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Today’s Story & Sweets- アーモンドを七粒by夏水りつ×杏仁クッキー&4種のクッキー。
新しく想像の扉を開ける為に必要な事は好きな本を再読すること。
そしてそれに合うお菓子を焼くコト。
久しぶりに手に取った一冊?いやニ冊は、夏水りつ氏の《アーモンドを七粒》上下巻。(初版2014年)
彼女の作品を読み始めるキッカケになった記念すべき作品でもある。
3年間、家のことに集中していたせいで世間の流れとは無縁だった。
この期間にBL漫画の世界は自分が知っている時から随分変化していることに今更ながら気づいたりする。
夏水りつ氏もその1人。
彼女は2019年の電子書籍を最後に現在活動をしてないようで、最新刊はおろか今連載中の作品も見当たらない。
漫画界だけでは無く、多分あらゆる人気商売において、時代の流れの中で新しく台頭する人もいれば去り行く人もいる。
3年前から好きだった作家の方々も今なおすごく活躍している方もいれば、いつの間にか電子書籍のみと言う方もいる。
夏水りつ氏においては、現在休業中なのかどうかそれさえも不明なのが少し淋しい。
彼女の作風はどちらかといえば、ユーモラスを交えながらやや甘めのストーリーが多い中で、この《アーモンドを七粒》はところどころ笑えるところは健在だが、全体的にはヒリッとするようなストーリーが展開されていく。
主人公のサラリーマンの葉月と渡辺。
葉月は商品企画。そして渡辺は営業トップの同期。
その渡辺が商品企画部に移動になったところから物語が始まる。
葉月は真面目で不器用。対する渡辺は明るく器用で人気がある。一見光と影のように対象的な2人はそれぞれ過去に傷みを抱えている。
傷つけられた過去と傷をつけてしまった過去はそれぞれの想いに深く影響しながら強さと弱さ、光と影が互いに入れ替わり成長していく。
そんな少しほろ苦さのある恋の物語には華やかなケーキよりも、日常の中でほっこりするような甘さのクッキーが似合う。
中華で馴染みのある《杏仁酥》を少しアレンジしつつホロッと口の中で崩れる食感と重曹の苦味が少し効いた優しい甘さのアーモンドクッキーに仕上げた。
そして対象的にザクザクと噛みごたえのあるコーンフレーククッキーと定番中の定番、アイスボックスクッキー、ラズベリージャムをのせた絞り出しのクッキーで物語に華を添えてみた。
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わかりやすいハッピーエンドではないけれど、未来に向かって歩き出した2人の恋の行方はきっと穏やかで明るい日々が続くことが予感出来る。
過去と対峙して準備が整えば、新たな自分の可能性への扉を開く合図なのかもしれない。
未来に続く道の中で多くの葛藤があっても自分らしく穏やかな時間をつむぎ始めることにしようと思える。
この物語を紡いだ夏水りつ氏も彼らのように新しい扉を開けて進んでいるのかもしれない。
願わくばいつの日か彼女が紡ぎ出す新しい物語を読める未来があることを信じつつ。
焼き立てのクッキーとアーモンドを七粒と…
(Nekozawa23)
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