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自分に初めて花を買った日

昨日、自分の人生で、初めて、花を買った。花を買うというのは、私にとっては「誰かのため」であって、「自分のため」に買ったことがなかった。花をプレゼントされる人というのは、お祝いされる人、これまで何かを頑張ってきた人であって、何か特別なことがあったときに、他人に対して渡すものだと思っていた。

そんな私が、「花を部屋に飾ってみよう」と思ったのは、須王フローラさんの「花を飾ると、神舞い降りる」を読んだことがきっかけだった。

「妖精は花や木といつも一緒にいます。」
(「花を飾ると、神舞い降りる」より引用)

妖精は、ファンタジーな物語の世界に出てくる架空の存在ではなくて、実際に存在していることにただ驚いたし、目には見えないけれど、そういう世界があることを知る、それが私の中ではとても大きかった。


祖母の家も、実家も、庭にはたくさんのプランターがあった。花を見ると、きれいだなと思うけれど、なぜ祖母や母が次々と花を買い足していくのか、私はずっと疑問に思っていた。

祖母も母も妖精が見えていたかはさておき、花に触れることで、自分自身を癒していたのかもしれない、悲しいこと、つらいことがあったときに、妖精がそっと寄り添ってそばにいてくれていたのかもしれないと思ったら、「祖母も母も、そして私も、守られていたんだ」と気づき、安心感に包まれたような気がして、涙がこぼれた。

花を買った帰り道。花を抱えるようにして、歩いていると、花の香りをふと感じる。ああ、いい香りだな。花をただ眺める。ああ、きれいな色だな。飾る前から、私自身、こんなふうに感じるなんて、想像していなかった。花がある、ただそれだけで、こんなに嬉しいことなんだと思うのは、花を買わなければ、わからなかった。


私が、他の誰でもない、私自身へ、花を買い、部屋に飾る。花瓶を買うことも、花を買うことも、部屋に花を飾ることも、全てが初めての経験だった。花は頑張った人がもらうもの、、、と思っていた私。その夜、「今までよく頑張ったね」と私は言われたかったんだということに気づいた。自分の望むとおりに結果が出なくても、なかなか思うようにうまくいかなくても、ただその一言が欲しかった、そんな自分の望みに気づく。自分のために花を買うことは、自分に優しくすることにつながるんだなと身をもって感じた一日だった。

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