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【 noteで学ぶ 世界の名画とアート思考 】 「村上隆の『お花』に秘められたメッセージ—現代アートと日本ポップカルチャーの融合」

= こんな人におすすめの記事です =

「 “ アート ”や“ アート思考 ” ってどうやら大事そうなんだけど、アートの見方もそもそも何なのかも、全然わからない。…でも、我が子に“ アート教育 ”はさせたい! 」

これ、僕の欲求です(苦笑)。
でも、あるある、ですよね?

ですが、なかなかどこを調べたらいいか分からないし、これらの情報にたどり着けないことがしばしば。

…ということで、このnoteでは、『 世界の名画とアート思考 』を週に1つずつお届けしております。皆様の一助になれたら嬉しいです!

なお、『 他にもこんな展覧会がおススメですよ! 』というものがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。教えてくださった方に、1コメントにつき100円をnoteのサポート機能でプレゼント!


= そもそもアート思考って? =

色々と言われてはいますが、

「 過去の状況を理解し、その中にある問題点や疑問を発見し、これまでに無い新しい価値観や方法を提案する思考法 」

と僕は理解しています。ここを意識しての名画を観察すると、“ あ!この名画はこういう観点でアート思考を取り入れているんだ! ”と理解しやすくなるので、おススメでございます。


= 今週の名画:お花 =

はじめに
村上隆の代表作『お花』シリーズは、1990年代後半から制作が始まり、カラフルで親しみやすいポップアートとして世界中で愛され続けています。シンプルで可愛らしい花々が並ぶ『お花』には、視覚的な楽しさの裏に日本独自の文化や美意識が込められており、アートと商業の境界を曖昧にする村上隆の独自の美学が反映されています。「平坦な中に深みを持つ」という表現手法によって、村上は日本と世界を繋ぐ新たなアートの価値観を提示しました。このような「スーパーフラット」な美学が、彼の作品を支える基盤となっています。今回は、この『お花』がなぜこれほど多くの人々に愛されているのか、その背景に迫ります。

村上隆の生い立ちと日本美術への影響
村上隆は東京都で育ち、幼少期から漫画やアニメに親しむ中で、ポップカルチャーへの関心を深めました。

東京藝術大学で日本画を専攻し、日本の伝統技法に触れると同時に、アニメや漫画の要素を取り入れることで、現代的な美術表現への関心が生まれました。この「スーパーフラット」な発想は、日本の伝統美術の平面的な構図や、アニメ・マンガ文化のデフォルメされた世界観に強く根付いており、村上の作品全体を支えるコンセプトとなっています。

『お花』が生まれた背景とその意義
『お花』シリーズは、村上の美学の象徴であり、カラフルでシンプルな花が並ぶデザインが特徴です。見る者に一見軽やかな印象を与える一方で、笑顔や悲しみなどの多様な表情を通して、感情の広がりや奥深さが伝わるよう工夫されています。村上が提唱した「スーパーフラット」理論に基づき、平坦な表面にカラフルな色彩や図形の繰り返しを用いてリズム感を生み出しており、鑑賞者に心地よい視覚体験を提供します。この作品には、アートと商業の垣根を超える試みが見られ、単なる鑑賞の対象としてではなく、商品としても愛される可能性を示しています。

村上はまた、シルクスクリーンやアクリル絵の具を用い、作品のクオリティと大量生産を両立させることで、アートが身近なものとして広がるように工夫しました。作品に求められる品質を保つために、カイカイキキのスタッフや職人と共に緻密な制作プロセスを設け、一貫性を持った作品を提供し続けています。これにより、村上は「持ち歩けるアート」としての新しいコンセプトを生み出し、多くの人々が作品を日常生活で楽しむことが可能になりました。

『お花』と同時代のアートシーンとの比較
1990年代後半から2000年代にかけて、ダミアン・ハーストの「スピン・ペインティング」やジェフ・クーンズの「バルーン・ドッグ」といった作品もまた、消費文化やポップカルチャーを反映したもので、村上の『お花』と同様に、アートの新しい可能性を追求していました。これらの作品と『お花』の違いは、日本の「かわいい」文化を美術表現に組み込み、スーパーフラットな視点を持って日常に浸透させた点にあります。消費社会におけるアートの価値観を日本的な視点から再構築し、単なる装飾品ではないメッセージを含ませるという革新性が、村上の作品にはあります。

