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生業編2 事業を企み 仲間を編み 作業を組む

白露の頃 病室の窓から うろこ雲を見て 師匠は語りました

前代未聞に挑む者たちは  事業を企み 仲間を編み 作業を組む
それこそが 大望を達成するための 細やかな手段なんだ

事業を企む とは 大望を ほかのひとに わかる形にすることさ

前代未聞のことだから だれも それを解決した経験はない
経験のないことに ひとは しり込みをする
前代未聞を成すためには 実現のための構想を 丁寧に伝える必要がある

ひとりよがりに 自分だけが わかっていればいいわけではない
大望を実現するためには 自分が考える手段を ひとにわかってもらうんだ
そうすれば 協力してくれる人が現れる

ある人は 賛同で 協力してくれる 
ある人は 資金で 協力してくれる 
ある人は 作業で 協力してくれる

事業を企む とは あなたの結 から 本当の協力を 引き出すことなんだ

ひとに伝える 
ひとに間違いなく 理解してもらう 
ひとに喜んで 参加してもらう

事業とは  前代未聞の挑戦を 
こういう方法で 解決するぞと伝える 狼煙なんだ
それが 企画の本当の意味だよ

企画が独りよがりだと
ひとは 間違って考える
ひとは ばらばらに動く
ひとは つまらなそうに働く

だから 企画とは 前代未聞の挑戦に 魂を込める設計作業なんだ

企画に 魂を感じると
ひとは 同じ志を持つ
ひとは 一丸で動く
ひとは 楽しそうに働く

それが 仲間を集める本当の意味だよ
あなたの企みで 仲間の喜びを 引き出すことができる

だから 企画とは 仲間に向けた 志の招待状なんだ
それを示すことが 事業を企む 本当の意味だよ

そして あなたは 仲間を編む

この前代未聞の企みに 必要な仲間に声をかける
集めた仲間に 社会に貢献する使命感と 実行の楽しさを与える
それが 仲間を編む ということだよ
彼らと 前代未聞の挑戦を 共有するんだ

仲間を編む とは 大望の実行を 組織に区分けすることさ

企画の設計に基づいて 実行の組織を決める
その組織ごとに 必要な人を集めて組にする
それが 編成の本当の意味だよ

ところが 人と 人が はじめて組むと 
ばらばらで 力を発揮しない 
すべての組で いずれ衝突が起こる 
自己主張の衝突で 言い争いが絶えない 

そりゃそうさ みんなそれぞれに 自分の独自がある 
みんなそれぞれに こだわりも 自負もある 
違う背景 違う解釈 違う方法は 大きな摩擦を呼ぶのさ

仲間を編む には あらたな結 から 摩擦をなくし 最大の成果を 引き出す必要がある

ひとを 認める
ひとに 協力してもらう 
ひとと 喜んで仲間になる

組織とは  大望のために集まったひとが 団結しあう集団なんだ
成果を出すには あらたな集団が 互いに尊重しあう場をつくる必要がある
それが 調整の本当の意味だよ

だから 調整とは 仲間を最もうまく組み合わせるパズルなんだ

組の中の調整が うまくいくと
仲間は お互いを尊重する
仲間は お互いの技を教えあう
仲間は お互いの技を組み合わせる

仲間をうまく編むと 各々の技を組み合わせて かつてない跳躍を編み出す
それを引き出すんだ

人と人が 互いに認めあう
仲間と仲間が 切磋琢磨する
組と組が喜んで 課題に挑戦する

それが 協働の本当の意味だよ

協働させるためには
それぞれの達人を組に集め お互いの既知の領域を確認させる  
既知の領域の端っこ それぞれの境界線で お互いの技と 技をつなげる

互いの未知の領域に 
既知の技と 既知の技を 組み合わせて
橋をかけるのさ

ところが ここが一番うまくいかないのさ
お互いの既知の領域には それぞれの方言みたいなものがある
その方言は その既知の領域の仲間同士にしか わからない
方言が うまく伝わらないことで 協働が阻害される

これが衝突の正体なんだ

技をうまくつなぐためには 互いの言葉を翻訳し 概念をかみ砕く
その人しか知らない技を 相手にわかる形にする

衝突は 互いの言葉を理解しあうことで 越えられる 
衝突は 互いの行動を尊敬しあうことで 越えられる
衝突は 互いの技芸を協働しあうことで 越えられる

協働がほんものだと 
あぁ よかった あなたがいてくれてと 仲間に感謝する
あぁ よかった あなたと本気でぶつかってと 仲間に感謝する

衝突を乗り越えた組織は 強い
衝突を乗り越えた行動は 優しい
衝突を乗り越えた協働は 楽しい

協働が 斬新だと
人と 人が 相乗効果で競いだす
仲間と仲間が やったことがない技の組み合わせに興奮する
組と組が 衝突を乗り越えて協働する
組織全体が 前代未聞の高みに 跳躍する

だから協働とは 仲間の衝突から前代未聞の跳躍を引き出す 冒険なんだ
その跳躍から最適な組み合わせを見つけることが 仲間を編む 本当の意味だよ

そして あなたは 作業を組む

作業を組む とは 大望の成果を 美しい流れにすることさ
仲間の協働から 最大の成果を得る流れを 編み出すんだ

それぞれの組の跳躍から かつてない成果を生み出し 社会に実装する 
それが 作業を組む ということだよ
みんなで 前代未聞の事業を実行するんだ

協働で開発した技を 前代未聞の事態に当てはめてみる
その技から得られる効果を それぞれの組で評価する
それぞれに評価した効果を 最大に引き出す手順を試す

ところが それぞれの組の成果を 単純に組み合わせても 満足な成果が出ない 
それぞれの組の前代未聞の成果を接続すると はじめは たくさんの無駄が起こるものさ 

そりゃそうさ  それぞれの組が それぞれ最大の成果を上げようとすれば
自分の組だけを見て 前後の流れを無視し 他の組を阻害する
原資を使えるだけ使って 物流も 在庫も 考えない
全体の流れをかえりみない現場は 大きな無駄を呼ぶのさ

