【ＳＴＯＲＹ３】抱えきれない

体調が悪いなか、彼氏ができました。
体が重く、余裕がないと一度は断りましたが、
それでもということだったので、
そんなに好きでいてくれるのかと甘えることにしました。

でも私の勘違いでした。
気を使いながらお付き合いがはじまり、
しばらくしてもう仕事ができないかもしれないことを相談したとき、
私には余裕がなく、わがままをぶつけてしまいました。
今考えれば、相談の仕方も間違っていました。

「浅はかだった。そんなつもりはなかった。抱えきれない。」
そう言われました。

私はそりゃそうですよね、と思いました。
健康ではない人間とわざわざ付き合わないよねと思いました。
これは完全に私の価値観でした。
健康ではない自分は価値がない、というものを持っていました。

私は「欠陥品が捨てられた」という感覚になりました。
そして焦燥感が引き出されてきたのです。

はたから見れば、なんともない話です。
普通のしょうもない失恋です。

彼のことはさほど好きとは感じていませんでした。
今考えれば、私は彼氏という存在に甘えていただけで、
彼のことは全く見ていませんでした。
彼はおそらく、健康状態よりも私の心の持ち様で判断したのでしょう。

お別れしたのち、
ついに自分の体ではなくなっていくのです。

つづく