学び編 5 次につなぐ
小暑の頃 白南風を受けて 師匠が 語りました
つなぐべきものを つなぐ
時間は前にしか 進まない
遺伝子の継承を 見てみなさい
遺伝子は ひとつひとつの世代を 着実につないで
悠久の時間を生きる
自分の型を 明確な設計図にして
次の世代に引き渡して
悠久の時間を生きる
設計図を 単にそのまま 引き継ぐだけでなく
他と融合し 変化して
悠久の時間を生きる
行き止まりに はまることなく
多様な選択肢を生み出し
悠久の時間を生きる
つなぐべきものを つなぐ
自分が つながれたものを 次に つなぐ
つながれるだけでなく 自分が 次に つなぐ
自分の行動を 見てみなさい
自分の家族の ことだけを 考えてはいないか
よく見てみなさい
自分が つながれたものを 次に つなぐ
自分の代の ことだけを 考えていないか
よく見てみなさい
つながれるだけでなく 自分が 次に つなぐ
自分の同胞の ことだけを 考えていないか
よく見てみなさい
時間は前にしか 進まない
このシンプルな ルールに 自分の行動が即しているか
よく見てみなさい
友よ あなたに つなぐ 覚悟があるか
独自に芸をなしたものが すべきことは
それを 先につなぐこと
弟子を持ち 弟子に自分の芸を 教える
つなぐべきものを つなぐ
自分が つながれたものを 次に つなぐ
つながれるだけでなく 自分が 次に つなぐ
型を 教えるには 技のひとつひとつが
弟子にわからないといけない
弟子の理解のできるレベルに 技を整理する
技のひとつひとつを 弟子が「できるーできない」 と 確認できるようにすることは
技の総括
技を習得する 弟子の鍛錬に仕立てるのは
修行の総括
型の全体図を 独自に
再構成することは
学びの総括
この整理の過程で また
識るー試すー体得するー捨てる の
サイクルが回る
つなぐ べきものを つなぐ
自分が つながれたものを 次に つなぐ
つながれるだけでなく 自分が 次に つなぐ
次の世代に 着実につなぐには
社会の変化に対応させなければならない
自分の型を 明確な体系にして 次の世代に引き渡す
型の体系を そのまま 引き継ぐのでなく
他の技と融合させ 常に変化させる
行き止まりに はまることなく
多様な選択肢を生み出す
これが 死を乗り越えて
悠久の時間に生きる ということ
この継承の過程で また
識るー試すー体得するー捨てる の
サイクルが回る
遥かな時間のなかで
芸道を 発展させるには
しなやかに変化しなければならない
道場を開き 弟子を育てるのは 道の必然
しなやかな変化を生むには
多様な実験を試みること
道場のなかで 創発しやすい環境をつくる
弟子たちの 切磋琢磨のなかで
多様な創発を引き出す
これが 時を越えて
悠久の世代につなぐということ
この創発の過程で また
識るー試すー体得するー捨てる の
サイクルが回る
それが 独自に芸をなしたものが すべきこと
つなぐ べきものを つなぐ
自分が つながれたものを 次に つなぐ
つながれるだけでなく 自分が 次に つなぐ
立ち止まることなく 先に つなぐ
そのとき あなたは
師匠 とよばれる 存在になっている
それが 真摯に 道をつなぐ 行い
風が 梅雨明けの夏空を運び 師匠が私の手を握りました