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【 noteで学ぶ 世界の名画とアート思考 】 モディリアーニが最後に描いた愛 ― 《ジャンヌ・エビュテルヌ(帽子をかぶって)》が秘める“革命”
= こんな人におすすめの記事です =
「 “ アート ”や“ アート思考 ” ってどうやら大事そうなんだけど、アートの見方もそもそも何なのかも、全然わからない。…でも、我が子に“ アート教育 ”はさせたい! 」
これ、僕の欲求です(苦笑)。
でも、あるある、ですよね?
ですが、なかなかどこを調べたらいいか分からないし、これらの情報にたどり着けないことがしばしば。
…ということで、このnoteでは、『 世界の名画とアート思考 』を週に1つずつお届けしております。皆様の一助になれたら嬉しいです!
= そもそもアート思考って? =
色々と言われてはいますが、
① 過去の状況を理解し、
② その中にある問題点や疑問を発見し、
③ これまでに無い新しい価値観や方法を提案する
思考法と僕は理解しています。ここを意識しての名画を観察すると、“ あ!この名画はこういう観点でアート思考を取り入れているんだ! ”と理解しやすくなるので、おススメでございます。
= 今週の名画:ジャンヌ・エビュテルヌ =
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アメデオ・モディリアーニの名を聞いて、思い浮かぶのは、細長い顔と首、大きなアーモンド型の目を持つ肖像画だと思います。その中でも、彼が生涯をかけて愛し続けた女性を描いた《ジャンヌ・エビュテルヌ(帽子をかぶって)》は、単なる愛の証ではなく、当時の芸術界に革新をもたらした作品でもあります。
モディリアーニとジャンヌ――愛と悲劇の物語
1917年頃、モディリアーニはすでに健康を害していましたが、創作への情熱は衰えませんでした。そんな彼を支えたのが、恋人でありミューズでもあったジャンヌ・エビュテルヌです。彼女は美術学生であり、画家としての感性を持つ女性でした。彼らの愛は強烈で、燃え上がるような情熱とともに、深い悲劇へと向かっていきました。
モディリアーニが36歳の若さでこの世を去った翌日、ジャンヌは妊娠中にもかかわらず、彼の後を追うように自ら命を絶ちました。この一連の出来事は、20世紀芸術界に衝撃を与え、彼らの愛の物語は伝説として語り継がれることとなりました。
《ジャンヌ・エビュテルヌ(帽子をかぶって)》の革新性
この肖像画が単なる愛の記録ではなく、芸術的革新を秘めた作品である理由はどこにあるでしょうか?
それは、モディリアーニが伝統と前衛の狭間で独自のスタイルを確立した点にある。
① 曲線的なフォルムと単純化された形
モディリアーニの描く人物像は、ピカソやブラックのキュビスムとは異なり、直線的な解体ではなく、曲線の洗練による抽象化がなされています。顔や首が細長く誇張されることで、静謐な美しさが際立ち、観る者に独特の印象を与えます。
② 感情を抑えた表現の中に宿る内面性
一見すると無表情に見えるジャンヌの顔。しかし、そこには彼女の内なる世界が映し出されています。ピカソの《泣く女》のように直接的な感情表現ではなく、静かながらも奥深い感情を湛えた視線が、観る者の想像力を刺激します。
③ 伝統と前衛の融合
モディリアーニの作風には、ルネサンス期の肖像画の影響が色濃く残っています。しかし、彼はそこにフォーヴィスムやキュビスムの要素を取り入れ、時代の最先端を行く新たな肖像画のスタイルを確立しました。これは、20世紀初頭のパリという芸術の坩堝(るつぼ)の中で育まれた、まさに「革命的」なアプローチでした。
“売れない画家”が生んだ後世への影響
生前のモディリアーニは、経済的に恵まれず、画商レオポルド・ズボロフスキーの支援を受けながら制作を続けました。しかし、当時の美術界では彼の作品が高く評価されることはなく、彼自身も裕福なパトロンを持つことはありませんでした。
しかしながら、彼の死後、作品の価値は飛躍的に高まりました。現在ではオークションで数十億円もの価格がつくこともあります。つまり、モディリアーニは「商業的成功」には恵まれなかったが、「芸術的成功」においては後世に多大な影響を与えたと言えます。
モディリアーニが現代に問いかけるもの
モディリアーニの肖像画が現代でも愛され続ける理由は何でしょうか?
それは、「美とは何か?」という普遍的な問いに挑み続け、" 伝統と前衛の融合 "という革命的なアプローチを見出したからだと考えられます。
彼の作品には、完璧な技術や写実性ではなく、人物の内面を映し出す「魂」が宿っています。それこそが、100年以上経った今でも、私たちを惹きつけてやまない理由なのではないでしょうか?
《ジャンヌ・エビュテルヌ(帽子をかぶって)》は、単なる肖像画ではなありません。それは、モディリアーニが生涯をかけて追求した「愛」と「美」の結晶であり、同時に20世紀初頭の芸術界における“革命”でもありました。
この作品が今、どこかのコレクターの手元にあり、美術館での常設展示がされていないことは惜しまれますが、しかし、それでもなお、この絵の持つ力は失われることはありません。モディリアーニが描いた愛の形は、時代を超えて、多くの人々の心を震わせ続けていくことでしょう。
* 合わせて読みたい関連ブログ *
名古屋の美術館情報が詳しく書かれていて勉強になりました!名古屋市美術館でモディリアーニが見られるようです!
* 引用
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= あとがき =
noteをご覧いただきありがとうございます。
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会社員の傍ら、上海で塗り絵本作家になりました、KENTA AOKIと申します。日本・中国を拠点に、個展をしたり、アジアやアフリカの子供たちと塗り絵イベントを行ったり、塗り絵本を出版したり、そういった作家活動を行っております。
作家活動を進める中で、美大卒でもない、若輩者の私は、“ アート ”に関して日々色々なことを学び、そのうえでアート作品を創るようにしております。というのも、“ 美大卒でもない ”というのが結構コンプレックスなんです。
ただ、そんなことを続けていく中で分かってきたのは、
「 アートを学ぶ方法って色々あって、美大の知識は勉強したらつけられるかも!? 」
「 アートって実は科学的かつ論理的で、むしろ理系向きかも!? 」
「 アートを届けるには、ビジネスの知識も必要なんだな 」
でした。
学べば学ぶほど、アーティストだけが“ アート ”を学ぶ・理解するのは非常にもったいないなと思ったのと同時に、もっともっと“ アート思考 ”を応用すると、おもしろいものやサービスが生まれるんじゃないかと思いました。
日々本を読み、実戦しながら、学んでいる僕がこれらを伝えていくことで、よりリアリティを持って、学びが共有できたら嬉しく思います。僕と同じ境遇にある方々に届き、共感頂けたら更に嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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