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【探究】「駅がない」「山がある」→地元愛あふれる2つのアプリ案爆誕

静岡県内の中高生が、地元の資源を生かして探究した成果を発信する「2021 静岡カップ」が1月30日にオンラインで開かれました。どんな提案があったのでしょうか。当日の様子を、2回にわけて紹介します。


静岡カップを主催する一般社団法人「シヅクリ」は、もともと静岡市の公立校の校長だった2人の教師が学校を飛び出し、地元の子どもたちの学びのために2020年度に立ち上げました。

今年度、シヅクリが提供する地域探究プログラム「engine」(エンジン)には、静岡の企業 15社と17校の中高生計2041人が取り組み、事前選考を通過した8校18チームが、この日の「静岡カップ」に出場しました。

生徒たちは企業人にインタビューしながらその企業が持つ様々なリソースを発見していきます。

そして、地域と企業のリソースをかけ合わせ、使い方を考え、企業や自分たちが暮らす地域の新たな可能性を模索したイノベーションプランを提案します。

地元に「ないもの」と「あるもの」

カップでグランプリを受賞した2チームは、地元に「ないもの」「あるもの」にそれぞれ注目し、アプリをつくりました。

まずは、地元の「ないもの」に注目した、清水町立南中学校のチーム「きのこの里」の発表を見てみましょう。

どうやって清水町に駅をつくる? 署名で未来を大きく変える!

学校・チーム名:清水町立南中学校「きのこの里」
連携企業:建設システム

清水町立南中学校「きのこの里」の4人

僕たち、チーム「きのこの里」です。僕たちは「地域を大き く変える」を目標にして、今まで活動してきました。

まず、 皆さんに質問です。みなさんは、通勤、通学、また遊びに行く時どのような交通手段を取りますか?

徒歩、車、自転車、電車・・・そうなんです!清水町には駅がないのです!

清水町に駅がないことで、清水町外に行く人のほとんどは自転車か、バスを使い沼津駅 か、三島駅へ行きます。私たちにできる清水町に駅を作る方法は何があるでしょうか。

それは、署名運動です!

ですが、 実際に署名運動をしたことがある人は少ないのではないのでしょうか。2年3組の30人に聞いてみました。すると、

署名運動をしたことがある人は、ゼロ人。

この結果を見て、皆さんはどう思いますか。 

関心がなかった、メリットを感じ られなかった、

そもそも署名運動って何?どうやってやるのか分からない、という意見が大多数でした。 

この状況では、清水町は意見が飛び交いにくく、良い方向へ変わっていく可能性が少なくなってしまう。けれど子どもも署名運動に参加すれば、清水町を大きく変えることができる。

そこで、私たちが考えたイノベーションは、建設システムさんのアプリ開発の技術と、駅がないという町の課題から生まれた 「署名運動ができるアプリ」です。

署名運動を行う人が少ない原因は2つあります。 

1つ目は「めんどくさい」ということです。 署名運動がいつどこでやられているか、 私たち中学生なんて、知っている 人はほぼいません。 

そこで、私たちの考えた「署名ができるアプリ」は、インストールせずに利用でき、清水町のホームページからアクセスできることにより、より早く、簡単に利用できるようになります。 

2つ目の原因は、「署名のやり方がわからない」ということです。

このアプリは、初めての人でも簡単に使用できるようにします。また、利用しているうちに自由に署名運動を行い、社会に参加することができることに気づいてもらえるでしょう。

このアプリでは 「インプレッション型課金型広告」を採用していきます。企業側に利益を出しつつ快適さや簡単さを損なうことがない、よい手段です。 

このアプリでは、名前、メールアドレス、住んでいる 市町村、郵便番号を入力してもらうようにします。普段の署名よりも本人確認を正確に行うことができ、第三者が署名してしまう事態も防げます。

このアプリは清水町の署名運動だけに使うにはもったいないくらい、よい企画だと思っています。もしこのアプリが普及したら、署名運動だけでなく、選挙や投票にも使われるようになってほしいと思っています。

私たちは、署名運動は大人が行うものという考えを崩して、子どもでも署名運動を行いやすくし、清水町民一人一人 が町をよりよくしようと思い、町がいい方向へ変わっていけることを目指しています。


「骨太の、熱い思いが伝わった」


発表を聞いた人たちから、こんな感想が出ました。

キャプション:建設システム社長の重森 渉さん(左)から激励の言葉が!

