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品質管理の玉手箱(11)

主役は誰?

 ”日本型TQC”と”欧米型TQM”の融合を進めるに当たって、改めて「品質管理活動の主役は誰か?」ということを考えてみたいと思います。



 上の図は、ISO9000シリーズ規格が企業に求める4つの品質活動の位置付けを、企業を「前輪駆動の自動車」に喩えて示したものです。

 品質マネジメント(Quality Management : QM)は、品質方針や目標を定め、計画を立て、活動全体を統括指揮して企業(車)を目標に向けて走らせるものですから、正に運転手(経営者層)の役割です。

 これに対して、品質管理(Quality Control : QC)と品質改善(Quality Improvement : QI)は、自動車の左右の駆動輪と言えるでしょう。QCが「品質要求事項を“満たす“」ことを目的とし、QIが「品質要求事項を満たす"能力を上げる“」ことを目的としていることから、この二つの活動はお互いにバランス良く機能することで、企業の品質レベル(車の推進力)を維持向上させることが出来るのです。駆動輪のどちらか一方でも不具合があれば、車を思った通りに走らせることは容易ではないでしょう。
 そして、品質保証(Quality Assurance : QA )は「品質要求事項が満たされるという"確証を与える“」ことですから、駆動輪であるQCとQIがキチンと回ってこそ成果を出せる活動で、これだけで車を走らせることはできませんね。

 この様に見ると、4つの品質活動の中心が、品質管理(QC)と品質改善(QI)であることがお解り頂けると思いますが、この二つの活動を合理的、効率的、かつ効果的に進めるためのツール(手法)が、半世紀以上も前に日本型品質管理が生み出した"QCサークル(小集団活動)"と"改善(KAIZEN)"であり、それらの運用主体(主役)は、現場の皆さんなのです。

(注)ISO9000:2015では、ここで取り上げた3つの活動-”品質管理(QC)””品質改善(QI)””品質保証(QA)”-に”品質計画(Quality Planning:QP)”を加えた4つの活動を「”品質マネジメント(QM)”の一部」と定義しています(QMの定義の注記では、更に、品質方針や品質目標の設定も含めています)が、一般的なマネジメントの概念(Plan-Do-Check-Action)から解釈するならば、“品質管理”“品質改善”“品質保証”と“品質計画”、あるいは、品質方針や品質目標の設定を同列(同次元)に捉えるのは、いささか無謀な気がします。
 なぜなら、「品質方針を定め、それに基づく品質目標を設定し、その目標を達成するための品質計画を策定する」ことはマネジメントプロセスの上では「計画(Plan)」に相当し、”品質管理””品質改善””品質保証”は、「実行(Do)」「確認(Check)」「是正(Action)」の中の部分的(局所的)な活動だからです。誤解を恐れず表現を変えるならば、「”品質計画”(品質方針や品質目標を含めて)はトップの責務」であり、「”品質管理””品質改善””品質保証”は現場の責務」と言っても良いでしょう。もちろん、現場の責務の中には、ここに挙げた3つの品質活動だけでなく、営業、購買、経理、人事などなど、組織内のあらゆる“現業”が含まれており、それらすべての活動を統制するのがマネジメントであり、品質マネジメント(QM)には、当然、こうした「直接的な品質活動(QC、QI、QA)以外の活動のマネジメント」も含まれているのです。
 以上のような視点から、ここでは、”品質計画(QP)”を含めて、”品質マネジメント(QM)”として扱っています。


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