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言語力と免疫力(サイトカイン)

今回の記事は、過去の記事「言語力と免疫力」の追記です。

細胞の作り出すサイトカインが、言葉の特徴に似ているという話。

 細胞が作り出して他の細胞に働きかけ、増殖や分化、運動、成長、分泌などの新しい働きを呼び覚ます生物活性分子群を、ひとまとめにしてサイトカインと呼ぶ。サイトカインは細胞と細胞の間の情報伝達をしている分子である。

――第九章「あいまいさの原理」p.213

 細胞は、刺激が与えられた瞬間の文脈を判断し、異なった行動様式をいくつかのオプションの中から選択していることが最近わかってきたのである。

――第九章「あいまいさの原理」p.218

 まず第一に、ひとつのサイトカインが状況次第でさまざまな働きを発揮する多義性である。たとえば、IL1というサイトカインは、免疫細胞に働いて増殖や分化を起こさせる分子であるが、同時に脳の視床下部にある発熱中枢に働けば体温を上昇させるし、肝臓に働けば炎症性タンパク質を合成させたりする。白血球に働けばその運動性を高める。文字通り多義的な分子である。現在知られている十五種類にもおよぶいずれのサイトカインも、例外なく予想された働きのほかに、さまざまの予期しなかった活性を示すことがわかった。
 第二に、同じような働きを持ったサイトカインがIL1、IL2、IL4、IL6、IL7、IL9、TNF、GM-CSFなど多数の異なった構造のサイトカインが共有している。すなわち形を異にした同義語が多数あるということになる。これを冗長性と呼ぼう。
 さらに、単一の細胞が複数のサイトカインを作り出すことも知られており、作り出されたサイトカインはさらにさまざまな細胞に働きかける。このレベルでの重複と不確実性も事態をさらにあいまいにする。
 もっとやっかいなことは、ひとつのサイトカインが生産されると、それが近傍の細胞に働き、その細胞から第二、第三のサイトカインを作り出させるのである。サイトカイン・カスケードと呼ばれ、ひとつのサイトカインはシリーズのサイトカイン群を働かせて反応を起こし進めてしまう。そのためサイトカインの特徴として「不確実性」、「冗長性」、「多目的性」、「あいまい性」など、あまり科学ではお目にかからないキーワードが冠せられるようになった。

――第九章「あいまいさの原理」pp.214-215

言語のあり方は、免疫のあり方を真似しているだけなのだろうか。

スピリチュアルな探究はつづく。