仏教とは何か? 応用編 最終章 理想的な仏教的生き方とは
本シリーズで述べてきましたことを踏まえますと、具体的には、どのような生き方が望ましいのでしょうか。
以下に、要点をまとめてみました。
1. 仏陀の教えを信奉する者として、生きとし生けるものの幸福に貢献し、全ての生きとし生けるものに、決して苦しみを与えず、安穏な生存が可能となるような、最善の方法を見出すことが、全人類の責務である、という認識を世界に広めるよう行動を起こす。
2. 仏教の菩薩としての生き方に共感する者として、他者を自己と同じぐらいに大切にするという理念を自ら実践し、その共感の輪が広がって全人類共通の理念になるよう努力する。
3.日常の中で自分が経験する全ての出来事は、過去からの自分自身の行動の積み重ねが反映されたものである事を認識し、その意味に気づいて、行動を改めていくことで、自らの過去からの行動の積み重ねの総体を、より良いものにしていく努力をする。
4.仏教の縁起の理法を深く理解し、自分が経験する事で、他人事というものは一切無い事を自覚して、関わりのある全ての存在の福利に寄与できるような生き方をする。
5. 日常の、人との関わりの中で、自分の視点や考えばかりに囚われずに、常に相手の立場に立って考え、相手の考えや気持ちを理解する努力をする。そして、相手の幸せに貢献するためには自分は何ができるかを考えるようにする。
6. 私達は様々な関係性の中で生かされていることを深く認識し、その一つ一つに感謝し、恩返しできるような生き方を心がける。
7. 仏典は、基本的には仏の教えを学ぶためのものであるが、究極的には自分自身の全てに気づく為のものであることを肝に銘じる。読誦する際には、仏の教えと今の自分の心の状態との距離を意識しながら読誦し、自分の心の傾向性を一つ一つ自覚していって、それらをより良いものにしていく努力をする。そして、そこで気づいたことは周囲の人々に伝える様に心がける。
8. 仏典を読んで、自分が気づいたことを周りの人に伝えることで、その自分の気づきが他の人の気づきのきっかけと成ることがある。そして、その人の気づきをその人が更に他の人に話すことによって、それが更に多くの他の人の気づきを誘発することがある。このようにして、気づきの連鎖が無限に広がっていくことが、大乗仏教では期待されている。
9.人間やあらゆる生きとし生けるものの安穏な生存を脅かし、苦しめ、悲しみをもたらす諸悪の根源は、人間の持つ貪欲さであり、利己主義であり、憎しみであり、妬みであり、虚栄心であり、独善主義などの人間の愚かさである。それらの人類のあらゆる悪徳を、根源から排除する道を仏教は説いている。従って、この世の全ての不幸や悲しみを無くす為にも、我々全人類が自らの愚かさを自覚し、謙虚に反省して、自らの悪徳を排除する方法を仏教から学ぶ事が出来るのである。我々、仏陀の教えを信奉する者は、そのことを全人類に知らせる使命がある事を自覚する。
10. 長年にわたって、人類は、迷信や非科学的な信仰や誤解や思い込みによって、不幸な争いや多大な犠牲を生み出してきた。しかし、仏教の知見は、現代科学が新たな発見をするたびに、その正しさが証明されていっているように、誰にとっても有用なものである。そういう意味でも、今後の未来の人類にとって、仏教は必要不可欠な指針となりうる事を、我々自身が自覚し、その事実を世に知らしめていく必要がある。
以上が、仏教の教えを信奉する者としての、望ましい生き方のポイントですが、これらの指針と目標を、各自の努力と智慧によって、より具体的な行動として具現化し、その行動の輪が全人類に拡がって行く事が望まれます。
仏教の智慧を、活かして行くのは、私達一人一人である事を、最後にもう一度強調して、このシリーズの締めくくりとしたいと思います。
最後まで、ご視聴頂き、ありがとうございました。
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