黄色の花2

【詩】冬支度/柴田葵

壁に塗り込められたものも知らずに
カトレアを滝のように飾る人よ
臭気は生きている証左
彼方からあらわれた老人の髭は
なぜ女の首ばかり絞めるのだろう

噎せるほど土にまみれた記憶が
お前は女だと警鐘を鳴らす
芽吹かずに死んだ種で
ぼこぼこと頬をゆがませたシマリス
走っても走っても冬の入口だった

銀の匙は笑いながら変色し
侍女たちが泣きながら磨く
髭の老人と脚の生えた老婆をご覧よ
かつて老人は老婆を救いそして所有した
豚一頭燻して愛の冬支度

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画像:世界名作ファンタジー24ゆきの女王 ポプラ社 より

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