、再生可能エネルギーの一つとして、木材チップなどを利用した木質バイオマスエネルギーの利用を拡大できます。

8番の「働きがいも経済成長も」は、地域の経済や働く場の創出に貢献できます。

13番の「気候変動に具体的な対策を」は、木質バイオマス発電はカーボンニュートラルなのでCO2の増加を防ぐことができます。

このようにして、大和ハウスは木質バイオマスエネルギーを利用した発電事業を展開することができます。

私たちの大切な自然を守りましょう!

審査委員「私達にもしっかり伝わった」

大和ハウスの方からは、

「調査した根拠、論理性、それから未来に向けた提案がしっかり込められていました。皆さんが試行錯誤しながら取り組んできた探求の成果が見られて、本当にいい発表だったと思っています。そして何より、小道具も含めて、伝えていこうという皆さんの想いが私たちにもしっかり伝わってきました」

といったコメントがありました。

みなさま、ありがとうございました!

【参考】
探究学習はじめの一歩!【実例】探究学習のテーマ16種
「探究学習」の最先端 教育と探求社の総合パンフレット
教員向けイベント情報


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