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二度目のサターンリターン

サターンリターン(土星回帰)というのを聞いたことがあるだろうか?土星がある人が生まれた時にあった位置に約29年かけて戻ってくる時のことをさす。西洋占星術では土星は乗り越えるべき課題を示すと考えられており、それが一周して戻ってくるサターンリターンは人生の転機であり、課題に取り組まなければいけない時期だという。そのために、29歳前後で人は迷ったり、混乱したりしやすい。また結婚、出産、就職や転職など人生の大きな決断を迫られることになる人もいる。言ってみれば大人への変容のための試練の時期なのだ。
 
私は占星術には詳しくないのだが、なぜこの言葉を知っているかというと、30歳前後のクライエントの中に「今は辛いが、これはサターンリターンのせいだから、必ず抜ける時が来る」と意味付けて乗り越えていこうとする人がいるからだ。自分の人生を振り返ってみると、いつも悩んでいたので(苦笑)30歳前後に悩みが深くなったとは思わないが、確かにその時期に心を大きく動かす出来事がきっかけとなって、ある心理学を勉強するためにアメリカに留学することを決意した。
 
その後、特にサターンリターンのことなど考えず過ごしていたのだが、最近、サターンリターンは30歳前後の1回だけでなく、人生で約29年周期で起こるということを知った。宇宙で星は動き続けるのだから当たり前といえば当たり前である。そして気づいてしまった。そろそろ29✖︎2の年齢であるということに。なるほどー、だからここのところ今まで天職と信じて疑わなかった心理の仕事を辞めて、書くことにチャレンジしてみたいと思うようになったのか!

(まあ、30歳前後で大人へ、60歳前後で老年期へと人生のステージが変わるのは自然の流れで、土星の影響ではないという考えもできるが、せっかくなのでこのまま話を続けていきたい。)
 
しかし混乱はある。心理だったら一応ベテランと言われる領域に達したのに、それを捨てても構わない自分がいることに普段の私は恐れ慄いているからだ。書くことにチャレンジしたいと言っても、上手な書き手がたくさんいる中で私に何が書けるというのか?これほどエネルギーをかけてきたことを手放して、もったいなくないのか?そんな疑問が頭の中を駆け巡る。
 
一方で留学を決めた時、私はカウンセラーとしての素質にあまり自信を持てなかった。それが留学先で学んだ心理学のアプローチが私の性質にとても合っていたおかげで、カウンセラーと教師としての自信を持つことができた。これもその時の直感を信じて人生の舵を切ったからである。
 
3回目のサターンリターンは86歳前後だそうだが、それまでの約30年間が充実したものになるように、やはり直感を信じてみたい。86歳の自分がよくあそこで舵を切ってくれたね、ありがとうと言えるように。

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