Champions優勝記念 ~EDward Gamingが栄光を掴むまで~
VALORANT Champions Seoulの終幕から早くも3週間が経ってしまった。
今更ながら、アジアチーム初となるChampions優勝を飾ったEDGのストーリーを振り返る。
中国王者、苦悩の1年からの逆転劇
2023年、EDGは国際大会で安定してプレイオフに進出できるようになり、各地の強豪チームとも互角に戦えるほどの成長を見せていた。
しかし、2024年のEDGは窮地に追い込まれることとなる。
Masters Madridではスイスステージ敗退、Masters Shanghaiではプレイオフシードを獲得していたが、1マップも取得できずに敗退が決まった。
初の自国開催で期待に応えることができなかったEDGに対して次第に批判の声が大きくなり、コーチのAfteRは責任を取って辞任した。
不調は国内リーグでも続いた。
VCT CN Stage2、初戦では下位チームのWOLに敗北。
Haodongのコーチ転向が決まり、約2年ぶりの新加入選手であるS1monを迎え入れた。
急なロースター変更とIGL変更によりチームは安定せず、次戦のDRG戦でも敗北を喫する。
下位チーム相手の連敗に加え、IGLとなったnobodyのスタッツ低下や、メインコントローラーだったSmoggyのデュエリスト採用などに対して、コミュニティの不満は募っていくばかりだった。
その後、辛うじて国内連覇を死守し、Champions Seoulへ進出する。
ただ、世界の中国リージョンに対する評価は依然として低く、今年のMastersの成績からもEDGに期待を寄せる人は少なかった。
勝てばプレイオフ、負ければ帰国のグループステージ最終戦、相手はPRX。
PRXとは今まで出場したほとんどの世界大会で対戦しており、謂わばEDGにとって因縁の相手だ。
これまで対戦した5試合中、勝利したのは1試合のみ。望みは薄いと思われた。
1stマップアイスボックスを大差で落とし、PRXが得意としているサンセットを落とせない状況に追い込まれる。
ところが、PRXのサンセット12連勝を打ち切り2ndマップ勝利。
3rdマップロータスでは序盤からリードを許さず、寧ろ大差をつけてマップを取り返した。
勢い付いたEDGは、プレイオフ全勝でアッパーブラケットを駆け上がった。
来たる決勝の相手はTH、Masters Shanghai 2位の紛れもない優勝候補だ。
1stマップヘイヴンでは圧倒的な差を見せつけられ、EDGのアンダードッグストーリーも終わりが見えたかと思われたところ、2ndマップサンセットは前半11-1と逆に大差をつけ、そのままリードを譲らず勝利。
続いて3rdマップロータスも勝利し、先にマッチポイントを決めた。
4thマップバインドでは拮抗するも、後半連続でラウンドを落とし、8-12に追い込まれる。
CHICHOOのインセンディアリーを蹴るスーパープレイやZmjjKKのオペレーター2枚抜きでラウンドを繋ぎ、11-12まで持ち込んだ。
あと1本でOT。流れはEDGに傾いたように見えた。
ラウンド24、人数不利の状態からZmjjKKがACEを取るも、Booが残したインセンディアリーによる遅延でスパイク解除は失敗。
ZmjjKKは爆発するスパイクにショーストッパーを打ち込んだ。
勝負の決着は最終マップアビスに持ち込まれる。
前半からEDGがリードしたものの、11-4から5ラウンド連続で落とし、EDG側のエコラウンドで迎えたラウンド21。
ヒーローズバイでガーディアンを購入したZmjjKKが4キル、ラウンド取得に成功。
このラウンドでZmjjKKはBO5における最高キル数記録を更新した。
流れを断ち切ったEDGはそのまま勝利。
茨の道を歩みながらも、EDGは中国リージョン初、悲願の世界大会優勝をChampionsで決めた。
あとがき
私がEDGを知ったのは2022年のLCQ前のこと。
日本人選手の間で「スクリムでヤバい中国チームがいる」と噂されていたのがEDGだった。
LCQで初めてEDGの試合を見た時、度肝を抜かれた。
まだLCQすら優勝していないのに、その大胆不敵な戦いざまから「Champions優勝するかもしれない」と思った。
当時の私が想像していたよりも紆余曲折はあったけれど、彼らは本当にChampionsトロフィーを手に入れてみせた。
改めてEDG、Champions優勝おめでとう!
EDG公式 Championsドキュメンタリー