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東日本に再来する巨大津波の脅威

91年前の今日、1933年3月3日未明
東北は大きく長く続く揺れに見舞われた。
その約30分後、三陸海岸を遡上高30mに迫る巨大津波が襲い、死者・行方不明者合わせて3064人に達する甚大な被害をもたらした。
昭和三陸地震(M8.1 Mw8.4)である。

震央と震度分布(気象庁震度DB)
被災した釜石
津波が襲った後の釜石湾
被災した釜石

この地震は海溝軸の外側で起こる正断層型地震で、いわゆる「アウターライズ地震」と呼ばれる地震だった。

アウターライズとは海溝の外側にできる地形で、浅い所では引っ張りの力が働くため正断層が発達し、地震を起こすことがある。

このアウターライズの正断層は、プレート境界の衝上断層に比べて傾斜が急であり、縦方向にズレるため高い津波を起こしやすい
その結果が1933年の昭和三陸地震である。

海溝での巨大地震によりプレート境界が大きくすべると、海側のプレートには陸側へ引っ張られる力が働くため、アウターライズ地震が誘発されることがある。

出典: JAMSTEC BASE(クリックすると飛びます)

例えば、
2006年千島列島沖地震(Mw7.9)では2ヶ月後にMw8.2のアウターライズ地震、2004年スマトラ島沖地震(Mw9.1)では8年後にMw8.6の地震(ただし横ずれ断層型)が発生した。

実は昭和三陸地震の37年前には、日本海溝でMw8.5の明治三陸地震が発生していた。
したがってこの地震も同様に、海溝の巨大地震に誘発されたものだと考えられている。

2011年3月11日、東北地方は未曾有の超巨大地震を経験した。
これが示すことは、今後数十年以上にわたって、巨大なアウターライズ地震が誘発される危険性が残り続けるということである。
実際、2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)では、三陸沖から関東東方沖にかけての広範囲に分布する正断層で地震が促進されたと推定されている。

2011年の地震によるアウターライズ地震の最大規模は、現在のところ本震の1時間後に起こったMw7.5でしかない。これほど広範囲のアウターライズに蓄積された応力を解消するには、到底足りない規模だ。

日本海溝アウターライズにはまだ破壊されていない正断層が広く存在している可能性があり、昭和三陸地震のようなM8クラスの地震が、いつ起こってもおかしくない状況なのだ。
2011年から13年が経った今も、三陸海岸への巨大津波の脅威は未だ去っていないし、次に襲う巨大津波がアウターライズ地震である可能性はかなり高いだろう。
13年経ったとは言っても、たかが13年。
昭和三陸地震が、巨大地震から37年の時を経て起こったという重大な事実を忘れてはいけない。

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