Qualitytoshi

大谷翔平君と同じ誕生日と言うのが自慢(?)の、当年とって63歳のおじさんです。 44年…

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大谷翔平君と同じ誕生日と言うのが自慢(?)の、当年とって63歳のおじさんです。 44年と言う長きに亘って品質管理一筋で生きてきた「品質バカ」の、独善的で古ダヌキ的な品質管理のお話しをお楽しみ下さい。

最近の記事

品質管理の玉手箱(11)

主役は誰?  ”日本型TQC”と”欧米型TQM”の融合を進めるに当たって、改めて「品質管理活動の主役は誰か?」ということを考えてみたいと思います。  上の図は、ISO9000シリーズ規格が企業に求める4つの品質活動の位置付けを、企業を「前輪駆動の自動車」に喩えて示したものです。  品質マネジメント(Quality Management : QM)は、品質方針や目標を定め、計画を立て、活動全体を統括指揮して企業(車)を目標に向けて走らせるものですから、正に運転手(経営者層

    • 品質管理の玉手箱(10)

      システムとマネジメント  前回お話しした通り、ISO9001規格に基づくTQM(欧米型品質管理)とは、強力なマネジメント力(指導統制力)の存在を前提としたシステムであるにも拘らず、ISO 9001規格の2000年改定によって、ますます、欧米流マネジメントを色濃く反映したシステムを日本の産業界に浸透させていく一方で、日本企業の経営スタイルは日本流を残したままで、マネジメント力の画期的向上は遅々として進んできませんでした。  少し古いデータですが、2003年の調査によると、米

      • 品質管理の玉手箱(9)

        TQMの基本構造  日本型品質管理(日本型TQC)は、日本の社会や組織、日本人の特性に合わせて進化してきましたが、ISO9000規格に基づく品質マネジメントは、欧米型の社会や組織、欧米人の特性を前提とした仕組みと言って良いでしょう。  ISO9001規格の2015年版(原文)では、“determine”と言う単語が実に47ヶ所も出てきます。これは「囲む、境界を定める、限定する」を意味するラテン語の”determinare“が語源ですから、要するにISO9001規格が求めて

        • 品質管理の玉手箱(8)

          現場管理から経営管理へ  労使の意志疎通を目的とした企業の施策や制度の実態を明らかにするために厚生労働省が5年毎に行ってきた"労使コミュニケーション調査"の結果の推移(第61回の図2)をみると、小集団活動に対する経営者の期待度(重視度)が大きく(10%以上)低下した時期が2度ありました。  1度目は1984年から1989年にかけての-15.3%で、この時は、急激な円高不況と国内の人件費高騰の影響から、それまで小集団活動の発展に中心的役割を担ってきた国内製造業の有力企業が相

        品質管理の玉手箱(11)

          品質管理の玉手箱(7)

          QCサークルいま何処(いずこ)?  1962年に誕生し、1970年代から1980年代にかけて世界の品質界をリードしてきた日本型品質管理の中心にあった"QCサークル"でしたが、1990年代に入ると、一転して衰退への道を歩み始めます。  図1は、1970年から1996年までの日本科学技術連盟QCサークル本部へのQCサークル登録数と、その前年比増加率(=新規登録数)の推移を追ったもので、登録数は毎年僅かながらも増加し続けていますが、増加率は1985年以降低下の一途を辿っており、

          品質管理の玉手箱(7)

          品質管理の玉手箱(6)

          QCサークルとは(2)  前回は、近年、組織改革の分野で注目を集めている「自走する組織」との共通性と言う視点で、"QCサークル"の特徴をお話しましたが、近年注目を集めている組織改革に関わるもうひとつのキーワードである「心理的安全性」も、実は、"QCサークル"活動の中に半世紀以上前から組み込まれていました。  勿論、当時は「心理的安全性」などと言う用語はなく、昨今のように意識的に「心理的安全性」に特化した活動が推進されたわけではありませんが、"QCサークル"活動そのものが、

          品質管理の玉手箱(6)

          品質管理の玉手箱(5)

          QCサークルとは(1)  近年、ビジネス界に止まらず、いろいろなところで「自走する組織」が注目されています。  教育から医療、福祉の現場、各種のNPO団体、更には、これまで日本の社会の中で最も縦割りで、何事にも上からの指示待ち、慣例·前ほ例主義で変化を嫌ってきた行政サービスの分野でさえもが、「自走する組織」…つまり、「自分で考え、自分で動く組織」への転換を進めていますが、この「自走する組織」の典型例(先駆け)と言っても良いのが、60年前に始まった“QCサークル”でし

          品質管理の玉手箱(5)

          品質管理の玉手箱(4)

          現場主導の品質管理  ファイゲンバウム博士が提唱したTQC(Total Quality Control)と、我が国の高度経済成長と高品質を支えた“日本型TQC”の違いを一言で表現するならば、前者が「トップダウン型」であるのに対して、後者は「ボトムアップ型」であると言えることでしょう。  では、「トップダウン型」と「ボトムアップ型」は、何がどう違うのでしょうか?  おおよそ人が意図的に行う行為には、大なり小なり、何らかのかたちで"管理のサイクル"に従っています。  まず

          品質管理の玉手箱(4)

          品質管理の玉手箱(3)

          もうひとつのTQC  日本に科学的品質管理を伝えたのは、戦後の占領統治に当たったGHQ(General Headquarters of the Supreme Commander for the Allied Powers連合国軍最高司令官総司令部)でした。  効果的な占領統治のために「民主化に向けたアメリカのメッセージ」を日本全域に速やかに広めることを重視したGHQは、電気通信事業の再構を最優先事項としましたが、自らが行った終戦直後の財閥解体と相次ぐ工場閉鎖に加えて、物

          品質管理の玉手箱(3)

          品質管理の玉手箱(2)

          TQCのはじまり 突然「日本型TQCとTQMは異なるものだ!」などと言われても、そもそも、「TQCって何?」と言う方も決して少なくないのが現状だと思います。  なぜなら、ISO 9001規格の2000年改定で"TQM(Total Quality Management)"と言う用語が国際標準として公認されたことで、我が国でも、「TQCをTQMに置き換える」活動が積極的に進められたことで、今や、"TQC"は過去の用語となりつつあるからです。  しかし、"TQC"が、日本の戦後

          品質管理の玉手箱(2)

          品質管理の玉手箱(1)

          TQCとTQM  1987年に制定された品質保証のための国際規格ISO 9000シリーズが抜本的に改定され、品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格に生まれ変わって23年、この間2度(2008年、2015年)の改定を経て次の改定に向けた動きが本格化される中、2000年の大改定(QAからQMS)の時期に筆者が関わっていた検討委員会のメンバー達が当時口にしていた懸念が、今正に着実に現実化しているように思います。  「このままじゃ、日本の品質管理が乗っ取られるぞ…」  1

          品質管理の玉手箱(1)

          品質管理の玉手箱

          まえがき  突然ですが、“品質”あるいは“品質管理”と聞いて、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?  もしかすると、「データの改ざん」とか「リコール」とか「産地偽装」「異物混入」などなど、マイナスのイメージが先行する方も、少なくないのではないでしょうか?  確かに、昨今のメディア報道を見たり聞いたりしていると、“品質”と言う用語は、社会的にはあまり好ましくない状況(事件や事故)と共に語られることが多いように思います。  しかし、1961年生まれの筆者にとっての“

          品質管理の玉手箱