【歌壇賞応募作】山城周30首連作「山羊と羊」
長母音やぼったければこのごろは突発過眠症【ナルコレプシ】と呼ぶようにする
寝入りばなわたしのなかにいるわたしのなかに入ってゆくのはわたし
生きている魚食むここち洞穴のごとく大口あけさせられて
鱗うすくかたく歯につきやまずいる虫たちの翅こぼれだすまで
骨と骨のすき多くあり翅もてるものは通ってゆけるすきあり
治療だとおもわず休みなさいという声しみこまぬ合皮のソファ
休むとはねむりにあらずそのさきに脱けねばならぬ森暗くある
水飴にひふくるまれてひふでないひとのみ歩みゆるす夢ぬち