生業編１　美しく働き　健やかに生きる

処暑の頃　野分で　山が激しく揺れるのを見て　師匠は語りました

友よ
学んだことを　世の中の役に立てる
そのために　あなたにとっての 結 を見つける

真摯に　自分の独自を　世の中に　結びつける
真摯に　自分の志を　人々に　結びつける

すると　社会　と　志　がつながり
美しく働く　貢献になる

すると　あなたの独自が　生業（なりわい）として感謝され
健やかに生きる道になる

そして　あなたは　生業を通して　世の中に貢献する

友よ
それが　あなたにとっての 結　になる

その目で　みてごらん
人の　生業には　いろいろな思いがある

稼ぎだけを企む人は　その賢しさに　いつか足をすくわれる
日々精進しない人は　　その怠惰のために　時代に置いて行かれる
ひとをだます人は　その浅ましさで　ついには孤独になる
夢を追い続けない人は　いつか自分の生業に失望する

美しく働き　健やかに生きる
それは　人のために　尽くすことでしか　実感できない生業の喜びなんだ
それは　世の中に実装されることでしか　得る事のできない生業の感動なんだ

そのためには　前代未聞の難問に挑戦するんだよ

その目で　みてごらん
世の中には　解決されていない難問が　山積みだ

ひとは　長年解決できない難問に　挑戦せず　あきらめる
ひとは　いまそこに誕生した難問を　ないものにして　ふたをする
ひとは　これから起こる難問を　あり得ないと　決め込む
ひとは　難問の解決をあきらめ　今できる日常に　逃げ込む

でもね　前代未聞の事態は　必ず起こる
この日常が永遠に続く　というのは幻想さ
非日常は　突然始まる　
そして　その瞬間から　それがするっと日常になる

私たちは　ある日を境に　前代未聞の渦中に　生きることになるんだ

そのときにこそ　ひとの力を信じてほしい　
前代未聞の難問は　必ず解決できる

私たちは　ずっと前代未聞の事態を乗り越えてきたんだ
それがひとの歴史さ

前代未聞の難問を解決するたびに　世の中は前進してきた

ところがね　面白いことに　前代未聞の難問は　あなただけでは解決できないのさ
だってあなたがひとりで簡単に解決できるのなら　それを　前代未聞の難問　とは呼ばないからね

でも　前代未聞の難問は　必ず解決できる
あなたが　自分だけに頼ることなく　まわりの知恵を集めれば　
それは必ず解決できる

そこに必要なものは　まわりの人々に呼びかける　勇気さ
そこに必要なものは　みんなの知恵で解決する　共鳴さ
そこに必要なものは　逆境でも結を信じて実行する　創造さ

学んだことを　世の中の役に立てる

そのために　あなたの独自と　仲間たちの独自を組み合わせて
これまでにない　前代未聞の　結　をつくりあげる
そうすれば　そこにある　前代未聞の難問は　必ず解決できる

前代未聞の難問を解決するために　
あなたは　前代未聞の結を　成す
それが　美しく働き　健やかに生きる　ということだよ

空が一変し　大粒の雨が軒先を激しく濡らすので　師匠は病室に戻りました