【 noteで学ぶ 世界の名画とアート思考 】 「エゴン・シーレが恋人に捧げた"ポートレート・オブ・ワリー"とは? — 1912年に描かれた愛と狂気の肖像画」
= こんな人におすすめの記事です =
「 “ アート ”や“ アート思考 ” ってどうやら大事そうなんだけど、アートの見方もそもそも何なのかも、全然わからない。…でも、我が子に“ アート教育 ”はさせたい! 」
これ、僕の欲求です(苦笑)。
でも、あるある、ですよね?
ですが、なかなかどこを調べたらいいか分からないし、これらの情報にたどり着けないことがしばしば。
…ということで、このnoteでは、『 世界の名画とアート思考 』を週に1つずつお届けしております。皆様の一助になれたら嬉しいです!
なお、『 他にもこんな展覧会がおススメですよ! 』というものがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。教えてくださった方に、1コメントにつき100円をnoteのサポート機能でプレゼント!
= そもそもアート思考って? =
色々と言われてはいますが、
「 過去の状況を理解し、その中にある問題点や疑問を発見し、これまでに無い新しい価値観や方法を提案する思考法 」
と僕は理解しています。ここを意識しての名画を観察すると、“ あ!この名画はこういう観点でアート思考を取り入れているんだ! ”と理解しやすくなるので、おススメでございます。
= 今週の名画:ワリーの肖像 =
エゴン・シーレの代表作「ポートレート・オブ・ワリー」は、1912年に描かれた恋人ワリー・ノイルをモデルにした肖像画です。この作品には、シーレの情熱と内面の葛藤が生々しく表現されています。彼の大胆な色彩と歪んだプロポーション、愛と疎外が混在するこの肖像は、観る者に深い感情の波を呼び起こします。シーレは、ワリーの存在を鋭く切り取り、彼女の顔や視線に不思議な引力を宿しました。彼女の視線が物語るのは、ただの恋愛感情だけではありません。シーレの描くワリーの表情には、彼の愛と苦悩が反映されており、時を超えて私たちに問いかけます。
シーレと分離派、自由への渇望
1890年にオーストリアで生まれたエゴン・シーレは、幼少期から芸術に強い関心を示しましたが、保守的な美術アカデミーの伝統的な教育に違和感を抱きます。
1907年、象徴派の巨匠グスタフ・クリムトと出会い、シーレはウィーン分離派の活動に触れ、表現の自由を求めて前衛的な作品を生み出していきます。シーレが得意とした歪んだプロポーションやエロティックな描写は、当時の保守的なウィーン社会からの批判も多く受けましたが、クリムトをはじめとするパトロンの支えによって創作活動を続けられました。
感情と技術が融合した"ポートレート・オブ・ワリー"
シーレが描いた「ポートレート・オブ・ワリー」には、愛情と苦悩が織り交ざっています。この作品の技術的特徴として挙げられるのが、「歪んだ身体比率」と独自の色彩表現です。ワリーの存在を強烈に捉えるこの筆致は、シーレの心理的表現の深化を感じさせます。人体の形を意図的に変形させることで、鑑賞者に視覚的なインパクトを与え、感情が鮮烈に浮かび上がるようにしています。さらに、肌の色や背景の色彩には微細なニュアンスが込められており、ワリーへの複雑な感情が表現されています。これこそが、シーレがアカデミズムの枠を超え、独自の芸術を確立した証といえるでしょう。
芸術史に刻まれた1912年、シーレの革新性
「ポートレート・オブ・ワリー」が制作された1912年、ヨーロッパの芸術界ではパブロ・ピカソやアンリ・マティスがキュビスムやフォービズムを通じて新しい表現の可能性を探求していました。ピカソは「アヴィニョンの娘たち」などで形態の分解と再構成を目指し、マティスは「ポール・ポワレ夫人の肖像」で色彩と形の自由を追求しましたが、シーレはさらに踏み込み、視覚的歪みと感情の表出を重視しました。ピカソやマティスが「外形」にこだわる一方で、シーレは「内面」にフォーカスしていたのです。彼の作品には、エモーショナルで内面的な真実が重視され、当時の肖像画には見られないほど感情的な表現が際立っています。
レオポルド美術館で生のシーレを感じる
エゴン・シーレの「ポートレート・オブ・ワリー」は、現在オーストリアのウィーンにあるレオポルド美術館で展示されています。彼の作品がもつエネルギーや奥深い感情の波を体感するには、実際に美術館で直に観ることが最も効果的です。背景の色合いや、ワリーの視線に込められたエネルギーは、写真では伝わりにくい部分があり、生で観ることで初めて感じられる感情もあります。ウィーンを訪れた際は、ぜひその魅力に触れてみてください。
アクセス
住所:MuseumsQuartier, Museumsplatz 1, 1070 Wien, Austria
電話番号:+43 1 525700
最寄駅:ウィーン西駅
シーレの描いたワリーに出会った時、あなたは彼の目を通して愛と葛藤の深淵を垣間見るでしょう。そしてその感情は、100年以上を経た今でも私たちの心を揺さぶり続けるのです。
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すごく勉強になる記事でした、オススメです!
* 引用
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= あとがき =
noteをご覧いただきありがとうございます。
会社員の傍ら、上海で塗り絵本作家になりました、KENTA AOKIと申します。日本・中国を拠点に、個展をしたり、アジアやアフリカの子供たちと塗り絵イベントを行ったり、塗り絵本を出版したり、そういった作家活動を行っております。
作家活動を進める中で、美大卒でもない、若輩者の私は、“ アート ”に関して日々色々なことを学び、そのうえでアート作品を創るようにしております。というのも、“ 美大卒でもない ”というのが結構コンプレックスなんです。
ただ、そんなことを続けていく中で分かってきたのは、
「 アートを学ぶ方法って色々あって、美大の知識は勉強したらつけられるかも!? 」
「 アートって実は科学的かつ論理的で、むしろ理系向きかも!? 」
「 アートを届けるには、ビジネスの知識も必要なんだな 」
でした。
学べば学ぶほど、アーティストだけが“ アート ”を学ぶ・理解するのは非常にもったいないなと思ったのと同時に、もっともっと“ アート思考 ”を応用すると、おもしろいものやサービスが生まれるんじゃないかと思いました。
日々本を読み、実戦しながら、学んでいる僕がこれらを伝えていくことで、よりリアリティを持って、学びが共有できたら嬉しく思います。僕と同じ境遇にある方々に届き、共感頂けたら更に嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。