だから 作業を組むとは 全体の成果を 最大化することなんだ
最も効率よく 前代未聞の成果を実現するんだ

かつてない跳躍が 前代未聞の難問に及ぼす効果を測る 
跳躍の高みを維持しながら 資源の投入を調整して 
最も少ない資源で 最大の効果を得る方法を探る
それが節約というものさ

節約が 最適だと
作業で発生する あらゆる無駄が除かれていく
無駄が消えるたびに 新たな節約の方法が編み出される
現場に 美しい流れが 見えてくる 
それが工法というものさ

工法にも つなぎの良し悪しがある
特に組と組の作業の橋渡しで 工法のつなぎが大事になる
工法の繰り出す順番を 入れ替えて 効果を測る
最も効果的な順番が 前代未聞の解決につながる
組の成果に 美しい流れが 見えてくる
それが工程というものさ

工程を見るには 現場を俯瞰でみた方がいい
特に現場と現場が離れている場合 工程のつなぎが大事になる
前代未聞のものを創り 
前代未聞のものを運び 
前代未聞のものを使っていただく
その全体の流れを最適にしなければならない
それが物流というものさ

物流が 最適だと
人様までにお届けする あらゆる在庫が除かれていく
無駄な在庫が消えるたびに また新たな方法が編み出される
物流に 美しい流れが できてくる 
それが供給というものさ

ところが 供給を勝手にはじめても 満足な成果は出ない 
前代未聞の解決策を社会に提案すると 衝撃が起こるものさ 
それが前代未聞であればあるほど はじめてそれを受け入れる側には抵抗があるからね

前代未聞の解決には ひとびとの納得と行動の変容が必要なのさ

そりゃそうさ前代未聞のことだから だれにも それを実装した経験はない
経験のないことに ひとは しり込みをする
前代未聞を成すためには 社会への実装を 丁寧に伝える必要がある
  
ひとに伝える 
ひとに間違いなく 理解してもらう 
ひとに喜んで 参加してもらう

社会に実装してもらうには 前代未聞の方法が与える効果と
その段取りを 説明をする必要がある

説明が 具体的だと
ひとは 同じ志を持つ
ひとは 一丸で動く
ひとは 楽しそうに変わる


説明が最適だと
ひとびとの変容を促して 供給を開始することができる
ただし 前代未聞の解決だから 供給は柔軟に行わなければならない

柔軟な供給には ふたつの側面がある
需要に対して柔軟であることと
機会に対して柔軟であること
このふたつだ

需要は徐々に増える それに対応させなければならない
生産を拡大し 物流を調整し 在庫を圧縮する

だけどね 前代未聞のことだから
需要が極端に増えることも 極端に減ることもある
生産が極端に増えることも 極端に減ることもある
在庫が極端に増えることも 極端に減ることもある

需要は想定外に増減する 
状況は 一瞬一瞬 刻一刻で 変化していく

だから
工法のすべてを いつでも可変にしておく
工程のすべてを いつでも可変にしておく
物流のすべてを いつでも可変にしておく
供給のすべてを いつでも可変にしておく

それが しなやかな供給ということだ

それでも自分たちの実行が 及ぶ範囲の変化と 及ばない範囲の変化が出てくる

自分たちで影響を及ぼせる範囲の変化には 自分たちの行動を変えればいい
工法を柔軟に変更し
工程を柔軟に変更し
物流を柔軟に変更し
供給を柔軟に変更する

自分たちで影響を及ぼせない範囲の変化には 
あらたな課題設定と解決策を組み立ればいい

その時 前代未聞の事態も 進化しているのだ
ひるまず状況の変化に 柔軟に対処することが最も大事なんだ

自分たちのできる事業の先に 
新たに事業を企み 新たに仲間を編み 新たに作業を組む

いいかい これは 前代未聞の事態なんだよ
間違いや 失敗を織り込んで
とにかく行動を起こす
そして その成果を計測しながら 修正を繰り返す

状況の変化に柔軟に対応する
それが 作業を編む 本当の意味だよ

前代未聞の解決を 社会に実装しようとするならば 
その覚悟は 必ず持たなければならない 

その覚悟を 仲間と共有できれば
自然に 悠然と 無駄なく 現場が動く
瞬時に きつ然と 迷いなく 状況に対応できる

それが社会変革というものさ

前代未聞に挑む者たちは  事業を企み 仲間を編み 作業を組む

企みがなければ 賛同はない
賛同がなければ 資源はない
資源がなければ 仲間はない
仲間がなければ 作業はない
作業がなければ 成果はない
成果がなければ 変容はない
変容がなければ 達成はない

だから 前代未聞に挑む者たちは  事業を企み 仲間を編み 作業を組む

ひとは ただ意味なく 生きるわけじゃない
ひとは お金のためだけに 働くわけではない
ひとは 誰かに盲目的に 雇われるわけではない

社会を変革する志で 事業を企み
協働の喜びを糧に 仲間を編み
前代未聞の社会実装を成し遂げるまで 作業を組む

美しく働き 健やかに生きる方法は ここにある

うろこ雲の連なりは 恵みの雨の知らせ と ベッドに背を預けた師匠が呟きました

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