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「役に立つ」と「意味がある」 山口周氏
筆者が属している武蔵野美術大学大学院造形構想研究科クリエイティブリーダシップコースにはクリエイティブリーダーシップ特論という授業があり、毎週、さまざまな方の活動や考え方を聞くことができる。感想(できれば考察)をアップしていきます。
第4回は山口周氏。
最近の著作はこちら。
現代における過剰なものと希少なもの、から講義はスタート。
かつて希少だったものが今では過剰になっているのに、
現代もまだ過去の捉え方を、引きずってはいないかという問題提起。
過剰 希少
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正解 問題
モノ 意味
利便 ロマン
データ ストーリー
証拠 共感
サイエンス アート
昔は、冷蔵庫とかテレビとか誰でも欲しかった。
正解は明快でモノはいつも足りなかった。
今は、現状と理想のギャップの種類、量がさまざま。
ギャップがあるから困る。
一方で、ギャップに気づかなくて困って「いない」人もいる。
便利や正しいデータはあふれているが、「意味」には飢えている。
印象的だったのは、「役に立つ」と「意味がある」について。
日本がここ何十年取り組んできたことは、速い、安い、便利の
「役に立って(るけれど)意味がない」。
この価値は、より役に立つものが出てきたとき不要となるため、
1つしか生き残れない。この競争はすでに限界を迎えている。
役に立つ / 立たないではなく「意味」を生み出す必要がある。
と、おっしゃっていた。
ここで思い出したのは、花田菜々子氏の
「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった一年間のこと」にある本のすすめかた。
知識や分析力だけでも何かが足りない。
上から目線で「知らない人に教えてやる」ことが本をすすめることだとしたら、自分より知識がある人に対して、自分の存在価値はない。
その人のことがわからないと本はすすめられないし、本のことも知らないとすすめられないし、さらに、その人に対して、この本はこういう本だからあなたに読んでほしいという理由なしではすすめられないんじゃないか。
あなたが素敵 → この本素敵 → 素敵なあなただから素敵なこの本がおすすめ
その人の魅力、感じた魅力と紹介する本を言葉でつなぐ。
その本がその人に何をもたらしてくれるか
まさに、「役に立つ」と「意味のある」サービスの差だ。
その後の議論で筆者は、
「意味のある」ものは、そもそもデザインで作り出すことできるのか?
「意味」は受け取った人の中で発生するのでコントロールできないのでは?
と意見した。
が、花田菜々子氏の思考を見ると「意味の生成」のきっかけを与えることはできるし、それこそが(も)デザインができることだ。と、整理できた。
これまで、ユーザー中心設計を活用して、
便利であること、使いやすくあることを主の価値において取り組んできた。
それを失わずに、あるいは逆を張って(不便益とか)、
ユーザーに社会に「意味をもたらす価値」を提供するやり方を探求したい。
ファクト → 直感
慣習 → 倫理
市場調査 → 感性
いいと思うか / 悪いと思うか 、 好きか / 嫌いか
「→」はたぶん一方向でなく可逆的に行ったりきたりさせて。
・細部を見る「central Exective network」
・ぼんやり全体をみる「default mode network」
2つの脳🧠センサーをスイッチングして思考してみよう。