「清水町に住む彼ら彼女らにとって、交通手段の確保は死活問題。駅はまさに必要なインフラです。「きのこの里」は自分たちのほしい「駅のある清水町」を手に入れるため、「署名運動アプリ」を提案します。町のために何かをしたい!行政を何とか動かしてみたい!選挙権がない子どもの声だって届けたい!そんな骨太の、熱い思いが伝わりました」


次は、地元の「あるもの」に注目した発表です。


山も、遊び心も、無限大!

学校・チーム名:静岡市立東豊田中学校「福沢金欠」
連携企業:静岡新聞社・静岡放送(SBS)

静岡市立東豊田中学校「福沢金欠」の4人

私たちが提案するのは、山でも楽しめるオンラインゲーム「マウンテンション」です。

この企画の目的は、静岡で親しまれているSBS(静岡新聞社・静岡放送)と共同で、静岡の資源を活用したアプリを作り、静岡を盛り上げることです。

この企画はSBSのリソースである“RUN DE MARK”と“アットエス”に、静岡の山をかけました。

“RUN DE MARK”は、市民ランナー同士のマッチングサービスで、プロのランニングコーチとオンラインで一緒に走ることもできるアプリです。”アットエス”は、静岡県のあらゆる情報を網羅した情報サイトで、県内ニュース、スポーツはもちろん、イベント、グルメ、観光スポットなどを紹介しています

私たちのアプリ「マウンテーション」は、山の植物や虫、場所をゲーム形式で写真に撮り、ポイントを稼いでいくアプリです。

アプリのポイントで、SBS関連のCM、新聞に載ったり、

“アットエス”観光スポットの施設無料券やクーポンをもらえます。

アットエスの観光スポットアクセスランキング

このように、

1位のカドデオオイガワキッズパークちゃめっけ
2位の明治なるほどファクトリー東海
3位のナチュラルホットスプリング&ホテル松之湯

に行くことができます。

私たちのアプリ「マウンテンション」は、山に一緒に来た人ともつながって多数で遊べます。SBSの”RUN DE MARK”を利用して、GPSをつけて相手とはぐれないようにします。

その際に協力してもらいたいことがあります。

それは、アプリでプレイするときにゴミ拾いをしてもらうことです。

ゴミ拾いをするのは小さなこと。それでもSDGsへの関心を高め、貢献していきたいと思っています。

SDGsの11番、13番、15番に貢献します!

続いて、この企画の問題点です。

一つ目は、山で使うためのWi-Fiはどうするのか
ポケットWi-Fiをオンライン予約で貸し出し、静岡市内にロッカーを作ったりして解決します。Wi-Fiが届かない山もあるので、届く山だけにエリアを絞ります。

二つ目の問題点は、山でのスマホの使用は危険なのでは、という問題です。この図を見てください。

山での遭難発生件数と遭難者の数は年々増加していることがわかります。利用者がより安全に使えるよう、歩いているときに画面が反応しない機能にします。

この企画を通して実現したい未来は、地元の方も他県から来た方も、ともに静岡の自然のよさを知り、その自然で楽しめる未来です。


「おもわずツボッてしまうチャーミングさ」


発表を聞いた人たちから、こんな感想が出ました。

静岡新聞社・静岡放送の小松さん(左)。福沢金欠の4人を見守り伴走してきた。

「静岡には山がある!SBSには新事業がある!これら最強の地元リソースを融合させたゲームアプリ『マウンテンション』。アプリのポイントでSBSの広告やCMに出られるなど、思わずツボってしまう、地域密着ならではのチャーミングさです」

「ゴミ拾いをアドオンし、例え小さなアクションであってもSDGsへ貢献したい真摯な気持ちも伺えます。山歩きスマホ問題は、機能制限で解消している点も細部までよく考えられています。無限の広がりと可能性を見せてくれた発表でした」

後編に続く

【参考】
探究学習はじめの一歩!【実例】探究学習のテーマ16種
「探究学習」の最先端 教育と探求社の総合パンフレット
教員向けイベント情報


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