官僚哲学者・朱子、混迷の政界に立ち向かう(京都大学人間環境学研究科 准教授 福谷彬)
概要「朱子学」の創始者として知られる南宋の朱子。
現代では「朱子学」というと頑迷固陋な保守思想のイメージですが、現実の朱子の生き様はそれとは真逆でした。彼は高名な思想家だっただけでなく、腐敗した朝廷に革新を迫る開明的な官僚でした。
隣国の軍事的脅威の増大、税負担の増加と民衆の困窮化、政治権力の腐敗と官僚の無策…。朱子が活躍した頃の南宋の時代は、こうした様々な政治問題が噴出した時期でした。
そのような時代にあって、朱子は、皇帝や直属の上司など、あらゆる権威に怯むことなく、