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「記憶の珍味」展に行ってみた

* 展示のネタバレ?を含みますので、いく予定がある方・ちょっとでも行ってみようと思っている方は、行ってから読むことをおすすめします。体験としてはすごくレベルが高くてよいものでした。

もともと記憶の珍味展には興味がありました。ただ、行こうと予定していたのが3月で、ご存知の通りの原因で開催が中断され、行けないまま半年が過ぎてしまいました。

そんなとき、Twitterで記憶の珍味展が再開するという情報を得たのです。だから行ってみることにしました。なんてシンプルな構図。
今回はそのレポート記事です。

決定は唐突に

もともとこの日は小麦の脱穀を予定していたのが、あまりの暑さで消滅したので、しかしさて電車に乗ってしまったしどうしようか…と3秒ぐらい考えたのだった。

実は次の日に、他の予定に合わせて記憶の珍味展に行くつもりだったので、それを1日早めることにした。

調べてみると、この展示が開催されている「資生堂ギャラリー」というのはGOOD DESIGN Marunouchiにも足が伸ばせそうな立地だったので、現在開催中の「アフターコロナのユートピア」もついでに見てこよう、そうしよう!

↑これは今なにかと話題なスプツニ子!さんがTwitterで絶賛していたので、かねてより行ってみようかなとおもっていたのだ。

記憶の珍味のほうは現在時間予約必須のチケット制なので、そこだけ注意。とはいえ平日はまず空いているようであったので、当日予約でおっけー。

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有楽町の駅に来たのなんて、一体何ヶ月ぶりだろう。少し感慨にひたり、まずは「アフターコロナのユートピア」へ足を伸ばす。

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この展示は、個人的には「ささった」わけではなかったけれど、良い展示だった。自粛警察は素晴らしい作品だと思うし(Twitterで見ていた)、食べ物のことを題材にした展示では、我らがFR0M SCRATCHと同じような考えにたどり着いているコメントなどもあって面白かった。

あとは赤い糸の作品もすごく思うところがあって、行ってよかったなぁと思っている。

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時間になったので資生堂ギャラリーへ。

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こんなおしゃれな写真が撮れちゃうぐらいにはおしゃれなところなので(ギャラリーは手前の赤いビルの中)、私1人で入るのは少し勇気がいるけれど、気にせず進む。
入り口で時間を確認され、時間になったら呼ぶので店内を回っていてほしいということで、散策。

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ギャラリーは地下にあった。

事前にArtStickerというアプリをインストールするようにと指示があるが、きちんとインストールしておくのをおすすめする。
音声ガイドがかなり重要な役割を果たしている、というかないとどう見ればいいのかわからない。
あと部屋の奥に行くと電波が入らず、2番目の音声ガイドが聞けなくなるので、入り口でフリーWifiにつなぐことをおすすめする。

そこにつくと、まず目に入るのは天井から下がる何本もの木である。これだけでなんだかすごく荘厳な雰囲気だが、周りをゆっくり回っていると、鼻腔を通る「えたいのしれない」香りと、歩く速さと、安らぐ明るさや音、そういうもので、脳がだんだんと停止していく気がする。未来に進むことを一旦止めて、過去に生きているような感覚がしてくる。(宗教ではないです)

中心にテーブルがあり、(完全に忘れていたが、チームのメンバーに指摘されて思い出した。もともとは食をテーマにしており、コロナ前は実際に属することができる展示だった)、そこには触れることなく周りを回る。

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詳細な説明がないので少し迷うが、この木にどうやら「香り」が染み込ませてあり、一本ずつ異なる。樹の下にある円柱の下の方に、AとかBとか書いてあるので、流れに身を任せて香りを楽しみ、頭に強く残る一本がきっとあるので、それを覚えて白膜をくぐる。

そこには先程の香りが染み込ませてあるシートがパックされていくつもぶら下げてあるので、選んでマスクに貼る。

この「マスクに貼る」のは、マスクをしていることをコンテキストとして共有しているばかりかまさにソーシャルノームであり、まさにアフターコロナだなと感じさせられた。先程の展示を見たのも相まって、麻痺した頭に今が「普通じゃない」ことだけを流し込まれた気分になった。

そうすると、展示室の奥に黒い空間に、ライトが1点だけ灯っている空間があり、そこで目 鼻 耳を最大限使って記憶を呼び起こす。
どうして私はこの香りに惹かれたのだろう…?どこで出会ったことが会ったのだろう?そうやって、徐々に過去の深淵へと進んでいく。

珍味とは、そこにある香りだけではないのだ。それは私達の記憶と結びついて初めて、味として呼び起こされる。自分に正直に、自らと向き合う。

何かがつかめたようなきがして、私は部屋を出てきた。

部屋を戻り、入り口を越え、階段を上がり、じょじょに明るくなるのを楽しむ。銀座の町に出たときには、また未来へと頭が戻っていた。

でも未来は、過去を引き連れている。マスクに残った、その香りとともに。

(香りのシートはそのまま持ち帰ります。)

おわり

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