【安藤百福】図書館司書から実業家へ。日清食品創業者、そのキャリアのかたち
過去に生きた人たちの軌跡をたどると、時代や考え方の枠を超えた学びが多くあります。
明治大学付属中野八王子中学高等学校のチーム「ももふく48年ぼくら14年」は、日清食品創業者 安藤百福の人生をたどり、ドキュメンタリー作品「3時間目の百福」を制作しました。
「チキンラーメン」や「カップヌードル」の開発者として知られる安藤百福の人生に触れ、生徒たちは何を感じ、考えたのでしょうか。その内容をどうぞ。
小渕: これから「ももふく48年ぼくら14年」の発表を始めます!
『ぐぅ~』
金子:はぁ、お腹すいたぁ。こういう時すぐにできるラーメンを学校に持ってこれればいいのになぁ。
沖村:わかるわかる。俺さぁ、小っちゃい頃からうまくいかないことがあると、チキンラーメン食べて気合い入れてたんだよね。
小渕:私も、辛い事があると甘いもの食べて全部忘れるようにしてる!食べてる時と寝てる時が一番幸せかも~!
柴田:食べることって本当に大事だね。あ、チキンラーメンと言えば... 百福さんだよね!
金子:あ、チキンラーメン作った人か!あの人って本当すごいよな!
沖村:俺の悩みを吹き飛ばすもの作っちゃったんだからな。
小渕:百福さんも私たちみたいに、悩みとかストレスとかあったんだよね。発明を支えてくれる人とか悩みを相談できる人って周りにいたのかな?
柴田:じゃあみんなで調べてみようよ!
一同:賛成!
安藤百福を支えた人々
沖村:お、これじゃね?
柴田:『サトウエイサク』って人だって。
金子:え、もしかしてあの佐藤栄作?元総理大臣で、ノーベル平和賞受賞した人?
沖村:そんなすごい人友だちだったら、悩み相談できないじゃん(笑)
小渕:それな(笑) 逆に緊張してストレスになりそう(笑)
柴田:この人、やっぱりすごい人だわ。なんか、百福さんが『中華交通技術専門学院』を建てようと思ったきっかけを作った人らしいよ。
金子:『これまで中国にたくさん迷惑をかけてきたから、鉄道や自動車などの設備で中国を助けるのはどうだ。』って感じで提案してくれたっぽいね。
沖村:確かに、中国は広いから鉄道とかが必要になるよね。それにいち早く気が付いたことがすごいなぁ。
小渕:まだいるみたいだね、えっとー、『スズキサブロウスケ』?
柴田:味の素の三代目会長だね。
沖村:この人のおかげで百福さんの顔も広がったみたいだね。
小渕:この人、チキンラーメンの将来を一番楽しみにしてくれてたんだって。
金子:今度は誰だろ?
沖村:『スズキキョウジ』? あ、味の素の社長だわ。
小渕:あれ?さっきの人と苗字一緒じゃない?
柴田:え、でも偶然じゃない?鈴木って人たくさんいるしさ。
金子:いや、偶然じゃないっぽい。三郎助さんの親戚だってさ。
沖村:あ〜、なるほどね!
小渕:この人もチキンラーメンに注目してくれてたんだって。
柴田:「アメリカで売れているチキンラーメンを現地で生産しないか」って言われたんだけど、百福さんは販売ルートがないから困ってたんだって。そうしたら社長が手を貸してくれたらしいよ!
金子:じゃあ、この人のおかげでアメリカでチキンラーメンを生産できたってわけか。
沖村:そうそう。まだまだ(支援者はほかにも)いるみたいだけど、これだけ大物の人に支えられていたら、心強いよね!
柴田:百福さんの悩みに比べたら、私たちの悩みなんてちっちゃいね(笑)
金子:百福さんの悩みは日本の食文化を変えるくらいすごいんだから(笑)
沖村:確かに(笑) っていうか、百福さんって確か、阪神淡路大震災の時、非常食を提供したんだよね。
小渕:あ、それ私も聞いたことある!
金子:災害が起きた時ってみんなパニックになって周りのことなんて考えられないよね。
沖村:あ!もしかしたらさ、今まで自分がチキンラーメンを売り出す時に周りの人に助けてもらったから『今度は自分がみんなを助ける番だ』って思ったんじゃない?
小渕:あーたしかに!恩返ししたかったってことか!
金子:あ、他にもあるよ。
沖村:発明には家族も協力してくれたって書いてあるね。
柴田:じゃあ、チキンラーメンは安藤家の努力の塊なんだね!(笑)
金子:そう考えると、なんかチキンラーメン食べにくくなるな~
沖村:俺はそれでも食べるからな!また悩みを吹き飛ばしてもらおう!
