お客さんの空間を大切にする
お店に食べに行って、
めちゃくちゃきれいだけど居心地悪いなって感じた経験ありませんか?
逆に、汚いけど居心地のいいお店ってありますよね?
この2つのお店、いったい何が違うんでしょうか?
こんにちわ、QSCマネジメントの小野です。
夢は『”心の底からいいなと思えるお店” を増やすこと』。
今日は、『お客さんの空間を大切にする』についてお話します。
「居心地の良さ」とは、人や物を含めた『空間』に感じるものだと僕は考えています。この『空間』とは、
・お店の清潔さ
・快適な室温
・最適なBGM
・インテリアの配置
・照明の具合
・スタッフの立ち振る舞い
・周りのお客さんの話声 etc...
等のたくさんの要素を指しています。
このたくさんの要素のバランスが取れている時に、「居心地の良さ」を感じます。リピートしていただくためには、この「居心地の良さ」が非常に重要です。
今回は、お客さんに「居心地が良い」と感じてもらうために僕が実践していることを、以下の流れでお話ししていきます。
お店のコンセプトに沿った空間づくり
空間にはたくさんの要素があり、
そのバランスが取れている時に「居心地の良さ」を感じるとお伝えしました。
バランスをとるためには、シーソーの真ん中のような軸となる支点が必要です。その軸となるのが、「お店のコンセプト」です。
ちなみに「お店のコンセプト」とは、
When(いつ)
Where(どこで)
Who(誰に)
What(何を)
Why(なぜ)
How much(いくらで)
How(どのように)
という視点から、どんなお店なのかを分かりやすく一言で言い表した言葉を指します。
ここが軸となり、
・フードコンセプト
・ドリンクコンセプト
・サービスコンセプト
・店舗デザイン
が決まります。
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■例①
「地域密着型のホッと一息つけるような小さな居酒屋」をしたい場合
When(いつ):夕方~深夜
Where(どこで):駅から住宅街の間の商店街の一角
Who(誰に):近隣に住んでいる30~50代のサラリーマン、OL
What(何を):めちゃくちゃおいしい家庭料理
Why(なぜ):疲れを癒してあげたいから
How much(いくらで):普段使いできるようにリーズナブルな価格で
How(どのように):ビラ配り、新聞の折り込み、WEBページ、看板等版
という視点から、
店舗コンセプト :「第二の家」
フードコンセプト :実家で出てくるようなおしゃれ過ぎない料理のめちゃくちゃおいしい版
サービスコンセプト:「実家のオカン、または、オトン」
店舗デザイン :畳や掘りごたつ等、おしゃれ過ぎないデザイン
こんな感じのコンセプトが決まっていきます。
■例②
「こだわりのイタリアンと感動するサービス」を提供したい場合
When(いつ):昼~深夜
Where(どこで):二等地(郊外)の一番立地(駅前など)
Who(誰に):グルメな方、20~50代の女性
What(何を):最高のイタリアンと、非現実的な空間
Why(なぜ):日常から離れて楽しんでもらいたいから
How much(いくらで):ややお高め
How(どのように):SNS、雑誌、グルメサイト等
という視点から、
店舗コンセプト :「非日常」
フードコンセプト :こだわりの食材と料理法で作る、感動触感の生パスタ
サービスコンセプト:「お姫様気分になれるサービス」
店舗デザイン :お城にいるかのような空間
こんな感じのコンセプトが決まっていきます。
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この後の項で、
コンセプトにあった考え方をご紹介していきます。
上記を参考に、みなさんの働くお店のコンセプトを確認してみましょう。
全ての項目で統一感はありますか?
インテリアの配置は完璧か?
いろんな要素があると言いましたが、
その中でも特に重要なのが、
『インテリアの配置』
だと考えています。
1.お客さんの空間を確保する
基本的な考えとして、隣の席との間隔は、
『幅65cm以上離れていること』
が前提となります。
もちろんお店のコンセプトによってこの距離は変わってきますが、これ以上近ければ窮屈に感じます。
また、席によっては空調が直撃したり照明が眩しかったりする席もあります。
まずは、自店のテーブル配置を見直してみて下さい。
全ての席に実際に座ってみて、
・窮屈なところがないか
・落ち着かないところがないか
・空調が直撃しないか
・照明がテーブルの真ん中に当たっているか
・スピーカーの近くでBGMがうるさくないか
を確認してみて下さい。
必ずどれかに当てはまる席が存在するはずです。改善できるなら、テーブルの配置を変えて改善しましょう。
ですが、全てを完璧にすることは物理的に不可能な作りのお店もあると思います。そういう席には対策が必要です。
例えばこんな感じ。
・空調が直撃する
→
ブランケットを用意する
空調に風よけをつける
・窮屈すぎる
→
4名テーブルなら3名までしかご案内しない
ご案内時に一声かけてお客さんの了承を得る
まずはお客さんの空間をしっかりと確保しましょう。
2.インテリア配置とご案内の仕方でお店の雰囲気を作る
お店には、まるで
「スポットライトを浴びるようにまわりから注目される席」
または、
「まわりへ影響を与える席」
が存在します。
そういう席というのは、
往々にしてとても居心地の良い席で、
その席にどんなお客さんが座るかでお店の雰囲気というのはガラリと変わります。
まずは、自店でどこが一番良い席なのかを探してみて下さい。もし見つからなければ、テーブルの配置を変えてでもそういう席を作り出しましょう。
次に、その席にどんなお客さんに座って欲しいのかを考えてみて下さい。
考え方としては、
・お店の理想のターゲット
・マナーが良い
・華がある、もしくは、存在感がある
こういったお客さんが当てはまります。
その席に理想のお客さんが座ってるのを想像してみて、
額縁に入れて飾りたくなるようなイメージが出来れば大成功です。
お店の一番映える席に華のあるお客さんが座っていれば、
周りのお客さんも、その映えるお客さんを見て
「ここはこういう店なんだ」
と解釈して、自然と合わせていってくれます。
そうすることで、全体的な雰囲気をコントロールする事が出来るのです。
オープン前の事前準備
インテリアの配置が整えば、後は日々の営業前に再確認をしていきます。
確認事項としては以下を参考にしていただければと思います。
・掃除は出来ているか
・テーブルの淵、裏、イスにベタつきはないか
・照明は当たっているか
・電球は切れていないか
・テーブルのガタつきはないか
・店内温度は最適か
・空調は直撃していないか
・トイレの清掃、備品の補充は出来ているか
・BGMは最適か
・スタッフに清潔感はあるか
理想的なサービスの方向性
お客さんを出迎える準備が整えば、後は気持ちを込めてサービスをするだけです。
ここで大事なのは、
『お店の雰囲気に合ったサービス』
をすること。
極端な話、高級レストランで居酒屋の大将のようなかけ声は必要ありませんし、逆にコンビニでかしこまったサービスも必要ありません。
自店をどのようにしたいのか?
