ピーマンが人間に復讐!コワくて楽しい廃棄野菜ゲームの深いメッセージ
普段の生活の中に、実はビジネスの種がたくさん眠っています。誰かの困りごとを解決するアイデアは、実現すれば多くの人の助けになります。
明星中学校の生徒たちは、野菜の気持ちになって遊ぶゲームアプリ「贖罪(しょくざい)」で食材のロスについて多くの人に知ってもらうことを提案しました。その内容をどうぞ。
「捨てられた野菜」のストーリー
これから「のりめ教」の発表を始めます。
私たちの考えた商品は、捨てられた食べ物の気持ちを感じ取ることができるゲームアプリ「贖罪」です。
このゲームは、さまざまな理由で捨てられた食べ物になってゲームをプレイすることができるアクションゲームです。
スタートすると、食べられることを望んでいた食べ物が捨てられ、人間を恨み、復讐します。
例えば、ピーマンは農場からスーパーに出荷されて人間に買われて食卓に並びますが、「ピーマンが嫌い」という理由で、ピーマンは捨てられてしまいます。
そしてピーマンがゴミ箱で悲しんでいると、空から食べ物の神様が現れます。
そして「ピーマンよ、人間に復讐したいのであれば、人間の夢の中で人間を倒し、捨てられた食べ物の恐ろしさを教えるのです。そうすれば、人間は食べ物を捨てるのをやめるでしょう」と言われ、人間の夢の中に入り、復讐することを決意するという内容です。
ゲームの内容
次に、ゲームの詳しい説明をします。
キャラは、キャラガチャで手に入れることができ、ストーリーをクリアするとガチャで手に入れるキャラも増えていきます。
たとえば、ピーマンのストーリーをクリアすると野菜が解放され、キャラガチャでニンジンやゴーヤなど、様々な野菜を手に入れられるようになります。
キャラガチャで使用できるゲーム内通貨は、ストーリーを進めることで無料で手に入れることができる「食コイン」と、課金することで手に入りガチャがお得に回せる「贖ジェム」の2つで、収益はこの「贖ジェム」への課金と(ゲームの際に表示される)広告の2つになります。
開発費は「unity」を使うことで抑えることができます。
次に、キャラの攻撃についてです。
攻撃は3種類あって、ひとつめは通常攻撃の「体当たり」です
この通常攻撃はキャラの能力値によって威力が変わっていきますが、基本的には全ての食材が同じ「体当たり」をします。
2つめはスキル攻撃です。
このスキル攻撃は、キャラによって能力が違います。ピーマンの場合は、自分のタネを敵に飛ばす攻撃を使います。
3つめは必殺技です。
必殺技は、通常攻撃やスキル攻撃を相手にあててダメージを与えるか、敵の攻撃を受けることで画面の上にある必殺ゲージがたまっていき、マックスになると必殺技をうてるようになります。
キャラの回復アイテムは食材の種類によって変わります。
野菜の場合は日差し、魚の場合はイソメ、果物の場合は水、肉の場合は草というように、その食材が育つのに必要なものになっています。
次に、制限時間についてです。
ストーリーモードでは食材が捨てられてしまい、消費期限が近いため、制限時間内にクリアしないと食材は腐ってしまい、ゲームオーバーになります。
次に、プレイヤー同士がバトルできる「バトルモード」についてです。
バトルモードはストーリーのミッションをクリアした後に解放され、ガチャでひいた好きなキャラを使って、相手のプレイヤーと戦うことができます。
またこのゲームでは、店で買った食材の写真と、その食材の消費期限をアプリに入れることで、消費期限が切れる前に通知が来る設定になっています。消費期限前にその食材を食べると、その食材のレベルmaxのキャラが3日間使えるようになります。
ゲームで食品ロスを考える
次にメリットとデメリットについてです。
まずメリットは、ゲームを楽しむ人が増えるごとに、「食品ロス」を考える人が増えるという点です。
ストーリーを見ることで、捨てられた原因や捨てられた食べ物の気持ちも知ることができます。
次に、デメリットは、このゲームをすることで逆に食べ物にトラウマを持ってしまうことです。
この問題点は、キャラクターのデザインをポップにすることで解決します。
ご清聴ありがとうございました。
審査委員からのコメント
発表後、チームのメンバーはこう振り返りました。
「アイデアが生まれたのは、聞き間違いがきっかけ。『食材』に関する企画をしたくて『贖罪』にした。ピーマンの(不気味な)画像を見つけた時から、『いいな』『気持ち悪くしてやろう』と使い始めましたた。聞いている人に飽きられないよう、パワーポイント作りを頑張りました。チームで取り組んだのは2カ月間だけでしたが、学校から帰宅後もオンラインでつながって製作時間は100時間を超えた。ここからチームでアプリづくりなど検討を進めていきたいです」
審査委員の方々からは、
「すごく楽しい発表でした。皆さんからも『キャラクターがいい、センスがいい』とチャットにコメントがきていましたね。アプリやソフトを駆使してプレゼンを作っていて、もう本当に、一生懸命時間かけてやっているのだなと。このプログラムへの想いが伝わってきました」
「実際に教育になるようなゲーム開発を仕事でやっていますが、ゲームで遊んで『楽しい』というところに『学べた』ということがある。その学びの部分を、最初は隠して届けるのがあっていると思います。だから最後にピーマンの表情をポップにするとありましたが、ぜひ面白い顔のままやってほしい。面白くてシェアされるところをまず前面に押し出し、実は深いストーリーなんだとプレイして気づいた人がシェアしたらかなり広まるんじゃないかと思いました」
といったコメントがありました。
この作品をブラックスワン賞に選んだ、デジタルハリウッド大学の福岡俊弘教授はこうコメントしました。
「今年の作品は、構成のしっかりした地に足のついたプレゼンばかりだった。審査委員をやって3年目だが、コロナの影響か、遊び心が足りないように感じた。その中で、ピーマンがしゃべるというのが印象的だった。デジハリでは『すべてをエンターテイメントにする』というコンセプトがあるが、まさにすべてをエンターテイメントにする作品だった」
みなさま、ありがとうございました!
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