『ぐぅ~~』
金子:あ、やべ!またお腹なっちゃったよ(笑)
沖村:もう三時間目だもんな~
小渕:というか、なんで百福さんって、チキンラーメンを作ろうと思ったんだろう?
柴田:うーん... 考えたことなかったなぁ~
金子:そりゃそうだろ(笑)日常的に考えてる奴いたらやばいって(笑)
沖村:そうかな、俺は毎日考えてるけどな。「どうしてこんなにチキンラーメンは美味いのか」とかさ。
金子:うわ!やばい奴いる(笑)
小渕:ちょっとそんなことはどうでもいいから!(笑)調べてみようよ!
柴田:そうだね!ほら、調べて!
金子:なんで俺なんだよ!自分で調べろよ!
柴田:なんでよ、調べてよ!
沖村:お前ら、喧嘩すんなって!
小渕:そうだよ(笑)落ち着いて!
金子・柴田:は~い、すみませ~ん。
安藤百福の仕事歴
沖村:百福さんって、こんなにたくさんの仕事してきてたんだね。
小渕:え、GHQにも一回脱税で逮捕されてるじゃん...
柴田:でも、何もやってないらしいよ。
沖村:百福さんは「諦めない男」って呼ばれてて、GHQに捕まっていたときも、最後まで「私はなにもやってない!」って諦めなかったらしいよ。
柴田:へ~。あ、戦争の後ってたしか、食べ物がなくて餓死者が多かったんだよね。
沖村:目の前で亡くなっていく人たちを見て、「やはり食が大事なんだ」って気付いたらしいよ。
柴田:その時のことが、ここに書いてあるよ。
金子:「人の縁が、私の人生の節目節目を支えてくれた。」って書いてある。
沖村:百福さんは人生で、大きな決断をすることが多かったんだろうな。
小渕:そうだね。私たちはまだ人生で大きな決断をしたことがないよね。
安藤百福の人生を追って
柴田:たしかに!百福さんは人生の中で、大きな挑戦をたくさんして失敗して、それでもたくさん立ち直って、すごい発明をしたよね。私たちもこれからの人生で、大きな壁にぶち当たることがたくさんあると思う。だけど、そのたびに立ち直って進んでいきたいなって思った!
金子:百福さんって、非常食を提供したみたいに自分のために行動するんじゃなくて困っている人のために行動してたよね。だから俺も周りの人たちのことをよく見て考えて行動できる人になりたい!
沖村:俺はね、百福さんの成功には本人だけじゃなくて、協力してくれた人たちの努力もあるっていうことを今日知ったから、人との繋がりを大切にしていきたいなって思った!
小渕:私、やる前から「できない」って決めつけて諦めちゃう癖があるんだけど、百福さんが挑戦し続けたことを知ってこれからは怖がらずに何でもやってみようと思ったんだ。
沖村:あ、名言見つけた!『人生に遅すぎるということはない』だって!
小渕:かっこいい。
柴田:それな。
『ぐぅ~』
柴田:あ、今度は私のお腹がなっちゃった... (笑)
金子:はい!もうそろそろ弁当食べませんか!
沖村:もうお腹が限界...
小渕:あ~チキンラーメン食べたくなってきた~!
柴田:じゃあ今日の夜ご飯はチキンラーメンに決定!
三人:さんせ~い!
一同:ご清聴ありがとうございました!
審査委員「探究のプロセスの追体験ができた!」
発表当日、メンバーに制作のプロセスを振り返ってもらいました。
「『私の履歴書』を読み込む中で『あれもこれも入れたい』となった結果、情報量が多過ぎて何が言いたいのか分からなくなる時期がありました。でも、そこから何度も推敲し、みんながプレゼンしやすい言い回しにするのが、大変でしたが、やりがいもありました。このプログラムを通じ、あまり接点のなかったメンバー同士が、少しずつ距離が縮まり、絆を深められたと感じています」
審査委員の方々からは、
「すごく発表設定がよかった。3時間目が終わって、お昼休み前の10分ほどの休み時間に探究の話をしているという設定がよかった。努力のあとがみられて、発表でおっしゃっていた『諦めない』を実践していたと思う」
「エントリーしたときからの伸び幅がすごくあって、たくさん練習してきたのだと思った。また、『諦めない』『ご縁を大切にする』など、人物を4人それぞれの見方でとらえていて、かつそれが発表に組み込まれながら『人生に遅すぎるということはない』という名言に集約されていくすばらしい脚本だった。みなさんが安藤百福を見つけて深めていく探究のプロセスの追体験ができた」
といった感想がありました。
みなさん、ありがとうございました!