【創作と道具】詩の道具/亜久津歩
こんばんは、詩人の亜久津歩です。そう名乗らないと忘れられてしまうくらい、詩の完成しない生活を送っています。ンガググ。
さて。今、この記事をiPhone Xで書いている。書くにも読むにもスマートフォンは必需品だ。日常的に子の寝かしつけをしている方なら、共感をもってお分かりいただけるのではないだろうか。
相棒のアプリは「iテキスト」。縦書き・横書きを選べる。日本語の書体は明朝体もゴシック体もヒラギノで読みやすい。そして文字のサイズと行幅、周囲の余白も手軽に変えられる。これが嬉しい。一行が何文字で、どこで改行するかわからないまま書くことに抵抗があるからだ。改行したくないところで改行されたくない。行間も自分で決めたい。
(だから初めて句集を読んだとき、ページごとの句数が決まっていて全て天地揃え(!)だったことに驚いた。何を「余白」と呼ぶかもさまざまあるわけだけれど、視覚的にも意図、創作したい欲求がある)
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詩を作る場合には、別の道具と手順がある。
道具(使用順)
・自由帳(無地のスケッチブック。100均)
・ペン(書いている最中に芯が折れるのは好ましくないし、推敲も消さずに行うので)
・iPhone、「iテキスト」
・PC(Adobe In Design➡︎PDF)
・プリンター
・赤ペン
・何杯ものコーヒー
これで全部。
まず、わたしは罫線に沿って上から順に字を書くのが椅子から転げ落ちるほど苦手なので、自由帳が要る。原稿用紙には憧れたが結局マス目を無視してしまう。破いて並べ替えることもあるのでぺらぺらで十分、DAISOで売っているうさちゃんとくまちゃんが表紙のスケブとか。そのあちこちに書く。なんとなく群になりそうなものは近く、遠いものは離して、いっぱい書く。
それを絵の具にして、絵を描く。つまり言葉を継ぎ接ぎする、省く削る、移す、編集する、デザインする。…なんて言って、とんとうまくいかないのだが。この作業はデジタルの方が速いので、スマホで行うことも多い。
そうして初稿ができたらPCへ。Adobe In Designで推敲する。書体、行幅、周囲の余白、本来は一篇一篇すべて異なる。
ふしぎなことに、In Designのプレビューで見て何とも思わなかったことが、PDFに書き出してみると気になったりする。プリントして紙で眺めると、また別のアイディアが浮かぶこともある。本当に、紙で見るとどこかしら変わる。誤植も見つかる。
何か残っているかとがさがさやっていたら、第三回詩歌トライアスロンの受賞作「さみだれの印象」と「雪解」の途中経過が出てきたので載せておく。プリントして推敲しているところ。「さみだれ」が全然ちがう詩だったことがお分かりいただけるかと…(「雪解」は当初なくて、遅れて出てきたときは「春の憧憬」というタイトルでした)。
ちなみに完成品はこちら。
第三回詩歌トライアスロン受賞
「さみだれの印象」「雪解」亜久津歩
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こんな感じで、作っています。
余談です。わたしはLUNA SEAが大好きで、いわゆる「RYUスレ」※1で「RKF」※2でもあります。ライヴで身と空間と魂とを震わせて歌う彼を見ていると、この人は楽器、歌うために生まれ歌に愛された存在、あるいは歌そのものであると感じます(何を言っているかわからないかもしれませんが推しとは得てしてそういうもの…)。そして、わたしもあんなふうに詩を作れたらいいのにと、しばしば涙するのであります。
純粋に。詩を道具にするのではなく、詩の道具になってみたかった。その一瞬をまだ、これからも、どこか待っています。
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※1 RYUスレ=LUNA SEAの公式ファンクラブは「SLAVE」という名称です。基本的にバンド全体のファンですが、自分にとって特別なメンバーがいる場合「〜のSLAVE」の意味で「〜スレ」(「〜担」に近い)ということがあります。それでいうとわたしはvocalのRYUICHIのSLAVEで、略して「RYUスレ」です。
※2 RKF=河村隆一公式ファンクラブ
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