村上隆が築いた「ブランドアート」としての価値
村上は1996年に設立した「カイカイキキ」を通じて、アートをビジネスの視点から広め、ブランド化を進めてきました。村上の作品は美術館やギャラリーで展示されるだけでなく、コラボレーション商品としても展開されることで、幅広い層に支持されるようになりました。このように『お花』は、従来の美術品の枠を超えて多くの人に愛される「日常に溶け込むアート」として、スーパーフラットの理念に基づく新しい価値観を提供しています。村上の作品はアート市場を活性化させると同時に、誰もがアートを楽しめる時代を牽引してきたといえます。

『お花』を体験できる場所とその意義
現在、『お花』は六本木ヒルズ森アートミュージアムなどで展示されることが多く、展覧会でも頻繁に紹介されています。この作品を通して鑑賞者は、日本の「かわいい」文化がアートとして世界に通用する価値を感じられるだけでなく、商業と芸術の境界が曖昧になる新しいアートの形を体験することができます。

アクセス
名前:六本木ヒルズ森アートミュージアム
住所:東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ森タワー
電話番号:03-5777-8600
最寄駅:六本木駅


さいごに

村上隆の『お花』は、ただの「かわいい」作品ではありません。平坦でありながらも奥行きを持つ美学、アートと商業を融合させた新しい価値観、そして消費社会の中でアートがどのように浸透するかを提示する作品です。この作品を通じて、村上はアートの在り方そのものを問いかけ、現代社会におけるアートの意味を私たちに考えさせてくれます。


( 参考 )
「 スーパーフラット 」
「スーパーフラット」は、村上隆が提唱した独自のアート理論で、日本の伝統美術やアニメ、漫画から影響を受けた表現です。「スーパーフラット」とは、「とても平ら」という意味で、2つの特徴があります。1つ目は、絵や彫刻が「平面的に見える」こと。日本の伝統美術には、遠近感や奥行きの表現が少ないものが多く、アニメや漫画も平らな画面に色と線で表現されています。村上はこの伝統を現代アートに取り入れました。

2つ目は「アートと商品が平等」という考えです。村上はアート作品を売るだけでなく、キャラクターを商品にしたり、企業とコラボレーションしたりしました。たとえば、村上の「お花」や「DOB君」などのキャラクターは、アートとして展示されるだけでなく、ポスターやキーホルダー、服などにも展開されています。こうして、アートが特別なものではなく、誰でも手に取れる身近なものとなりました。

「スーパーフラット」は、日本文化の平坦な表現を現代に生かし、アートと日常の境界を曖昧にした点で画期的です。


* 合わせて読みたい関連ブログ *

僕もこのyoutube見たり、本読んだりしていたので、こちらのnote、本当に勉強になりました!


* 引用

イノベーション創出を実現する「アート思考」の技術

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法



= あとがき =

noteをご覧いただきありがとうございます。

会社員の傍ら、上海で塗り絵本作家になりました、KENTA AOKIと申します。日本・中国を拠点に、個展をしたり、アジアやアフリカの子供たちと塗り絵イベントを行ったり、塗り絵本を出版したり、そういった作家活動を行っております。

作家活動を進める中で、美大卒でもない、若輩者の私は、“ アート ”に関して日々色々なことを学び、そのうえでアート作品を創るようにしております。というのも、“ 美大卒でもない ”というのが結構コンプレックスなんです。

ただ、そんなことを続けていく中で分かってきたのは、

「 アートを学ぶ方法って色々あって、美大の知識は勉強したらつけられるかも!? 」
「 アートって実は科学的かつ論理的で、むしろ理系向きかも!? 」
「 アートを届けるには、ビジネスの知識も必要なんだな 」

でした。

学べば学ぶほど、アーティストだけが“ アート ”を学ぶ・理解するのは非常にもったいないなと思ったのと同時に、もっともっと“ アート思考 ”を応用すると、おもしろいものやサービスが生まれるんじゃないかと思いました。

日々本を読み、実戦しながら、学んでいる僕がこれらを伝えていくことで、よりリアリティを持って、学びが共有できたら嬉しく思います。僕と同じ境遇にある方々に届き、共感頂けたら更に嬉しいです。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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KENTA AOKI @ 会社員 × 塗り絵本作家 × ビール愛好家
頂戴いたしましたサポートは、インドネシアやタイの子供たちに塗り絵本を送るための活動資金に活用させていただきたいと思っております。 何卒よろしくお願い申し上げます。