【短歌連作】宇宙なんだよ(柴田葵)
作りながら生きていくための同人『Qai(クヮイ)』
同人4人が一つのテーマで毎月noteを更新しています。
6月のテーマはシンプルに「作品」です。
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(短歌7首連作)
宇宙なんだよ
柴田葵
遠雷はだれかを探すような声おまえだろうかわたしだろうか
土砂降りの高層ビルの応接にうつくしい水だけの水槽
ガラス張りのオフィスのなかで謝罪する謝罪するたぶんショーだと思う
だいたいの魚は水に生きていて水がなければ宇宙とおなじ
カロリーメイトメイトが欲しい雨あがり駅のホームでほろほろ食めば
水を買うその違和感で日々を買うわたしのすきなおにぎりはツナ
地球だって宇宙なんだよこんにちはスターバックスにぎやかに夏
こんばんは、短歌に取り組んでいる柴田葵です。
短歌7首の連作「宇宙なんだよ」は、千原こはぎさん主催「水」がテーマの合同短歌集『みずつき6』に参加した際の作品です。(毎年6月に発行なさっていて、今年は『みずつき8』です。誰でも参加可能な企画を取りまとめる千原こはぎさん、本当にすごいと思います)
自分では、割と気に入っています。
作品をつくるとき、自分の作品を批評する力というか、良し悪しを判断する力というのは身につけたいところだと思いますが、その前の大前提として、やっぱり多少なりとも自分自身で好きだと思える作品でないと、結局人前に出したくなくなるなあと思います。ごくまれに「全部嫌い」ターンに陥ったりもするので、感情というのは厄介といえば厄介ですが。