お客さんにどのようにすごしてもらいたいか?
そして、実際にお客さんが何を求めて来てくれているのか?
これらを理解して、トータルでバランスの取れたサービスを提供しましょう。
「お客様」ではなく「お客さん」と言う理由
よくあるサービスマニュアルとして、
・お客さんに自己紹介しよう
・自分をアピールして覚えてもらおう
というものがあります。
1人で営業するような小さなお店であれば、個にお客さんをつける事はとても大事な要素になってきますが、複数人で営業するお店であれば、個よりもお店にお客さんをつける必要があるので、あまりオススメはしません。
新規のお客さんは、お店に何を求めて来店されると思いますか?
人それぞれに来店動機はあるかと思いますが、まず間違いなく共通しているのは、
・美味しい料理やお酒を楽しみたい
・友人とゆっくり話したい
・飲食の場(空気感)が好き
こんな感じだと思います。
そう、お客さんは僕らの名前とか正直どうでもいいんです。
(一人で切り盛りする小さなお店や、バー等、距離感の近いお店は例外です。)
ノリのいいお客さんは名前を呼んでくれますが、それは相手をしてくれているだけ。
勘違いしてはダメですよ!(笑)
中には本当に楽しんで名前を呼んでくれるお客さんもいますが、それはとても稀な存在であることを理解しましょう。
まずはお客さんに快適に過ごしていただく為に、お客さんが何を求めてるのかを理解する事が必要です。
・ではどうやってお客さんのニーズを汲み取るか?
僕は、お客さんに直接聞いちゃってます。
なぜなら答えはお客さんの中にあるから。
これ、めちゃくちゃ大事です。
お客さんがどうすれば喜んでもらえるか、僕らが頭を悩ませたところで、相手の頭の中を100%理解することは出来ません。
なら聞いちゃえばいいんです。
もちろん、頭を悩ませることもめちゃくちゃ重要です。
どうすれば喜んでもらえるんだろうっていう気持ちがないと、そもそも質問するっていう行動に繋がらないので。
ただ、聞いちゃった方が早いよって話。
テストでカンニングしたら怒られるけど、ここはどんどんカンニングしていきましょう。
・必ずしも期待通りのサービスを提供しないといけないわけではない
これまで、期待に沿ったサービスをしようと繰り返しお伝えしてきました。ですが、それだけではいけない事もお伝えしておきます。
お客さんはとても大切ですし、
『尽くして喜んでいただいてまたきていただく』
その為に僕達はサービスをしています。
ですがそれは、
『お店のルールの範囲内』
でサービスをする事が前提です。
お店のルールから逸脱していれば、それはしっかりとルールをお伝えしなければいけません。
お店とお客さんは対等な関係であり、お客さんはあくまでお客さんであって、神様ではないのです。
だから僕は「お客さん」と呼びます。
お客さんが理想的な顧客になれば、お店の空間がより良いものになり、それはまわりのお客さんの居心地の良さにも繋がります。
お店とは、お客さんと共に作り上げていくものです。
お客さんを育てることも、サービスの大切な仕事の一つなのです。
今日から実践できること
今日のまとめです。
居心地の良さとは「空間」に感じるものです。
空間とは、さまざまな要素で出来ており、その要素のバランスがとれた状態が、「居心地の良い状態」です。
このバランスをとる為の軸が「店舗コンセプト」で、
When(いつ)
Where(どこで)
Who(誰に)
What(何を)
Why(なぜ)
How much(いくらで)
How(どのように)
という視点から、どんなお店なのかを分かりやすく一言で言い表した言葉を指します。ここが軸となり、
・フードコンセプト
・ドリンクコンセプト
・サービスコンセプト
・店舗デザイン
が決まります。
このコンセプトに沿って、自店のインテリアの配置やサービスの方向性を考えていきましょう。
居心地の良い空間を作るには、お客さんの協力も必要です。
お客さんを、良い顧客に育てていきましょう。
◎今日から出来る事として、以下をオススメします。
・自店のコンセプトを理解する
・お店のテーブル配置を見直す
・オープン前の再確認を徹底する
今日来てくれたお客さんを顧客にしていく為に、
是非取り組んで下さいね。
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