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亡霊という言葉の特殊な用法
※本記事は、《死亡遊戯は飯を食う。》1~6巻のネタバレを含みます。未読のかたはご注意ください。
幽霊、あるいは亡霊。これらは現世に残された死者の怨念のことを表します。けれど「亡霊」という言葉には、ときに比喩的な意味が伴うらしく……。実体がないにもかかわらず、現実世界に影響を与える存在。いるのにいないもの。人はそういうもののことも亡霊と呼ぶ、そうです。
鵜飼有志『死亡遊戯は飯を食う。』はデ
2024年の抱負、進捗
この記事で当アカウントは2024年の抱負発表ドラゴンになりました。うそです、おれは人間です。
あれから半年、あの目標たちはいま、どのような進捗を産んでいるのでしょうか。今回の記事では、目標たちのその後を見ていきましょう。
①出不精改善! どっか旅行する!
……えー、進捗ないです。
これに関してはほんとうにおれという人間のずぼらさが遺憾なく発揮された結果となっており、残念でもなく当然とい
テレパシーなんてなくても
第26回電撃大賞金賞として『豚のレバーは加熱しろ』が出版された当時、正直なところ、ぼくはこの作品にあまり興味を持っていませんでした。「なんで豚?」とちょっと思ったくらいで、まぁ一発ネタだろうと内心侮りながら手を出す気になっておらず、そこから2年ほど、このシリーズを思い出すことはなかった記憶があります。
ぼくがこのシリーズを意識したのは、『豚のレバーは加熱しろ(6回目)』が刊行されたときでした。
手遊び(文舵 練習問題①〈文はうきうきと)
お前も文体の舵を取らないか?
問1:一段落~一ページで、声に出して読むための語り(ナラティヴ)の文を書いてみよう。その際、オノマトペ、頭韻、繰り返し表現、リズムの効果、造語や自作の名称、方言など、ひびきとして効果があるものはなんでも好きに使っていい――ただし脚韻や韻律は使用不可。
遊ぶのだ、そう誰かから言われたとする。私がその言葉を受けてすぐに何でどのように遊ぼうかと思って身の回りのもの
2021年度新刊ミステリよかったやつ10作(後編)
本当は前編を書いた日の午後にでも書こうと思っていたのですが、だり~な~と小説読みながら先延ばしにしていたら1週間経っていて、自分の怠惰さにびっくりしました。超ウケる。前置きをダラダラ続けてもしょうがないので、さっそく続きを書いていきましょうか。
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三津田信三『忌名の如き贄るもの』 刀城言耶シリーズの長篇8作目。もうそんなに続いているのか……と謎の感慨がありますね。意味深長極まりない“忌
2021年度新刊ミステリよかったやつ10作(前編)
1年くらい前にtwitterでこういう放言をしたことがずっと頭の片隅にあり、
まぁ言ったからにはやるか~ってことで今年は例年よりよく新刊を読みました。おれが読む小説の多くはミステリというジャンルにカテゴライズされてることが多いので、今年読んだ新刊もたぶんだいたいがミステリだと思います。せっかくこんだけ新刊読んだんだし、よかったやつについて備忘録がてらに所感をざっと書いておきます。十進数に脳を毒